第105話 診療所に行き過ぎ?

 町に戻って来た。


 そして、買取所へ向かい、倒したバニーモンスターをすべて売却した。


 バニーサル3体とバニー偽看板で、合計60万イオロで売れた。


 結構もうかったな。


 では、病院を探そうか。



 『ナオセ・ナイ診療所』という看板がある建物を見つけた。


 外観はニョーロ山の町の診療所とほぼ同じだ。

 違うのは看板に書いてある名前だけだな。


 ところで、なんでこんな名前なんだよっ!?


 『治せない診療所』って、やる気の欠片すらも感じないのだが!?


 どうしてこんな名前にしてしまったんだ!?


 この看板を見ていると、ここで診察してもらおうという気持ちが消えていくぞ!?


 それで良いのか!?


 って、どうでもいいか。



 さて、どうしようか?


 他の診療所を探してみようか?

 それとも、あえてここで診てもらおうか?


 うーむ、そうだなぁ。


 周囲に人はいないな。

 よし、ここを鑑定してもらおう。


 あ、町中だから、声は抑えめに頼むよ。


「総理、この診療所の医師はヤブ医者なのですか?」


 オブラートなし!?

 どストレートな質問だな!?


「えー、違います。名医です」


 こんな名前の診療所なのに、名医がいるのか!?


 なら、ここで診てもらおうか。


 SIBINを取り押さえて、ナオセ・ナイ診療所に入った。



「ふへへへへへっ!!俺様の茶色い水をくらいやがれですぜ!!!!」


「ひょーっひょひょひょひょひょひょひょひょひょひょひょひょひょひょ!!!」


「うけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ!!!!」


「キョエェェェェェェェェッ!!!キエェェェェェェェェェッ!!!!」


「愚民ども、我が奥義を受けるが良いッペ!!げひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」


 診療所の中はひどい有様でした。


 なんだ、この惨状は!?


 SIBINと同じような症状の方々が、暴れ回っているぞ!?


 これは、もう診察してもらえないのではないか?


 帰った方が良いのかな?


「らっしゃせーなんだぜ!!」


 職員と思われる、ヒトクと同種族の方に声をかけられた。


 この方は青い扉をしている、多彩な種族なんだな。


 さて、診察できそうか聞いてみるか。


「あの、今日は診察を受けれそうですか?中で暴れている方々と同じような症状なんですけど……」


「ああ、あれと同じなのかだぜ。今は薬が品切れになっていて、受診しても意味がないかもしれないんだぜ!」


「そうなんですか。薬の入荷予定はありますか?」


「今のところ目途はたっていないんだぜ!材料の産地で強力なバニーモンスターが出たせいらしいんだぜ!」


 ニョーロ山の町の医者と同じことを言っているな。


「そうなんですか。では、出直します」


「お大事になんだぜ!!」


 俺は診療所を出た。



 人気のないところで、SIBINをカードに戻した。


 この診療所も、ダメだったか。


 こうなったら、薬の産地に行くしかないか。


 まあ、そろそろ日が暮れるから、今日行くのはやめておくけどな。


 では、泊まれるところを探そう。



 町の中を探索したら、1泊10万イオロの温泉旅館を見つけた。


 お金はあるので、泊まることにした。


 温泉も料理も大満足の素晴らしい旅館でした。



 次の日。


 おはようございます。


 温泉のおかげで疲れはまったく残っていない。

 万全の状態だ。


 よし、そろそろ出かけるとするか。


 確か薬の産地はニョーロ山の西とか言っていたな。


 では、出発しよう!



 空を飛んで、ニョーロ山の西に向かった。


 すると、高山が見えてきた。


 麓の方は緑豊かだが、頂上の方は緑が少なめで、岩が多いみたいだな。


 あれが目的地のタシーエクス山か?


 鑑定してもらおう。


「総理!あれはなんという山ですか!?」


「えー、あれはタシーエクス山です」


 目的地に到着したか。


 それにしても、高い山だな。

 何メートルあるんだ?


「総理!タシーエクス山の標高は何メートルですか!?」


「えー、標高は4111メートルです」


 そんなにあるのか!


 探索が大変そうだな。


 では、行くとするか。



 タシーエクス山に近付くと、その麓に町があった。


 よし、町に行ってみるか。



 町の中に入った。


 人が全然いないな。


 やはり強力なバニーモンスターのせいなのかな?


 いったいどんなヤツなのだろうか?


 それとコツコウという石は、山のどの辺にあるのだろうか?


 強力なバニーモンスターとの交戦は避けられるのだろうか?


 情報収集しよう。


 どこか情報のありそうな場所はないかな?



 『ナ・オリマクル診療所』という看板がある建物を見つけた。


 外観はナオセ・ナイ診療所とほぼ同じ、違うのは看板に書いてある名前だけだ。


 『治りまくる診療所』か。


 そんなに腕に自信があるのか?

 それとも、ハッタリをかましているだけなのか?


 どちらなんだろうな。


 念のために、鑑定しておこうか。


「総理、この診療所の医師はヤブ医者なのですか?」


 またド直球な質問だなぁ。


「えー、違います。名医です」


 ここの医者も名医なのか。


 なら、入ってみようか。


 薬が残っていれば良いけど……



 中はナオ・ラナイ診療所とほとんど変わらないな。


 違うのは患者がいないところくらいだ。


 この町の住民は、みんな健康なのか?


 だとすれば、素晴らしいことだな。


 さて、受付に薬があるか聞いてみよう。


「すみません。キセツケとコンウノカセキを飲んで、副作用でおかしくなってしまった仲間がいるのですが、薬の在庫はありますか?」


「申し訳ないんだわ!今、その薬はないんだわ!」


 受付の黄色い扉をしたヒトクと同種族の方がそう言った。


 ここにもないのか。


「材料はすぐそこの山で採れるんですよね。なぜないのですか?」


「材料は山頂にあるんだわ!でも、強力なバニーモンスターが居座っていて近付けないんだわ!」


 これは、そのバニーモンスターを倒さなければならないのか?


 もっと情報を集めてみよう。


「どんなバニーモンスターなんですか?」


「詳しいことは分からないんだわ!私はウワサを又聞きしただけなんだわ!」


 そうなのか。


 ここでは、これ以上の情報は手に入らなさそうだな。


 他の場所へ行くか。


 俺は受付に挨拶をして、診療所を出た。

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