第19話 相棒の隣(第九十回 #Twitter300字ss お題「流れる」)

 夜釣りに行こうと誘われて車を走らせたのは日付の変わりそうな時間帯。暗闇に包まれたダムに辿り着く。

 相棒は欄干らんかんを越えて釣り糸を垂らした。誘われるままに来てはみたものの、釣りには興味がない。ただ隣でのんびりと紫煙をくゆらせ景色を楽しむのが常だった。

 特に会話もなく流れる時間の穏やかさに癒される。他人からみれば謎に思うような関係だけれど、相棒の隣は居心地が良かった。

「来年もその先も、一緒に居られるかな」

 唐突に小さく声が掛けられた。相棒の視線の先で、力強い光の一線が湖面を流れていく。

「居るだろ、普通に」

 星に願うのも良いけれど、それを叶えるのは俺たちだ。ほっとした様子の相棒に視線を合わせて口の端を持ち上げた。

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