第9話 春の水
暖かな風に冷たい水が
この春こそはと決めていた。けれど彼女を
たった一度言葉を交わし、食事の約束取り付けて。ただそれだけのことに何を舞い上がっていたのだか。あの微笑みは僕へのものじゃない。
あの、と彼女の声がする。振り返ればあの微笑みが待っていて。明日ですよねと確認されて、
友人たちとはしゃぐ後ろ姿が
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