第25話 銀河のピアス

 爽やかな秋風が吹いて浮ついた気分。いつもと違う道で小さな看板が目に留まった。


『銀河、入荷しました』


  不思議な表現に首をかしげる。


「見て行くかい」


 顔を上げると店主らしき男性がこちらを見ていた。少しだけ迷ってうなずいた。

 薄暗い店内には星があふれていた。壁にかけられた絵画もランプシェードも、置いてある全てが星の柄。

 入ってきた扉が閉まると同時に、天井と足元に星の海が現れる。


「綺麗だろ」


 楽しそうに笑う店主にうながされ、テーブルへと近づくと硝子ガラスの球体が置かれていた。

 店主がスイッチを入れると、下からじわりと色が変わる。始めは淡く次第に深い藍になり、光のうずが見えてくる。閉じ込められた銀河は酷く美しくて、目が離せなくなった。

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