第21話 寂しさが解ける時

 どこからか弱々しい声が聞こえて足を止める。泣くのを我慢しているような、寂しさに耐えているような、そんな色がにじむ声。

 じっと耳をすませば、広い公園の隅にあるベンチ裏の茂みから聞こえてくるようだった。驚かさないようゆっくり静かに近づいて、そっと中を覗き込む。

 ぱちりと視線が絡み合った。小さい体に細い脚。見開いた目には涙をたたえて湖面こめんを思わせる。

 すぐにきびすを返した。急ぎ足で公園を後にして目指したのはパン屋だ。焼きたての良い香りが漂ってくる。目的のものを手にした僕は急いで公園へと駆け戻った。


「ミュ? ミュー」


 首をかしげながら美味しそうにミルクとパンを頬張ほおばる小さな命を見ていると、助けられたのは自分のような気がした。

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