第103話 もっと鑑定しましょう

 さて、イダチョウ山に向かうか。


 と思ったが、もう日が暮れそうだな。


 いろいろあって疲れたし、今日はもう終わりにするか。


 では、宿を探すとしよう。



 町を探索したら、立派な建物の温泉旅館を発見した。


 宿泊料金は1泊10万イアルと高額であったが、泊まることにした。


 温泉に入って、ゆっくりしたいからな。



 次の日。


 いやあ、温泉も料理も素晴らしかったなぁ。


 では、出発しようか。


 俺たちは町を出て、南へ飛んだ。



 ニョーロ山くらいの大きな山を発見したぞ。


 緑豊かで美しい山だな。


 麓にそこそこ大きな町もある。


 あれがイダチョウ山なのか?


 鑑定してもらおう。


「総理!あの山はなんですか!?」


「えー、あれはイダチョウ山です」


 よし、目的地に到着したようだな。


 ところで、あの山の標高はどのくらいなんだ?


「総理!イダチョウ山の標高を教えてください!!」


「えー、3612メートルです」


 ニョーロ山より少し高いのか。


 では、町に行ってみようか。



 町の中に入った。


 ここも結構人がいるんだな。


 おっ、土産物屋もあるぞ。


 ここもコンウノカセキが売ってたりするのかな?


 ちょっと覗いてみるか。



 やはりあるのかよっ!?


 店頭の真ん中に、おしゃれな小さなビンに入れられたコンウノカセキの粉が置いてあった。


 その近くには『これであなたも人間のお茶魔法の奥義が覚えられる!!イダチョウ山名物コンウノカセキの粉!お買い得ですよ、奥さん!!』と手書きされた広告が張ってあった。


 こんな目立つところに置いてあるなんて、人気の売れ筋商品なのか?


 どうなのだろうな。


 ところで、お値段はどのくらいなんだ?


 ええええっ!?

 50万もするのか!?


 高過ぎだろっ!?


 いくらなんでもボッタクリなんじゃないか!?


 今なら買えなくはないけど、この価格では買いたくないなぁ。


 古物屋にカードが売られている可能性があるし、浪費は避けたいし。


 ここは大人しく山に行って、コンウノカセキを探すことにするか。


 では、行こうか。


 土産物屋を出て、山に向かった。



 イダチョウ山の登り口に着いた。


 さて、がんばって登るとするか。



 山道を歩いている。


 緑豊かで景色がキレイだ。

 空気も美味しいし、良いところだな。


 おっ、切り立った崖が見えるぞ。

 あそこに洞窟がありそうだな。


 行ってみよう。



 崖の近くまでやって来た。


 そこには洞窟があった。


 水平方向に伸びている横穴で、入り口の大きさは、高さ3メートルくらい、幅が4メートルくらいだ。


 ニョーロ山にあった洞窟より、小さい洞窟だな。


 そして、入り口には立て看板が置いてあった。


 大きさは高さ150センチくらい、幅70センチくらい。

 金属製のように見える白い看板だ。


 赤い文字で『落盤事故発生!立ち入り禁止!!』と書いてある。


 落盤事故か。


 なら、入るわけにはいかないか。


 仕方ない、他を探すとしよう。


 俺は看板に背を向けた。


「トウヤ!横に跳べ!!」


 骸王がそう叫んだ。


 俺はすぐさま横に跳んだ。


 俺が先程までいた場所を、何かが通り過ぎて行った。


 えっ、今のはなんだ!?


「骸王、何が起きたんだ!?」


「看板だ!看板が突然浮き上がり、向かって来たのだ!」


「えっ!?まさかバニーモンスター!?」


「その可能性が高い!注意しろ!」


「トウヤ、また来おったぞ!」


 今度はラビリンが警告してきた。


 俺はすぐにその場を離れて、飛んで来た看板を回避した。


 しかし、看板は旋回して、再び向かって来た。


 しつこいヤツだな。


 ただ、あまり速くはないな。

 今の俺なら対処できそうだ。


 俺は刀を抜き、飛んで来た看板を両断した。


 看板は地面に落ちて動かなくなった。


 これで倒したことになるのか?


 いつも通り刀の先端で突いてみた。

 看板は動かない。


 よく見ると、看板に書いてあった赤い文字が消えている。


 これはどうやら倒したようだな。



 では、初見の敵だし、いつも通り鑑定してもらおうか。


「総理!この敵の特徴を教えてください!」


「えー、これは看板に擬態するバニーモンスターです」


 なんで看板に擬態するんだ?


 嫌がらせなのか?

 意味の分からんヤツだな。


「ウサギの耳は看板の裏に付いています」


 裏返してみると、長さ40センチくらいの白いウサギの耳が、看板の真ん中に描かれていた。


 こんなところにあったのかよっ!?


「鋼でできています」


 鋼製か、使い道は特にないな。


 持って帰って売却しよう。


 アビスに収納してもらった。


 あ、すごく今更だけど、呼び名を決めていなかったな。

 あいつは『バニー偽看板』と呼ぶことにしよう。


 さて、洞窟の中を調査するとしようか。


 ここにコンウノカセキがあれば良いのだが……



 内部を探索してみたが、コンウノカセキは見つからなかった。


 仕方ない、他を探そう。



 ん?

 また先程のような洞窟があったぞ。


 また入り口に『落盤事故発生!立ち入り禁止!!』と書いてある、先程と同じような看板が置いてある。


 やれやれ、またバニー偽看板かよ。


 さっさと倒してしまおう。


 俺は看板を斬った。


 看板は縦に真っ二つに斬り裂かれた。


 これで倒したはずだ。 

 念のために、刀で突いてみたが動かなかった。


 よし、倒したな。

 擬態していると分かっていれば、楽に勝てる相手だな。


 では、アビスを召喚して、収納してもらおうか。


「あれ?これ、おかしいよ。看板の文字が消えてないよ」


 アビスがそう言った。


 えっ!?

 そういえば、先程は文字が消えていたな。


 どういうことだ?


 ちょっと裏側も見てみよう。


 ウサギの耳がない!?


 ま、まさか、これって!?


 鑑定してもらおう!!


「総理!この看板はバニーモンスターなのですか!?」


「えー、違います。これは本物の看板です。この洞窟で落盤事故が起こったため設置されました」


 な、なんだってぇぇ!?

 これ、本物なのかよっ!?


 これはマズい!?

 このままでは器物損壊罪になってしまうぞ!?


 まさかこれがバニーモンスターの戦略なのか!?

 看板を破壊させて、逮捕させるという戦略なのか!?


 なんて卑劣な!?

 おのれっ、バニーモンスターめ!!


 あっ、そうだ!

 カオスに看板を直してもらおう!!


 カオスに直してもらって、元の場所に置いた。


 これでセーフだよな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る