第28話 ボトルシップ

 ボトルシップに乗り込んだ。これから始まる大冒険に心が躍る。仲間はふたり。産まれてからずっと一緒の幼馴染と、兄貴分のおしゃべりオウム。

 さぁ、いかりを上げて出航だ。

 陽気な歌を口ずさみ、風を感じて帆をあやつる。ボトルの中はいつもなぎ。けれどそれでも僕らは冒険家。未知との出会いを夢見てる。


『島ダ、島ガ見エルゾー』


 バタバタと頭上でオウムが飛び回る。


「あ、本当だ!」


 幼馴染も声を上げる。僕も目を凝らして遠くを探してみるけれど、どうやっても見つからない。悔しい気持ちで振り返ると、幼馴染は悪戯っぽく笑って言った。


「目じゃないよ。心で感じるんだ」


 だってここは非現実ボトルシップなんだからと、片目を閉じるその額をペシっと軽く叩いておいた。

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