第7話 筋肉は脂肪より重い。
翌日、いよいよゲーム作り開始の日。その為、残念ながら由香はハブられ、鈴之助と二人きりで碧は栗枝家へ……。
「いやダメでしょ。こんなムチムチした女の子を一つ屋根の下にさせられるかー!」
集合場所になっている校門前に、慌てて由香は滑り込んだ。危なかった、遠慮のないやり取りで忘れていたが、まだ関わり始めて一ヶ月も経っていない程度なのだ、この男。
その自分のツッコミに慌てて反応したのは、弁解すべき男ではなかった。
「む、ムチムチって……そんなに太ってますか……!?」
「いやそこじゃねーだろ。そしてせっかくの協力者とこれまでやって来た放送で築き上げてきたチャンネル登録者を捨てるような真似するわけねーだろ」
碧と由香、両方にそう言うが、当然ながら信用なんてできない。
「口では何とでも言えるし!」
「そ、そうですよね、口だけですよね? ムチムチなんて縛られた焼き豚みたいなことにはなってませんよね?」
「ごめん、半田先輩。黙ってて」
一々、反応して来るのでまずはアホな先輩を黙らせる。
で、改めて鈴之助を睨んだ。
「とにかく、監視カメラもない場所に女の子と二人にさせられないから! やりたい放題じゃん!」
「いや実家でそれはリスキー過ぎるから。そもそも強姦ってそんな簡単じゃないからね」
「は? どういう事!?」
なんか話の流れがおかしくなってきたが……由香に聞かれた以上は、鈴之助は答え始める。
「まず実家は論外。仮に被害者の女の子がチクったとしても、証拠が残らない場所にしないといけないから。ただでさえ監視カメラが多い世の中で、二人で歩いているところを映されるだけでも疑われるし」
「そ、それは……そうなの?」
いや、確かにそうかもしれないとは思うが。やるなら完全犯罪、という気持ちはわかる。
「その上で、事を済ませた後は綺麗に体を拭く……というか洗う必要がある。自分の指紋とかDNAが身体に付着してたら終わりだから。あとゴムの処理。何より犯される方が不特定多数にバラされたら困る秘密を握る必要があるから」
「そ、そんなの写真撮れば良いじゃん!」
「相手が玉砕覚悟でチクられても逃げられるようにするには、家の一部の何処かの写真はアウトでしょ。従って仮に今日、家で半田先輩を完全犯罪で強姦するとしたら、監視カメラに引っかからない道を選んだ上で目撃者にも可能な限り見られず、半田先輩に逃げられないように且つ監視カメラに映らないように、そして店員に顔を見られないようにゴムを購入し、家の中に連れ込んで犯し、その後は身体を洗浄した上で脅しになるような写真を自分の家だと分からない背景を選んで撮って脅して帰す……これを、妹が帰って来るまでにこなすのはどう考えても無理だから。むしろ、警察にチクられないかどうかこっちの方が気が気じゃなくなるわ」
「……」
完全に言い負かされた。ぐうの音も出ない。……もしかして、強姦とかの事件はよく聞くが、それを実行した犯人こそ玉砕覚悟なのかもしれない。というか玉砕覚悟の奴だけが強姦するから、結局はそこまで自棄になるような人が出ない社会にならないと、その手の事件は減らないのかもしれない。
「……あ、でもあんたお母さん弁護士なんでしょ?」
「うちの母親に『強姦で警察来る! 助けて!』なんて言ったら脳幹貫かれて終わるよ」
「……」
それなら大丈夫……なのだろうか? というかその母親怖い。
でも……なんかこう、体裁を思うとやっぱり少し怖いな……と、思わないでもないわけで。
というか、さっきから喋んないなこの人、と思ってチラッと碧の方を見ると、顔を真っ赤にして俯いていた。
「……ひゅっ、ふたりとも……校門前で、私を例にして……にゃっ、何の話を……」
「……」
「ん? 完全犯罪で強姦すんならどうやる必要があるかって話だけど?」
「普通に応えんな! この根無草のバカ!」
なんでこんなにオープンなのか気になる所だ。本当に周りの目なんか気にしていないのかもしれない。そもそも気にしていたら、自作ゲームの実況なんてやっていないだろう。
何がまずいって、話の流れ的に仕方なかったとはいえ、碧をモデルにしたことだろう。
「どうすんの? 半田先輩、二人で行けそう?」
「え? い、いえあの……ちょっと……は、はい……」
否定しようとしたが、否定したら空気が悪くなると思ってしまい、否定しきれなかったのだろう。段々、コミュ障との接し方が分かってきた。
「やっぱうちも行く」
「なぁ、次のゲーム……浮気直後、制限時間内に部屋を片付けるゲームとかどうだ?」
「今の流れでよくそれ言えんなあんた!?」
「片付けゲームとか新しくね? 別に事後じゃなくても、思い出の品を片付けるとか」
「いいからどうするか言えっつーの!」
何でそんなに一つの話に集中出来ないのか。勘弁して欲しいものだ、本当に。
問い詰めると、顎に手を当てて悩む鈴之助。が、すぐに答えた。
「あー、じゃあお前にも大変、重要な任務を授けるか」
「お、マジ?」
「うん。妹の世話して。今日あいつ早く帰ってくるから」
「そんなんで良いわけ?」
「そんなんでも助かるから。じゃあ三人で行こうか」
との事で、三人で行くことになった。
×××
栗枝家に到着した。相変わらず大きな家に碧も圧倒されてしまうが、とりあえず気を引き締める。なんか、あんな話を平気でされてしまったのでつい身構えてしまっていた。
「ただいまー」
「え、誰かいるの? お、お邪魔しまーす」
「いないよ」
「何のための挨拶!?」
「幽霊」
「う、嘘……いるの!?」
「いないよ」
「んなっ……き、貴様……!」
いいように弄ばれている由香はともかく、碧も一応「お邪魔します」と挨拶だけして二人の後に続いた。
中へ上がると、また手洗いうがいだけして鈴之助の自室に案内される。
「とりあえず、二人とものんびりしてて」
「え、作業しないの?」
「お前がいる前でやるわけないじゃん」
本当に新鮮な反応が欲しいみたいで、徹底して由香には隠すつもりのようだ。
しかし、それ妹さんが帰って来るまですることないってことになるのだが……と、思った問いに答えるように、鈴之助は部屋の中を指さした。
「部屋にある物なら何いじっても良いから」
「言ったな? エロ本探しちゃうぞ?」
「お前に見つけられんなら遠慮せずどうぞ」
「よっしゃ、絶対見つける!」
この人達は本当にいつも楽しそうだ。エロ本なんて正直、興味がなくもないけど持ってはいけないと考えている碧は、絶対に見ないと心に決めた。
「あ、もしエロ本見つけられたら、飲み物かなんか奢ってやるよ」
「よっしゃ!」
「えと……一応あなた達……男女、ですよね……? 高校生の……」
なんだろう、この人達……と碧は眉間に皺を寄せてしまう。
だが、まぁ逆にここまでの事になると強姦だなんだなんてことにはならないと思うので、変に気が楽になってしまった。
「あ、あのっ……私は何したら……」
「や、好きにしてや」
「一緒に探そう、エロ本!」
「え……は、はい……」
断れなくて、結局探すことになった。
「じゃ、俺飲み物入れてくるから、ゆっくりしてて」
「っしゃ、吠え面かくのも今のうちだから!」
「あ、あの……煽りで吠え面かく人はいないのでは……」
「言葉はちゃんと意味を知ってから使おうな」
「や、喧しいわ!」
いや、申し訳ないけどそろそろ学んで良い頃だと思う。というか、どんな言葉なら正しく使えるのだろうか? この子の試験の解答を見てみたいものだ。
部屋を出ていく鈴之助の背中を眺めつつ、由香に手を引かれて部屋の中の物色をさせられる。
「まずは、無難にベッドの下?」
「あの……そもそもないのではないでしょうか……」
「いやそれはない。エロ本隠すゲーム作ってた人だよ?」
「だからこそ、その……もし、あるとしたら……」
呟きながら、碧は本棚に目を通す。その中の一番下、少年誌が差し込まれている段に普通に置いてあった。
「あ、ありました……」
「エロ本発掘博士って呼んでも良い?」
「絶対嫌です!」
なんてあだ名を考えるのか、というか前々から思っていたけど、エロ本という言葉、女子高生にまで浸透し過ぎではないだろうか?
というか、もう少しこう……顔を赤くして恥ずかしがって欲しいものだ。アニメとかの女の子なら、恥ずかしがって顔が真っ赤になり怒りを露わにし、主人公にアッパーカットを叩き込むまでが1セットだろうに……。
すると、部屋の扉が開いた。
「とりあえず、緑茶淹れてきてあげたよ。……って、もう見つけたんだ、エロ本」
「半田先輩がね」
「そんなに読みたかったの?」
「半田先輩がね」
「ち、違います! 真顔で適当なこと言わないでください!」
あんまりなセリフに、涙目になりながら抗議する。すけべに思われるのは好きではないから、勘弁してほしかった。
だが、何故かこの世には「慌てると図星では?」という性格の悪いにわか心理学が蔓延していて。
その様子を見た由香はニヤリとほくそ笑んだ。
「ホントにー? 一ミリも興味ないのー? こういう本」
「あ、ありません!」
「いや、まぁ確かに胸は立派なもの持ってるし? エロ本に載ってるモデルより自信あるのもわかるよ?」
「ど、どこ見てるんですか!?」
なんて事言うのか。仮にも先輩に向かって。というか、このままエッチだと思われるのは嫌だ。グルグルと頭と目玉が回り始め、何か言い訳をしなければ……と、焦りに焦った結果、一番言ってはいけない事を言ってしまった。
「そ、そもそも女の人の肌色が多い雑誌なんて読んでどうするんですか!? 読むなら男性の筋肉が多くないと興奮しません!」
「「えっ」」
「あ……〜〜〜っ!」
言ってから、顔が真っ赤に染まる。自爆……それも、衝撃から身を守るためにこちらも衝撃を発生させて相殺しようとした結果、向こうの衝撃が届く前にこちらの衝撃を発動してしまい、勝手に爆発したような自爆。
穴どころか墓穴があったら……いやなくても掘って埋まりたい気分だ。
「……今の出来事だけで4回は死ねる……」
「落ち着いて半田先輩! 大丈夫、筋肉ならうちも好きだから! ヒーロー映画とか着替えシーンが始まると会話に集中できなくなるから!」
「……黒崎さんも?」
「そう!」
……そっか、自分だけじゃないんだ、筋肉をおかずにしてるの……なんて少し勘違いしつつも、とりあえず羞恥心が引いていく。
なるほど、友達をみんなが発する理由は、一人では恥ずかしいことも仲間がいるとそれが薄れるからなのかもしれない。
「とりあえず、エロ本読んでやろうぜ。性癖を押さえとけば、あいつも周りにバラしたり出来ないし」
「え……いや別にそこまでしなくても……」
由香が勝手にそのエロ本を開いてしまう。仮にも、持ち主の目の前だというのに。
すると、中身には……なんか大量のメモ書きが書かれていた。
『お腹はへそをなるべく目立たさせないように且つ主張はするように。腹筋もうっすらと描いた方が良い』
『胸は谷間というより溝を描くつもりで』
『鎖骨を描くのと描かないのとではリアリティとエロさに差がある』
……完全に資料用でエロ本を使っていた。勉強の痕跡が尋常じゃないくらい残っていて、物によっては丸出しの上から水着のデザインの練習にも使っている。
「あんたの精神は修行僧かああああ!!」
「危なっ……お前本を投げんなよ」
「エロ本だろうが!」
由香の一撃を回避した鈴之助に、さらに畳み掛けるようにツッコミをぶっ込む。
「とりあえず、それ読み終わったら元の場所に戻しとけよ」
「読み終わる前に読みやめるから!」
「あそう」
話しながら、鈴之助は飲み物を自分達に手渡してくれる。
「で、なんか好みのエロ本あった?」
「あるか! てかそんな種類あんの?」
「あるよ。褐色肌のやつとか、日焼け跡の書き分けのお手本で」
「す、すごいですね……」
「男のもあるよ。あれは流石にチ○コは載ってないけど、筋肉なら大量に載ってる」
「女の子にチ○コとか言うな!」
「え、見……あ、いやそうです! 見たくありません!」
危なかった、一瞬だけ欲が勝ってた。……でも、ちょっと気になるし、今度機会があったらそれを探してみよう。
そんな時だった。ガチャっという玄関が開く音とほぼ同時「ただいま」という上品なのに不思議と部屋まで聞こえる声。
「……あ、妹帰ってきた」
「え、妹ちゃん? そういやうち、お世話って言われてたんだっけ……」
「どうせ部屋に来るから、その時に応じてあげて」
「う、うん?」
そう話した僅か3秒後だった。ガチャっとドアノブが下げられ、女の子が入ってくる。その女の子は、鈴之助に似て綺麗な顔立ちをしたイケメン。
髪の色も茶色に染められているのに、爽やかさを保っている。
「っ……!」
ほああ……と、感嘆の吐息が漏れそうになるのを必死になって抑える碧だった。本物の……王子様系女子だ〜〜〜と言った具合である。
年下なのが若干、複雑だが、何にしても少し憧れでもあったので目を輝かせてしまう。
セオリー通りボクっ娘なのだろうか? 口調は男より紳士的なのだろうか? キラキラした爽やかな笑みで、女性を口説いたりするだろうか?
なんかちょっとウキウキしながらも、でも自分から話しかけられないのでソワソワ待機していた。
だが、やはりここは鈴之助の妹なわけであって……。
「あら、お兄様。お友達を連れて来られたの? 珍しい」
もうビックリするほどご令嬢らしく礼儀正しかった。自分が願っている通りにいかないとこは鈴之助の妹、という感じだけど、この穏やかな雰囲気はやはりそれらしくなくて。
「うん。挨拶しな」
「初めまして、先輩方々。栗枝聖良と言います。兄がいつもお世話になっております」
「あ……いえ、あの……」
セイラ……キラキラネーム、だろうか? と、少し圧倒される。どんな字を書くのか気になる……あと、鈴之助という兄の名前とは真逆の語感がある。
「この人は半田先輩で、うちは黒崎由香。よろしくね、聖良ちゃん」
「っ……よ、よろしくお願いします……」
自分が挨拶する前に挨拶されてしまった……相変わらず、自分の何も出来なさが嫌になる。
思わず小さくため息を漏らしてしまっていると、すぐに聖良が微笑みながら言った。
「それで、お兄様とはどういうご関係ですか?」
「どういうって……」
「な、なんでしょうか……?」
ちょっと言いづらい。放送の事とか言って良いのだろうか? 何となくだけど、なるべくなら知られたくなさそうな空気あるし……。
「放送の手伝い」
「あら、クリエイター木村さんにもついに相棒が?」
「そんなとこ」
「あ、普通に言っちゃうんだ。てか知ってるんだね」
「両親は知らんけど。妹に隠すのは無理だ」
「それって……」
もしかして、やはり妹は特別的な感じだろうか? たまにある、両親にも言えないことが兄弟姉妹には言える……みたいな描写がアニメや漫画で。
だとしたら、ちょっとワクワクしてしまうかも……と、思い耳を傾けたのだが。
「一緒に暮らしてんのに秘密に出来るわけないじゃん。親に秘密に出来てるのは、親が家を空けることが多いからだよ」
「なるほどね……」
割と普通の理由だった。なんか、色々と少しガッカリである。まぁ、実際そんな物なのだろうが……。
「じゃあ、とにかくそんなわけだから、お前は外で大人しく待ってなさい」
あれ、由香に面倒見ててもらうんじゃないの? と、思ったのだが、まぁ鈴之助なりのやり方があるのだと思い、口は挟まない。
指示された聖良は、素直に煌びやかな笑みを浮かべて頷いた。
「分かりましたわ。では一緒にゲームやりましょう?」
うん? と、小首をかしげる。分かりましたわ、って言ったはずなのだが、要求した内容があまりにも食い違っている気がする……。
一瞬、聞き違いかと思い、碧は小首を傾げると、ふと同じ顔をした由香と目があった。同じ聞き違いをしたらしい。
鈴之助にはどう聞こえたのだろうか? と、顔を向けると、鈴之助は慣れた様子で答えた。
「うん、何も分かってねーな。ちょっと忙しいから。構ってやれないから」
「嫌。昨日、今日は遊んでくれるって言ったじゃない」
「それ言ったの一昨日の話な。昨日は一緒にゲームやったじゃん、夜に」
「今日も遊んでくれたって良いでしょう?」
「てか、もっとアグレッシブになれよ。学校の友達とかと」
「学校のお友達はゲーム誰もやらないんだもの」
ゲームが趣味……なのだろうか? なんていうか……ちょっとよく分からない。無神経な兄の妹がお嬢様っぽいのはギャップのセオリーのような物だからわかる。
でも、名前に統一感はないし、王子様みたいな見た目で口調はお嬢様だし、それでゲームオタク……なんだろう、このインド風アメリカジャパニーズカレーみたいな感じ、という印象だ。いや、そういう人もいると言われればそれまでだが。
とはいえ、ゲームを作る兄の妹がゲーム好き、というのは割と普通のことなのかもしれないし、変な偏見は他所にしまっておいた。
すると、鈴之助が聖良に声を掛けた。
「なら黒崎に遊んでもらえよ」
「えっ?」
「……黒崎先輩と、ですか?」
そういえば、元々そういう話だったことを思い出す。
「うん。良い? 黒崎」
「もち☆ この子、カッコ良可愛いし、全然おっけー」
「お前は?」
「まぁ、お兄様がそうおっしゃるのであれば」
意外と素直に頷いていた。てっきり嫌がるものだと勝手に思っていたが……まぁ、やはりその辺も「兄が第一! 兄を誑かす女は嫌い!」なんて妹はいないってことだろう。
でも、そういうことなら別に妹さんの相手が大変、というイメージはあまり湧かないのだが……。
「よーっし、じゃあ遊ぼっか。聖良ちゃん」
「よろしくお願いします。では、下でスマッシュブラボーズXのボスラッシュ、ノーダメージクリアするまで帰らせませんから」
「え?」
「頑張りましょう」
なんか聞きたくないワードが耳を穿った。ボスラッシュと言えば、スマブラ唯一のストーリーモード、亜空の記者モードに出てくる大型の敵を連続で全員と戦うモード。
当然のことながら強い奴もいれば弱い奴もいるわけだが、割とえげつない攻撃をしてくるボスもいるわけで。
それのノーダメクリア……少し考えたくないまである。
「私こっちで良かったのかも……」
「だろうね」
言ってから「あっ」と声を漏らす。今の、妹を悪く言ったみたいになってしまっただろうか?
フォローしないと、と思い笑みを浮かべながら苦答えた。
「い、妹さん……楽しい方ですね?」
「そうでもないよ」
「え……そ、そうなんですか?」
「親の英才教育を馬鹿正直に受けてるから」
「え……てことは、成績とか……」
「成績は良いし運動も出来る。柔道と剣道も強いし
、バスケ部のエースだよ」
そこは王子様スペックなんだ……と、少し唖然とする。この兄妹、何なのだろうか? 最強一家?
「す、すごいですね……」
「親がな。俺と妹、両方秀才にしたんだから」
「な、なるほど……え、今自分で秀才と……?」
「そうだから」
謙遜とかそういう概念ないんだ……なんて苦笑いを浮かべてしまうも、まぁ出来ることは出来るって言う人だろうし、割とそんなとこはあるのかもしれない。
「それより、二人になった以上は仕事するから。とりあえず、現段階で使えるネタと使えないネタに分けて、その上でゲーム作ってみてさらに断捨離するから」
「わ、分かりました!」
そんなわけで、ネタ出し。この前の登下校で得た情報をまとめるのだろう。
鈴之助が机の引き出しの中からクリアファイルを取り出してきて、それを自分が座っている前に置いてあるちゃぶ台に置いた。
「とりあえず、俺が把握してる分は終わらせたから。見て」
「あ……は、はい……」
そういえば図書室以外でこの人と二人になるの、初めてだなぁ……なんて思いながらクリアファイルの中を見ると、すでに採用となった案がおそらくエクセルを使って表形式でまとめられていた。それと、ゲームのコンセプトについて改めてまとめたものもついている。
今日話す表については、どんなトラップがあるか以外にもどのステージで使うか、駅で使うものか道で使うものかを細かくまとめられており、なんだか仕様書のようなものを読んでいる気分だ。
「す、すごい……」
「何が?」
「い、いえ……その、これ……こういうの、ちゃんと作るんだなって……」
「作らないと時間掛かるじゃん?」
「そ、そうなのですか……? これを作る時間も大分かかると思うのですが……」
「実際に、紙に起こして見直してると新しい発見があることもあるから。……それに、先輩にも見てもらわないといけないし」
……そっか、自分の為でもあるんだ……と、少し照れてしまう。過去に、自分のために何かをしてくれる人なんて親と教師しかいなかったから。
それと同時に、本当にこの人は放送に本気なんだな、と実感した。
「で、取ったメモも見せて」
「あ……は、はい」
ポケットからメモ帳を取り出す……が、ちょっと申し訳ない。何も見やすいように整理とかしていないから。
「あ、あのっ……私……」
「や、別にいいよ気にしないで。メモ取ってくれただけでもありがたいから」
「うっ……あの、でも……使えるか使えないか、家で吟味したわけでもなく……」
「だから気にすんな。それより話進めるから、それと一緒に黒崎が取ったメモと使える奴割り出す」
「は、はい……!」
そんなわけで、実際にメモ書きに目を落とした。まずは早速、碧のものから。
なんか……少し気恥ずかしい。自分が目で見た物で使えると思ったものだから、決して考案したわけではないし、故に照れる理由もないはずなのは理解しているつもり……なのだが。
「……字、綺麗だな」
「えっ、そ、そうですか?」
「黒崎と比べてみろよ」
教室で受け取ったであろう黒崎メモ帳を渡されたので中を見てみると……確かに読みづらい。なんかやたらと丸っこい字が羅列している。
これと比べられて褒められても……と、少し微妙な感じになってしまった。
さて、そんな自分の複雑な心境をよそに、鈴之助は内容を見ていく。
「あー……なるほど。動物が多い感じね」
「は、はい……」
「『散歩中の犬に咥えられる』『野良猫に戯れられる』『鳥のフンに当たる』……鳥のフンと野良猫はアリだな。特に猫はヒラヒラした紙に超戯れるし」
「ほ、ほんとですか!?」
「いやそんな喜ばれてもな……言っとくけど、ここで絞ってゲーム作って弊害が多すぎると思ったら更に減らすよ」
「あ……そ、そうですね……」
そうだ、まだ採用されると決まったわけではない。その辺の判断は彼に任せるのがベストだろう……と、思っていると、鈴之助がチラリと自分を見上げながら聞いてきた。
「ね、ここの『地中からモグラ』っていつ見たの? てか何これ?」
「えっ? あ……そ、それは……」
モグラなんて見ていない。道端を見ていてなんとなく思いついたものだ。実際のゴルフでは、モグラの穴が弊害としてある事もあったりするので、うまくかかって面白いかな……と、思ったのだが……。
まぁ、ブラックホールゴルフと言っても、別にクラブも使わないし「定められた場所から定められた場所まで刻んで物を運ぶ」という点からゴルフっぽいなとつけられた内容なので、マジのゴルフらしくする必要はない。
「そ……それは、すみません……その、ボケのようなもので……」
考案した、と言えば考案した物なので、恥ずかしくなりながら俯く……が、鈴之助から返事はない。なんで黙ってるの? と顔を上げると、なんかずっとこっちを見ていた。
「あ、あの……」
「で? これ何?」
「お、おふざけです!」
「本当は?」
「や、あの……ですから」
「あー……じゃあ、ホントにふざけてたならキレるけど、どうなの?」
「正直に言います!」
おふざけはダメだったのだろうか? と、大量に冷や汗と薄らと涙目を浮かべた。いや、まぁおふざけのつもりではないわけだが……。
仕方ないので、プレゼンさせてもらうことにした。
「あ、あの……思い付いたのは、アリの巣からなのですが……実際のゴルフでは、モグラが弊害になることもあると聞いたので……そ、そこから……」
「つまり、想像?」
「す、すみませんダメですよね! ほとんど妄想ですしごめんなさい!」
「いや、アリでしょ。ゲームだし」
「こんな案、鼻かんだティッシュにくるんで……え?」
「や、だから面白い。勿論、コンクリートから出すわけにいかないけど」
「……ほ、ホントに……?」
「嘘ついてどうすんの。これも使おう」
採用された……自分が思いついた案が。まぁ九割アリさんのお陰でもあるのだが。少し嬉しいかも……と、頬を赤らめていると、すぐに鈴之助が言った。
「でもその下の『突然、不死鳥が顕現してビームで世界を焼き尽くす』とかは無し」
「あっ……で、ですよね!? それはつい出来心で……!」
「顕現して、じゃねーよ。なんだこれお前なんで不死鳥?」
「い、言わないで下さい! 自分でも恥ずかしいので……」
「せめて宇宙人だろ。ブラックホール生み出してんだし」
「そこですか!?」
なんて話しながら、採用する案と採用出来ない案を作っていった。
×××
しかし、こういった案も随分と性格が出るな、と思った。例えば、自分は割と動植物が好きなこともあって生き物に着目してしまっていたが、由香の場合は全然違う。
ざっと例を挙げても「車に撥ねられる」「ボールを追いかけてる子供に踏まれる」「電車の扉に挟まれる」「喧しいリアカーに潰される」など割と目で見たものがまんま入っていた。
なんだかちょっとその素直さが可愛い……なんてほっこりしてしまった。
「黒崎さんって……もしかしたら、素直な方なのかもしれません、ね……」
「だからツッコミも上手いんだろうな」
そして……何より訳がわからないのが、鈴之助の案。
『犬のフンに付着する』
『ながらスマホしてる奴に踏まれる』
『捨てられてる空き缶から漏れてるビールに付着する』
『改札を通り終えてから急に立ち止まるやつに直撃』
なんか、意外と普通な感じだった。若干、人からの被害が多い感じがするが……まぁ、街だし当たり前か、と思っておく。
「うし、じゃあゲーム作るかー。今日はもういいよ。手伝ってくれてありがと」
「え……い、いえ、お付き合いします!」
「いや、いられても出来ることないし、試作品完成まで三日はかかるから」
「あ、そうですか……」
ゲーム作りは当たり前だけど時間がかかるらしい。意見がまとまった今、とりあえず形を作るのは重要だろうし、そこに自分が介入する余地がないのもわかる。
「分かりました……では、失礼します……」
「いや、下でゲームでもして待ってて」
「え……」
「付き合ってくれたお礼。夕食ご馳走するから」
「ゆ、夕食って……晩御飯ですか?」
「無色の反対って意味に聞こえた?」
「い、いえ……」
そうではないけど、今まで友達にご飯なんて誘われたことなかったから、ちょっと新鮮過ぎて変に疑ってしまった。
「それに、時間も時間だから」
「へ?」
言われて窓の外を見ると、もう日は沈んでいた。木に止まっている梟の形をした時計(可愛い)を見ても、19時を回っていた。
「も、もうこんな時間!?」
「だから、ご飯くらい食べて行って」
「え……で、でも、ご迷惑では……?」
「俺の趣味を無償で手伝ってもらってるんだから、むしろ迷惑かけてるのはこっちだよ。嫌ならいいけど」
そ、それはそうかもしれないけど……と少し萎縮。というか、嫌ではないしこれ以上ない機会なのでお願いしたい気持ちはある。
「い、嫌なんかじゃないです! お、お友達とご飯とか……その、憧れていますから……」
「あそう。じゃあ、妹とゲームしてて」
「う……は、はい……!」
……結局、食べていくことになってしまった。
二人で部屋を出て階段を降りる。そういえば、一緒に来た由香が栗枝妹の聖良とゲームをしているはずだけど……と、思いながら、リビングに入った時だ。
「ほらほらー早くして下さい。このままでは帰れませんよ?」
「いや……あの、五分で良いから休みを……」
「ダメですわ。もう三時間はぶっ通しで続けているのです。私の両親が帰ってくる前に片付けますよ」
「無理だって! もういいよ。やめようよ! 指疲れたよ! 何回、目の前でヤンチャな天使が死んだか分かんないよ!」
「死んではいません。殴られたらやり直してるので」
「そういう事じゃねーし!」
すごく苦労していた。そりゃそうだろう、不穏なこと言いながらゲームを始めていたし。今の今まで粘っていたことも十分すごい。
その二人が、部屋の中に鈴之助と碧が入ってきた事に気がついた。
「き、来た! 助かった!」
「あら、もう終わり?」
「いや、今から晩飯作るからもう少し頑張って。半田先輩も入れてあげて」
「よっしゃああああ! 半田先輩、変わって!」
「え、あ、は、はい……!」
相当地獄だったらしい。秒で逃げ込んできた。まぁ同じゲームをぶっ通しで何時間もやるのはしんどいだろう。
とりあえず交代する事にした。
「ふふ……今度は半田先輩ですか。私の動きについて来れますか?」
「お、お手柔らかに……」
付いてくるも何も協力なのでは……と、苦笑いを浮かべながらも、とりあえず夕食が出来るまでプレイする事にした。
「私はアツスを使いますが……半田先輩はどのキャラを使われるのです?」
「わ、私は……この子で……」
選んだのはヒカチュウ。初代スマブラからいる最古参メンバーの一人だ。
「よーっし、ではやりましょうか!」
「は、はい……えと、ノーダメでしたっけ……?」
「そうですわ。まぁ、私に8割任せていただければ、後はどうとでもなりますので」
「そ、そうですか……」
それは心強い。
ボスラッシュの特徴は、通常の対戦と違いHP制だということだ。
だから、吹っ飛ぶ技とか一々選ばなくても、とりあえず適当にダメージを与えれば良い。あとは、当たらないように避けるだけだ。
「しばらくテレビの画面も見たくないくらい目が疲れた……」
「お、お疲れ様です……」
「集中して下さいな、半田先輩」
「す、すみません!」
そうだ、ノーダメなんだから集中しないと……と、気を入れ直す。最初のボスを前に、ヒカチュウとアツスが身構える……そして、一斉に襲い掛かった。
攻撃のタイミングは全て把握している。それならば、後は裸でモンハンをやるのと同じだ。当たらなければどうということはない。
ローリングとジャンプを駆使して躱しながら距離を詰め、コンボを繋げて手数を増やす。
「えっ」
隣に座っている由香から聞こえた意外なものを見たような声音を無視して、そのまま突撃。かみなりを落とし、距離が離れたらロケットずつきで攻撃と同時に距離を詰め、電撃攻撃を駆使してダメージを与えていく。
そして、あっさりとノーダメージで最初のボスを仕留めてしまった。
「すごっ……」
「や、やりますわね、半田先輩……」
「い、いえ……たまたまですから……」
いや、まぁぶっちゃけるとゲーム好きだし結構やってるわけで。オンライン対戦でVIPに行く程度の実力はあった。
引き続き、二体目のボス。他のボスに比べて小柄だが、基本的に空中で飛んでいる上にステージである飛行機を揺らしてくるリトリーというボスだ。
これは攻撃を仕掛けるタイミングをしくじるとノーダメは難しくなる、やりづらいボス……なのだが。
画面のヒカチュウは。
『ヒカチュ〜。ヒカァーッ! ヒッ、ヒッ! チュウウウウウウウ!』
鳴き声だけでヤバい動きをしていると分かる程度には暴れていた。避けて雷を流して、空中から攻撃を与え、ヤバいと思ったら緊急回避でぬるりと避ける。
「あれ……これ、もしかして聖良ちゃんより……」
「……」
そんな声音を由香が漏らした直後、戦闘が終了した。
なんとか今回もノーダメ……と、思っていると、隣の聖良がこっちを見ていた。なんかやたらと悔しそうな表情で。
「……な、中々やりますのね〜? でも、私より強いなんて思わないことです。私まだまだ本気ではございませんので。準備運動ですので」
「お、思ってませんよ……?」
三時間やってるのに準備運動終わってなかったんだ……と、苦笑いしながらも返事をする。スロースターターにも程がある。
「次は私が……!」
「おーい、飯できた。聖良、運べ」
「ええっ!? 今、ゲームの最中ですのに……!」
「分かった。お前の青椒肉絲に今からコーラゼロぶち撒ける」
「戦争になるくらい合わないでしょうが! 謝るので勘弁して下さい!」
との事で、ゲームは中断になってしまった。なんだか勝ち逃げになったみたいで申し訳ないな……と、思っていると、聖良は涙目で自分を睨んでいた。
「これで勝ったと思わないことです……!」
「えっ、思ってないですけど」
なんか、ライバル視されてしまった。
×××
食事の時間を終えて、帰り道。由香は肩で息をしながら、碧の横に並んでいた。
「……はぁ、今日は厄日ね……」
「ゲーム……そんなに大変でした……?」
由香は、それはもう憂鬱そうにため息を漏らしていた。
「しんどいとか、そんなレベルじゃないから……でも、半田先輩上手だったよね」
「は、はい……少し、やりこんでいますので……」
「意外とゲーマーなんだ……あ、そっか。そういえば、クリエイター木村のゲーム、全部クリアしてるんだもんね」
別に意外でもなんでもなかった。そもそもの話、ゲームが趣味なのが一番、意外なわけだし。
「にしても……しばらくはゲームとかしたくないわ……目ぇまだ疲れてるし」
「あ、あはは……」
スマホの画面を見るのも嫌なくらい疲れた……まぁ、あの後何故か夕食を作ってもらってしまって、少しゆっくりしたからだいぶマシにはなったが。
すると、苦笑いを浮かべていた碧が笑みを浮かべながら半ば無理している様子で言った。
「で、でも、ご飯は美味しかったですよね?」
「それはそれでキツかった……」
「あれれっ? な、なんでですかっ?」
そう、とびっきり美味かった。あれ、ここ中華料理屋? と錯覚するほど。それ故にため息が漏れるのだ。
「仮にも花の女子高生が、男子高校生より料理下手って……死にたくなるって普通は……」
「そ、そうなんですか……?」
「え、ならないの?」
「わ、私は……あまり……」
「……」
確かに、こう言っちゃなんだけど女子力は低そうだ。髪型も特にいじってなさそうだし、身体も胸が大きい代わりに足とかも割と太めではある。
「せっかくだし……もっと女子力あげたら?」
「え……わ、私ですか……?」
「他に誰がいるの。そうすりゃ、いつか彼氏とか出来ると思うし?」
「い、いえ、その……嫌です……」
「嫌なの!?」
なんかまさかの返事だった。女子力上げたくない女子がいるのだろうか?
「女の子だよ!? 別にメイクしろとかは言わないけど、もう少し髪型整えるだけでもすればって意味で……!」
「え? あ、いえ、彼氏はいらないって意味で……」
「あ、そっち……」
そっちは正直、自分も分からないでもないので、ツッコミは入れない。
「それに……私に、その……じょしりょく、なんて分不相応な物……」
「な、なんかすごいおばあちゃん発音に聞こえたけど……そんな事ないよ。ていうか、料理は最近なら人間の基本ステータスになるんだから、覚えて損はないっしょ」
「あ、あの……でしたら、別に男性に料理で負けても良いのでは……」
「……じゃあ、あいつ! あの本当になんでもできる完璧超人に女子力まで負けるのが嫌!」
ぶっちゃけそれが本音なとこある。まさかの料理も得意であることを知ってしまい、本当どこに弱点があるのか気になってしまった。なんでも出来るにも程がある。
「そ、そうですか……」
「そうです!」
いまいちピンと来てない様子だ。その辺ズボラそうな先輩には分からないのかもしれない……なんて思っていると、今度は碧の方から口を開いた。
「で、でも……その、私は……じょしりょくという、抽象的概念に詳しくないので、なんとも言えないのですが……」
「ちゅーしようがいねん? ……ちゅーを誘う外の念?」
「ち、抽象的な概念です! ……とにかく、その『じょしりょく』のことです!」
「あ、今説明を諦めたな! どうせ通じないと思って!」
「ご、ごめんなさい!」
「謝ったってことは本当にそうなの!? この正直物めー!」
この人、意外と鈴之助に似ているのかもしれない。言葉選びが絶望的に下手くそだ。
その制服の外から見た限りでは痩せて見えるその柔らかいお腹を揉みしだいてやろうか、なんて悪魔のようなことを考えている間に、すぐに碧は言おうとしていたことを言った。
「で、ですから、つまりですね……栗枝くんほど料理が美味しすぎると、女子力というより……単純に腕が良い人というイメージのような気がして……」
「……つまり、うちは女子力では負けていない?」
「い、いえ……黒崎さんの料理を食べたことがないのでなんとも言えませんが……」
「何なの!?」
「ご、ごめんなさい!?」
とはいえ……そういう考え方もあるんだ、と理解した。ならば、料理による女子力とは一定レベルに達すれば横並びになることは理解した。
つまり、自分が上げるべきは、料理以外の女子力ということになる……。
「よし、明日からとりあえずハンカチくらい持ち歩くことにしよう!」
「えっ、それ当たり前では」
「えっ」
……やばい、なんか女子力とはなんなのかが分からなくなってきた。
別に彼氏が欲しいわけでもないが、それでも女を捨てる気でもない由香にとっては一大事である。
「……よしっ」
「?」
「次のゲーム、女子力ゲームを作ってもらおう」
「それに判断を委ねるんですか!?」
そんな呑気な話をしながら、二人並んで帰宅した。
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