第101話 暴走尿瓶!?

「総理!この石の粉末を飲めば奥義を覚えられますか!?」


「えー、SIBIN氏なら覚えられます。この石をすべて粉末にして、飲み込んでください」


 念のために、キセツケを鑑定してもらった。


 良かった、どうやら覚えられるようだな。


 では、飲んでもらおうか。


 カオスに加工してもらい、SIBINの開口部に粉末を流し込んだ。


「こ、これは!?あ、ああ、ああああああああああああっ!!」


 突然SIBINが叫び出した。


「どうした!?大丈夫か!?」


「大丈夫ですよ、トウヤさん!!全身に力がみなぎってきます!これは素晴らしいですよ!」


「おおっ!それは良かった!」


「これならバニーモンスターでも、超社長でも、なんでも倒せますよ!」


「そいつは頼もしいな!」


「ええ、任せてください!さっそく倒しに行きましょう!!あははははははははっ!!!」


「えっ、今から!?ちょっと落ち着けって……」


「うひひひひひひっ!あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」


 SIBINが笑いながら、洞窟の中を飛び回っている。


 えっ!?

 なんだこれは!?


 どうしたんだ、SIBIN!?


「総理!SIBIN氏は、なぜあのような状態になったのですか!?」


「えー、あれはキセツケの副作用です。体質にもよりますが、あのように極度の興奮状態になることがあります」


 副作用!?

 そんなのあったのかよっ!?


 奥義書にそんなの書いてなかったぞ!?


「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」


 SIBINが笑いながら、洞窟の出口の方に飛んで行った。


 ちょっと!?

 どこに行くんだよっ!?


 まさか本当に超社長を倒しに行ったのか!?


 追いかけないと!


 俺たちはSIBINを追って、洞窟を出た。



 洞窟を出てすぐのところに、SIBINがいた。


 なぜか3体のバニーサルと対峙している。


 あのバニーサルは、どこから湧いてきたんだ!?


「あひゃひゃひゃひゃひゃっ!!良い実験台がいるじゃねぇか!!くらいやがれぇぇ!!!」


 SIBINがそう言って、黄色い水を勢いよく放った。


 3体のバニーサルは黄色い水を全身に浴びた。


 その直後、3体のバニーサルが小刻みに震え出した。


 そして、倒れ込んでしまった。


 あれが奥義の黄色い脱力の水なのか?


「あははははははははははっ!!この奥義があれば俺様は無敵だぁ!!うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」


 SIBINが笑いながらそう言った。


 いやあ、それはないだろ!


 あの黄色い水を避ければ良いだけだからな!


 ちょっと調子に乗り過ぎじゃないか!?


「トウヤよ、SIBINをカードに戻した方が良いのではないか?」


 ラビリンが提案してきた。


 それもそうだな。


 俺はSIBINをカードに戻した。


 無事にカードになってくれたか、一安心だな。



 さて、これからどうしようか?


 とりあえず、そこのバニーサルにとどめを刺しておくか。


 まだ痙攣けいれんしているだけで、生きてはいるようだしな。


 3体のバニーサルを倒した。


 では、SIBINをどうするか考えよう。


 このままカードにしておけば治るのかな?


 そういえば、ずっと前に骸王がやられた時は、ステータスの特記事項の欄に治療中と記載されていた覚えがある。


 今回もそれと同じように治療されるのかもしれない。


 ちょっとカードを確認してみよう。


 な、なんだこれは!?


 特記事項の欄に『調子に乗りたくなる病発症中』と記載されていた。


 えええええっ!?

 SIBINは病気になってしまったのか!?


 調子に乗りたくなる病って、いったいなんなんだ!?


 どうすれば良いんだ!?


 とりあえず、官邸に聞いてみよう。


「総理!調子に乗りたくなる病を治すには、どうすれば良いのでしょうか!?」


「えー、病院へ行ってください」


 普通!?

 圧倒的普通な回答!?


 確かに病気になったのなら、それが道理だけどさぁ。


 もっと、こう、なんかないのかよっ!?


「総理!他の方法はありませんか!?」


「えー、不明です」


 不明なのか。


 仕方ない、連れて行こうか。


 いや、ちょっと待てよ。

 医療費はいくらかかるのだろうか?


 保険なんて入っていないから、ものすごい額のお金を請求されるのでは!?


 今の俺に払えるのだろうか?


 まあ、もっとも、医療費が高いというのは地球の話だがな。


 この星ではどうなのだろうか?


 調べてみるしかないか。


 では、麓の町に戻るとしよう。


 アビスに3体のバニーサルを収納してもらって、下山した。



 麓の町にやって来た。


 さあ、病院を探そう。


 いや、その前に換金しないとマズいか。

 無一文だしな。


 買取所を探そう。



 買取所は山のすぐ近くにあった。


 バニーサル3体で45万イオロ、バニーフェンス2体で60万イオロで売れた。


 これがこの星のお金か。


 大小2種類の金貨があるんだな。


 大きい金貨は、直径4センチくらい、厚さは500円玉くらい。

 片面に100000、もう片面に正面を向いた状態で両手を広げている、バケツをかぶった人間の全身像が刻まれているコインだ。


 これが10枚ある。


 小さい金貨は、直径3センチくらい、厚さは500円玉くらい。

 片面に10000、もう片面に正面を向いた状態の、バケツをかぶった人間の胸像が刻まれているコインだ。


 これが5枚ある。


 合計105万イオロか、これで足りてくれると良いのだが……


 とりあえず、病院を探してみるか。



 『ナオ・ラナイ診療所』という看板がある建物を発見した。


 ここが診療所か?


 そこには白いコンクリートのように見える建材で造られた、2階建ての建物があった。


 ずいぶんとこじんまりとした建物だな。


 個人でやっているのだろうか?


 それにしても、この名前はなんなんだ!?


 『治らない診療所』って、やる気あるのかよっ!?


 けしからん名前だな!


 さて、どうするか?


 名前がアレで不安だけど、ここに入ってみようか?

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