第13話 その瞳に映るもの

 夕暮れの街、一人の少年に目が留まる。噴水の脇に腰かけて、客の足元に屈んでいる。靴磨きかと納得すると共に疑問が湧き上がった。

 客とは特に話もせず一心に靴を磨いている。けれど、きゅっきゅっと聞こえてくる音まで弾んでいた。とにかく気になる。なぜ、あんなにも楽しそうに見えるのだろう。

 気づけばふらふらと彼に近づいていた。定型通りの交渉をして靴を磨いてもらう。やはりどこか楽し気だ。好奇心を抑えきれず、仕事が好きかと彼に問いかけた。


「靴に映った噴水を見るのが好きなんです。宝石みたいできれいでしょ」


 そう言って笑う彼の瞳の方が輝いている、とは恥ずかしくて言えなかった。というのが僕と彼、いや彼女との馴れ初めである。

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