第104話 撃ちたくなる
さて、この洞窟は落盤で入れないようだし、他を探すとするか。
「提案があります。本機がこの洞窟を探索するというのはいかがでしょうか?」
ロケットフライがそう言った。
「えっ、それは危ないだろ。やめておいた方が良いと思うぞ」
「本機には土魔法があります。ご心配には及びません」
「土魔法で落盤に対処できるのか?」
「問題ありません」
なんだか自信がありそうだな。
頼んでみようか。
「そうか。なら、頼むよ」
「かしこまりました」
俺はロケットフライを召喚した。
「それでは、行って参ります」
「ああ、気を付けてな!」
ロケットフライが探索に向かった。
さて、俺たちは洞窟の前で待っているか。
「目標物を発見しました」
早っ!?
早過ぎなんじゃないか!?
今、洞窟に入って行ったばかりだろ!?
入口の近くにあったのか!?
「どうぞ」
ロケットフライが石を渡してきた。
直径5センチくらいの茶色い石だ。
結構硬いな、当たり前の話だが石のような感触がする。
動物が出すアレのような感触ではない。
これがコンウノカセキなのか?
鑑定してもらおう。
「総理!この茶色い石はなんですか!?」
「えー、これはコンウノカセキです。SIBIN氏が、これを粉末にして飲み込めば、奥義を覚えることができます」
おおっ、本物だったか!
また動物のアレじゃなくて良かった!!
では、カオスに加工してもらおうか。
カオスにコンウノカセキを粉末にしてもらった。
後はSIBINに飲ませるだけだ。
問題は、これを大人しく飲んでくれるのかという点だな。
飲んでくれと頼んだところで、素直に言うことを聞くとは思えないし。
さて、どうしようか?
拘束して、無理矢理飲ませてしまうのが1番早いか?
「本機がお手伝いさせていただきます」
ロケットフライが手伝いを申し出てくれた。
では、お言葉に甘えるとするか。
「ありがとう、ロケットフライ。では、俺がSIBINを取り押さえるから、その隙に飲ませてくれ」
「かしこまりました」
ロケットフライにコンウノカセキの粉末を渡した。
よし、SIBINを召喚しよう。
SIBINが出て来た。
「うおおおおおおおおおおおっ!!!かかって来いやぁぁぁ!!バニーモンスターどもぉぉぉ!!!!!」
SIBINは相変わらずの興奮状態だ。
さっさと飲ませてしまおう。
俺はSIBINを捕まえて、抑え込んだ。
そして、ロケットフライがコンウノカセキの粉末を、SIBINの開口部に流し込んだ。
さて、どうなる?
これで治ってくれると良いのだが……
「う、うう、うぎゃああああああああああああああっ!?」
SIBINが叫び出した。
どうしたんだ、SIBIN!?
「おおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
SIBINが叫びながら、周囲に茶色い水の球を撃ち始めた。
危なっ!?
おい、こら、何をやっているんだよっ!?
「うひひひひひひひひひひひひっ!!撃つの楽しいぃぃぃぃ!!!あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
な、なんだあれは!?
先程とは、症状が違っている気がするぞ!?
いったいどうしてしまったんだ!?
「総理!SIBIN氏は、なぜあのようになってしまったのですか!?」
「えー、あれはコンウノカセキの副作用です。極度の興奮状態になり、人間のお茶魔法を無性に撃ちたくなっています」
なんだそりゃぁ!?
それって、悪化したということか!?
「総理!SIBIN氏の症状は悪化したのですか!?」
「えー、その通りです」
やはり悪化していたのかよっ!?
治る可能性に賭けたが、ダメだったか!
やはり世の中は、そんなに甘くはないな!
クソッタレが!!
「敵機の接近を感知しました」
突然ロケットフライがそう言った。
敵機って、なんだ!?
周囲の森の中から、バニーサルが3体現れた。
敵機って、こいつらのことなのかよ!?
こんな忙しい時に面倒な!!
「見つけたぞ!!バニーモンスター!!こいつをくらいやがれぇぇぇ!!」
SIBINが茶色い水の球を、さらに撃ち出した。
おい、ちょっと、こっちに飛ばすなよ!?
俺たちは茶色い水の球を回避した。
しかし、バニーサルたちは回避し切れなかったようだ。
茶色い水の球が当たり、悲鳴を上げている。
えっ!?
あれは何をやっているんだ!?
突然3体のバニーサルが体育座りをして顔を伏せた。
そして、そのまま動かなくなった。
いったいどうしてしまったんだ?
あっ、まさか、あの茶色い水の球は奥義の茶色い無気力の水なのか?
生きる気力がなくなって、ああなったのか?
ちょっとバニーサルたちを鑑定してもらおう。
「総理!あのバニーサルたちは、なぜ体育座りをしているのですか!?」
「えー、茶色い無気力の水を受けたせいで、生きる気力を失ったからです」
やはりそうなのか。
恐ろしい奥義だな。
「うきょーっきょきょきょきょきょきょきょきょきょきょきょ!!!!撃ちまくるのたのちぃぃぃ!!!!」
SIBINは、その恐ろしい奥義を笑いながら撃ちまくっている。
危険過ぎるだろ!?
さっさとカードに戻してしまおう!
SIBINをカードに戻した。
ついでに、3体のバニーサルにとどめを刺した。
ふう、状況が落ち着いたな。
さて、これからどうしようか?
そういえば、SIBINのステータスはどうなっているのだろうか?
特記事項の欄に何か増えているのだろうか?
ちょっと見てみよう。
特記事項の欄に『調子に乗りたくなる病、人間のお茶魔法撃ちたくなる病発症中』と記載されていた。
変な病気が増えてる!?
こうなったら、またSIBINを病院に連れて行くしかないか。
ここの病院なら薬が置いてあるかもしれないからな。
よし、それで決定だな。
では、町に戻るとしよう。
バニーサルたちをアビスに収納してもらって、下山した。
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