第193話 マーサバゴ・マサバァ

 官邸に星間転移おろし金の使い方を教わり、使用した。


 すると、俺の前に直径2メートルほどの黒い円が出現した。


 これがマーサバゴ・マサバァ星につながる黒い円なのか。


 ところで、この円は星のどこにつながったのだろうか?


 外に出たら、いきなり敵地のド真ん中でした!!

 バニーモンスターの大群が襲ってきました!!


 という展開は、勘弁して欲しいのだが……


 ちょっと官邸に聞いてみよう。


「総理!この黒い円はマーサバゴ・マサバァ星の、どこにつながっているのですか!?」


「えー、陸地からかなり離れた海の上空、高度4000メートルの位置につながっています。バニーモンスターに見つかりづらそうな場所に出しておきました」


 おおっ、そんなことをしてくれていたのか!!


 そいつはありがたい!!

 気が利いていて、素晴らしいぞ!!


 官邸に礼を言っておいた。



 では、出発しようか。


 ヘリコプターフライを召喚した。


 そして、飛行魔法をかけてもらい、黒い円に入った。



 ここがマーサバゴ・マサバァ星か。


 空は青くて、白い雲が所々にある。


 太陽もあるようだ。


 下には、青く美しい海が広がっている。


 ここも地球に似ている星なんだな。


 さて、サーバーを探しに行こうか。


 と言いたいところだが、俺たちが通って来た、この黒い円は閉じた方が良いよな?


 空を飛んでいるバニーモンスターが入ってしまって、問題を起こすかもしれないしな。


 ちょっと閉じ方を官邸に聞いてみようか。


 黒い円を閉じるボタンがあるそうなので、それを押した。


 戸締りは、これで完璧だな!


 後は目立たないように、身を隠さないとな。


 カクチューを召喚し、幻影魔法をかけてもらった。


 よし、では、出発するか。



 適当に移動してみた。


 すると、大陸が見えてきた。


 よし、あそこから調査するとしようか。


 まずは離れた位置から望遠魔法で、様子を見てみよう。


 ツシタを召喚して、装着し、望遠魔法を使ってもらった。



 ずいぶん大きな大陸のようだな。


 おや?


 あれ?


 な、なんだこの大陸は!?


 バニーモンスターの畑ばかりじゃないか!?


 他にあるのは、海岸付近の砂浜と、バニーモンスターの拠点と思われる白い倉庫のような建物くらいか……


 えっ!?

 なんだあれは!?


 カラフルなウサギの耳が付いている、巨大な緑色の塊があるぞ!?


 なんだあの意味の分からん物体は!?


 ん?

 よく見ると、あれは木だな。


 大量に葉が付いている、巨大な柳のような木だ。


 高さは50メートルくらい。

 幅は30メートルくらい。


 木の頂に、長さ2メートルくらいのウサギの耳が9段重ねになって付いている。

 色は下から、赤、黄、青、赤、黄、青、赤、黄、青だ。

 まるで信号のようだ。


 あれは樹木型のバニーモンスターなのか。


 あんなとんでもないサイズのバニーモンスターがいるのかよ。


 恐ろしいなぁ。


 あっ、そうだ、呼び名を決めないと。

 あいつは『バニー巨木』とでも呼ぶことにしよう。



 ……うーむ、あいつを見ていたら、なんだか嫌な予感がしてきたぞ。


 実はあいつがサーバーを守っているんじゃないか?


 あり得そうだよなぁ。


 よし、ちょっと鑑定してもらおうか。


「総理!あの巨大な樹木のバニーモンスターが、サーバーを守っているのですか!?」


「えー、あのバニーモンスター自体がサーバーなので、守っているとも言えますね」


 えええええっ!?

 あれがサーバーなのか!?


 コンピューターだと思ってたら、木だったのかよっ!?


 あんなのどうすれば良いんだよっ!?


「総理!あのバニーモンスターに誤情報を流させる方法はなんですか!?」


「えー、秘匿魔法の奥義を使えば良いと思います」


 そうなのか。

 では、ヒトクを召喚しよう。


「ヒトク、あそこにいるバニー巨木に、秘匿魔法の奥義を撃ってくれ!」


「了解ッスよ!と言いたいところッスけど、ここからでは遠過ぎて届きませんよ」


「そうなのか?そういえば、奥義の射程を調べていなかったな。どのくらいなんだ?」


「正確にはよく分かりません」


「なら、鑑定してもらおうか」


「総理!ヒトク氏の秘匿魔法の奥義の射程を教えてください!」


「えー、5キロですね」


「へぇ、かなり長いんだな。では、そこまで近づいてみるか」


「大丈夫ッスかね?あのバニーモンスターは、ただものではない気がしますよ」


「それもそうだな。耳が9段重ねだしな。そういえば、あいつはなんというランクなんだろうか?」


「総理!あのバニーモンスターのランクはなんですか!?」


「えー、9段重ねなので、ノナプルバニーランクでしょう」


「へぇ、そう呼ぶのか。って、脱線してしまったな。話を戻そう。あいつにどのくらい近付いたら、感知されるか分かるか?」


「総理!トウヤ氏とヒトク氏は、あのバニーモンスターに気付かれずにどのくらい近付けますか!?」


「えー、あの大陸には、バニー巨木の根が張り巡らされています。着陸すると気付かれる可能性が高いと思われます。空から近付く場合は、周囲10キロ圏内に入ると音で気付かれる可能性があります」


 根と音か。


 さて、どうするか?


 うーむ、そうだなぁ。


 何か良い手はないものか?


 何も思い付かない……


 ちょっとみんなにも聞いてみようか。


 誰か意見のある者はいるか?


 みんな思い付かないようだ。


 困ったなぁ、どうするか?


 とりあえず、バニー巨木をしばらく観察してみようか。

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