ディメンション・ウォーズ~異世界との戦争?上等だ!~

宮谷ロク

プロローグ

その日、地球は過去に類を見ない程の大災害に見舞われた。

だが、それは単なる自然現象ではない。

一人…人と呼んでいいかも定かになっていない生物によってもたらされたのだ。


それは、突然太平洋上空に現れ、世界を火と闇で覆った。

は一番の脅威になり得る国を瞬時に判断し、殲滅を始めた。

そしてその8時間後、アメリカ合衆国は滅びた。


その時の人間は、実に滑稽だった。

どの国がの責任を持つかで争いが起こり、そこに目を付けたは更に攻撃の手を増やし、いくつもの国が滅びた。


次にが目標にしたのは、日本だった。

日本は当然アメリカよりも兵力は劣るので、滅亡は必至かと思われた。

だが、日本は滅びなかった。

政府が1000年秘密にしてきた、人にして人ならざる人外の能力を持つ者達、

『異能者』の奮闘により、は討伐された。

しかし、がこの世界に干渉した際のゲートは開かれたままで、今もどこに開くかわかっていない。

なぜ早期に異能者を派遣して討伐しなかったのかと世界中からバッシングを受けた日本は、世界の平和を名目とした対特殊存在討伐隊「ゲーション」を設立した。

ゲーションは世界各国を飛び回り、時折現れる存在を討伐し続けた。


この戦いが始まってから、100年が経った。


***************


「おめでとうございます、あなたのお子さんには異能が備わっております!」

日本では、生まれた時に『異能所持検査』というものを受ける。

そして、そこで所持していると判断された場合は、その時点でその赤ちゃんは6歳まで肉親に育てられた後、6年間の間「異能者養成所」への入所が決定する。


***************


「…目崎淳です。」


あぁ、同い年の人に会うなんて何年ぶりだろう。

上手く話せるだろうか。

友達になれるだろうか。


「じゃあ、そこの席に着け」


指示通り、窓際の席に着く。

窓から吹く風は、ちょっぴり夏の匂いがした。


「…なぁ、お前『ゲーション』なんだろ?」

「異能、見してくれよ!」

前の席の男子達に言われる。

あぁ、どうしよう。異能はそんなに簡単に人に見せてはいけないのに。

「…駄目なんだ。異能は他人に見せちゃ。」

「…何だよ、ノリ悪いなぁ。お前、ゲーションだからって調子乗ってんのか?」

「そ、そんなんじゃないよ…」


その時、突如スマホの音が鳴る。

「キンキュウケイホウ!魔女達ウィッチズガシュツゲンシマシタ!カクタイ、タダチニシュウゴウセヨ!」

「先生!行ってきます!」

「…分かった。」


***************


渋谷に、警報が流れる。

それを聞いた付近の人間は、すぐさま避難行動に出る。

ゲーションが到着したのは、警報が流れてから5分後だった。


「淳、今は目先の敵に集中しろよ。」

「…はい。」


今助言をくれたのは、同じ班の先輩の誠上級ゲーション。

2年前の入隊試験に主席で合格した、時代の主戦力だ。


「…緊張するか?」

「えぇ、まぁ。」

「怖がるなよ、恐怖は動きを止めるからな。」

「…」


そして、空中に亀裂が走り、本来繋がる事の無い次元と次元が交わる。

その亀裂は次第に門の形になる。


「…来るぞ。」

「はい!」


門が、開く。


「ゲート解放を確認!これより、我ら第4班『ベンザイ』は戦闘を開始する!総員、構えろ!」

「了解!」


「…あれぇ、ここが『シン・セカイ』?イメージと違うなぁ」


***************


戦闘記録報告書


・報告内容「一級ウィッチズ『マインド』との交戦について」


・死者数…一名

「田村誠」上級隊員


・敵の能力

全貌は掴めなかったが、恐らく「精神系」だと思われる。

(精神系の詳細については2pを参照)


・報告者

「目崎淳」下級隊員


2122年4月4日 

※この書類は機密事項です。上級隊員未満の閲覧は許可されていません。

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