第197話 やはり浮気は悪である

「あひゃひゃひゃひゃひゃっ!!浮気者を討ち取りに来たぞオイゴラァ!!」

「さあ、浮気者の超社長、責任を取って死にましょうアァゴラァ!!」

「ああ、超社長、あなたを殺して、ワタクシも死にますわテメェゴラァ!!」


 女性型バニーモンスターたちが続々と入城して行く。


 それにしても、すさまじい数だな。


 1万体くらいのバニーモンスターがいるんじゃないか?


 これって、俺たちの出番はあるのかな?


 というか、女性型バニーモンスターたちが殺到しているせいで、城に入れないのだが……


 これは本当に俺たちの出番はなさそうだ。


 まあ、どうでもいいけどな。


 さて、どうするかな?


 とりあえず、城の近くで待機しているとしようか。



 しばらくの間、城の近くで騒ぎを眺めていた。


「超社長、どこに消えやがったオンドリャァ!!」

「超社長が逃げたぞオラオラァ!探せ、探せぇぇぇオラオラァ!!」


 すると、このような叫び声が聞こえてきた。


 そして、女性型バニーモンスターたちが次々と城から出て行った。


 超社長は逃げたのか?


 まあ。この状況では仕方ないか。


 さて、これからどうしようか?


 とりあえず、城を探索してみようか?


 超社長が所持している兵器を入手できるかもしれないしな。


 では、行くとするか。



 超社長の城に入った。


 うわぁ、ボロボロだな……


 内部は凄惨な光景が広がっていた。


 壁や柱の一部が崩れ、飾ってあった彫刻や絵画が破壊され、床に敷いてある赤いカーペットはズタズタに引き裂かれていた。


 内部も美しかっただろうに、悲惨なものだなぁ。


 まあ、俺のものじゃないからどうでもいいけどな!


 では、中をひと回りしてみるか。



 な、なんだあれは!?


 天蓋付きの豪勢なベッドのある部屋で、人間型の何者かがうつ伏せになっていた。


 2メートルくらいの長身。

 膝から上が、すべて赤い布で覆われている。

 黒い長ズボンに、黒い革靴を履いている。

 ウサギの耳は付いていない。


 このような姿をしている。


 しかも、その下には赤い水だまりができている。


 あれは血だまりか!?


 誰なんだ、あの人は!?


 ウサギの耳が付いていないし、地球人なのか!?


 とりあえず、手当てをしないと……


「トウヤ、あいつは超社長かもしれない」


 ルギデルがそう言った。


「えっ!?超社長は逃げたって、バニーモンスターたちが言ってなかったか!?」


「ああ、確かに言っていた。だが、あの布はルカブシーツに見える」


 確かにシーツお化けみたいだな。


「だから、あいつは超社長の可能性がある」


「そうなのか。なら、確認してみるか。ルギデルは超社長の顔を知っているのか?」


「いや、見たことがない」


「それなら、鑑定してもらおうか」


「総理!そこに倒れている方はどなたですか!?」


「えー、超社長です」


「ええっ!?超社長は逃げたわけではないのか!?ところで、あの超社長は死んでいるのか!?」


「総理!超社長は死亡していますか!?」


「えー、しています」


 死んでいるのか!?


 これは、いったいどういうことなんだ!?


 訳が分からなさ過ぎるぞ!?


 もしかして、女性型バニーモンスターたちは、超社長を殺してしまったショックで、発狂してしまったのか?


 それで超社長は逃げたと思い込んでいるのだろうか?


 あり得そうだな。


「超社長はどこだオルアァ!!出て来やがれオルアァ!!」


 おっ、ちょうど良く女性型バニーモンスターがやって来たぞ。


 スーツ姿をしているバニーモンスターだ。


 よし、あいつに聞いてみようか。


「あの~、超社長ならそこにいますよ」


「何言ってやがるんだオルアァ!あれは違うに決まってんだろうがオルアァ!!」


 えっ!?

 どういうことなんだ!?


 あれは超社長じゃないのか!?


 官邸が間違っているというのか!?


 発言の根拠を聞いてみよう!


「あの方はどう見ても超社長ですよ。なぜ違うと断言しているのですか?」


「そんなの女の勘に決まっているだろオルアァ!!」


 勘なのかよっ!?


「では、あの方は誰なのですか?」


「あれは、その、なんというか、抜け殻だなオルアァ」


 抜け殻!?

 超社長が脱皮したというのか!?


「それはどういうことですか!?」


「ああ、もう、うるせぇなオルアァ!!とにかく、あれは超社長じゃないんだオルアァ!超社長は他の場所にいるんだオルアァ!!」


 スーツ姿のバニーモンスターは走り去ってしまった。


 うーむ、どういうことなんだろう?


 とりあえず、本当に抜け殻なのか調べてみるか。


 触ってみたが、中身は入っているようだ。


 蛇やセミのように脱皮したという感じではないな。


 では、どういうことなのだろうか?


 超社長の魂みたいなものが体から抜け出して、他のものに乗り移ったということなのか?


 そんな魔法が存在するのだろうか?


 それとも先程の女性がおかしくなっているだけなのか?


 調べてみよう。


 とりあえず、超社長がそういう魔法を使えるのか、鑑定してもらおう。


「総理!超社長は魂を他のものに移し替える魔法を使えますか!?」


「えー、使えるようです」


 な、なんだって!?


 本当にあったのかよっ!?


 なら、超社長はその魔法を使ったのか!?


「総理!超社長は魂を他のものに移し替える魔法を使用したのですか!?」


「えー、その可能性が高いと思われます」


 そうなのか。


 それなら超社長はどこに行ったんだ!?


「総理!超社長はどこに行ってしまったのですか!?」


「えー、不明です」


 そこは分からないのか。


 うーむ、いったいどうやって探したら良いのだろうか?

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