第102話 医者は大変だね
よし、この診療所に行ってみよう。
問題はSIBINだな。
召喚したら、暴れ出すかもしれない。
いや、確実に暴れ出すと思った方が良いだろう。
何か良い手はないものか?
「吾輩が丈夫な布を作ってやろう。それに包んで持って行くが良い」
カオスが提案してきた。
丈夫な布か。
良いかもしれないな。
では、さっそく作ってもらおう。
カオスに黄色のバニーモモの皮で、1辺の長さが2メートルくらいの正方形の風呂敷を作ってもらった。
これならSIBINを取り押さえられるだろう。
よし、さっそく実行だな!
SIBINを召喚して、取り押さえた。
「くっ、お、おのれぇ、この俺様になんということをしているんだ!?さっさと離せぇ!!」
SIBINが暴れながら、文句を言っている。
だが、そんなのは無視だ!
さあ、行くぞ!
俺たちはナオ・ラナイ診療所の中に入った。
中は日本の診療所と、それほど変わりはないようだ。
玄関があって、その奥に待合所と受付がある。
ただ、違うところもある。
それは……
「うぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょっ!!!」
「最強っ!無敵っ!シービル様見参だべ!!ひれ伏せだべ!!愚民どもだべ!!」
「きょーっきょきょきょきょきょきょきょきょきょきょ!!!」
SIBINと同じ病気になっているのと思われる連中がいるところだ。
診療所なのに、うるさいところだな!?
まあ、仕方ないか、そういう病気だしな。
さて、受付に行こう。
「あの、すみません。診察を受けたいのですが、よろしいでしょうか?」
「らっしゃせーなんだな!!もちろん、良いんだな!」
受付の赤い色のヒトクみたいな方が、元気良く答えてきた。
診療所の受付にしては威勢が良いな。
あ、そうだ、料金を聞いておかないと!
「ところで、診察料はいくらかかるのですか?」
「診察だけなら5万イオロなんだな!後は患者の症状次第なんだな!」
最低5万か。
まあ、それくらいなら問題ないか。
「そうなんですか。では、診察を受けます」
「整理券を持って待っているんだな!」
4番の整理券を受け取った。
では、待合所で待っているか。
本でも読んでいようかな?
「ぬおおおおおおおおっ!!おのれっ、バニーモンスターめぇ!ここを出せぇぇ!!」
SIBINを抑えてなければいけないから、本は読めそうにないな。
「4番の整理券の方!診察室にどうぞなんだな!!」
おっ、呼ばれたぞ。
それでは、行くとするか。
診察室に入った。
ここも日本の診療所と、たいして変わらないな。
医者と思われるSIBINと同じ種族の方がいる以外はな。
「そこにおかけくださいズラ」
医者にそう言われた。
俺は椅子に座った。
「今日はどうされたズラ?」
「実は仲間がキセツケを飲み込んだ後に、おかしくなってしまいまして、それでここに来たというわけです」
「ああ、またズラか……」
医者が何かを諦めたような口調でそう言った。
なんだかストレスがたまってそうな方だな。
やはりSIBINと同じ病気の方が、たくさん来るのだろうか?
大変だねぇ。
「それでは、診察をするズラ。患者を出して欲しいズラ」
SIBINを風呂敷から出した。
「ふへへへへへへへへへへへへっ!!待ってろ、バニーモンスター!今すぐぶっ殺してやるぞ!!うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
SIBINが狂ったように叫んでいる。
「ああ、なるほど、典型的ズラね」
医者がそう言った。
これが典型的なのか。
苦労が絶えなさそうな職場だなぁ。
「それでどうすれば治るのですか?」
「キセツケを飲み込んでから、そう時間がたっていないなら、吐き出させるだけで良いズラ。ただし、奥義は使えなくなるズラ」
それはちょっと困るのだがなぁ。
「他に何か方法はありませんか?」
「コンウノカセキは飲み込んだズラか?」
もう一つの奥義を覚えられる石のことだな。
「いいえ、飲んでませんけど、それが何か?」
「なら、それを飲み込ませてみるという手もあるズラ。治る可能性があるズラ」
可能性がある!?
ということは……
「それって、治らない可能性もあるのということですか?」
「それどころか、余計にひどくなる可能性もあるズラ」
これ以上ひどくなるのか!?
おい、こら、なんでそんなものを勧めてくるんだよっ!?
キチンと治す手段を言えよ!
「あの、確実に治す手段はありませんか?」
「薬があるズラが、今は品切れズラ」
品切れなのかよっ!?
くっ、なんとかならないのか!?
「入荷予定は?」
「不明ズラ」
「それはなぜですか?」
「材料の産地に強力なバニーモンスターが現れたと聞いているズラ」
「その産地とはどこなんですか?」
「西にある『タシーエクス山』のことズラ」
西か。
確かそっちにバニーモンスターの拠点があったはずだ。
他の星から援軍が来たのか?
「そこにある『コツコウ』というピンク色の石が必要ズラ」
そうなのか。
なら、それを拾いに行こうかな?
いや、まずはコンウノカセキを飲ませてからにするか。
そっちの方が、危険が少なそうだしな。
では、次はイダチョウ山に行くことにしよう。
診察料の5万イオロを払い、診療所を出た。
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