第2話 天使の羽
彼女は空を見上げていた。晴れた空を飽きることなく。
鳥でも飛んでいるのかと視線の先を追ってみても、僕に見えるのはただ流れていく雲だけ。何がそんなにも彼女を惹きつけるのだろうかと不思議に思う。
けれど地上に視線を戻し、僕は唐突に理解する。
彼女の立つ場所に光が射した。天から招かれているかのように、まっすぐ彼女へ向かって伸びる天使の梯子。黄金に煌めく光を受けて、彼女の背から羽が広がっていく。ひゅっと吹きつける風を受け、それが小さく羽ばたいた。
「待って」
思わず声を上げてしまう。驚き振り向く彼女の背にはもう羽はなく、僕は安堵の息を洩らす。
だが、しかし。自覚してしまったこの気持ちを、僕は言葉にできるだろうか。
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