第100話 ニョーロ山探索

 洞窟に入ってみた。


 ほんの数メートル歩いたら行き止まりだった。


 なんだそりゃぁ、狭過ぎだろ!?


 まあ、それは良いか。


 それよりも、キセツケはないのか!?


 あたりを探してみた。


 うーむ、見当たらない。


 ここにはないのか?


 それとも、俺が見逃しているだけなのか?


 ちょっと周囲を鑑定してもらおう。


「総理!この周囲にキセツケはありますか!?」


「えー、見える範囲にはありません」


 見える範囲にはないのか。


 ということは、見えないところである、壁や地中に埋まっている可能性はあるということなのか?


 ロケットフライに掘ってもらおうか?


 いや、崩落なんてしたらマズいし、やめておくか。


 他の場所を探してみよう。


 俺は洞窟を出て、歩き出した。



 ん?

 なんだ?


 あそこに動物が隠れているのか?


 草の合間から、動物の尻尾のようなものが出ていた。


 黒と薄い茶色の縞模様の毛並みで、モフモフでかわいいアライグマのような尻尾だ。


 あんなにかわいい尻尾の持ち主なら、本体もさぞかしかわいらしいのではないだろうか?


 ちょっと見てみたくなってきたぞ。


 近付いてみようか?


 いや、見た目がどうであれ野生の生物は危険だと、どこかで聞いたことがある。


 止めた方が賢明か。


 それにバニーモンスターの可能性もあるしな。


 あ、そうだ。

 ここは鑑定をしてもらうことにしよう。


「総理!あの尻尾はなんですか!?」


「えー、あれは『オモ・シロクナ・サソウ』という植物です。トウヤ氏を含む異世界の人間が使用すると強化される薬草です」


 えっ!?

 あれは植物だったのか!?


 しかも、修行用の薬草だったのかよ!?


 そういえば、カクチューが尻尾に似ていると言っていたな。


 本当にそっくりなんだなぁ。


 では、採取しようか。


 ところで、採取の方法は?

 そのまま引っこ抜けば良いのか?


 記者の皆さんは質問してくれ!


「総理!オモ・シロクナ・サソウの採取の方法を教えてください!」


「えー、根まで使用するので、根が千切れないように引き抜いてください」


 了解したぞ。


 では、根まで引き抜こう。


 オモ・シロクナ・サソウの近くまで来た。


 それにしても、変わった見た目の植物だな。


 長さ40センチくらいの尻尾が、地面から直接生えているように見えるぞ。


 見ていたら触ってみたくなってきた。


 ちょっと触ってみよう。


 柔らかくて、ムニムニとしている。

 触り心地が非常に良いな、癖になりそうだ。


 おっと、いつまでも触ってないで、引き抜くとしようか。


 根が千切れないように慎重に引き抜いた。


 尻尾の付け根に、白い植物の根がびっしりと付いているぞ。


 地上に出ている部分は動物のようでも、ここは植物なんだな。


 それで、この後はどうするんだ?


 また加工するのか?


「総理!オモ・シロクナ・サソウの使用方法を教えてください!」


「えー、まず十分に成長したオモ・シロクナ・サソウを10本採取します」


 10本もいるのか、探さないとな。


「その後は、乾燥させて保管しておいてください。この薬草を使用するには、後2種類の薬草を採取する必要があります」


 これ単体では使えないのか。


 なら、必要な数量を集めて、保管しておくか。


 周辺でオモ・シロクナ・サソウを採取した。


 その後、カオスに乾燥させてもらって、アビスに収納してもらった。


 さて、先に進むとしようか。



 おっ、また洞窟を見つけたぞ。


 また切り立った崖できた、水平方向に伸びている横穴タイプの洞窟だ。


 大きさも先程のものと同じくらいだな。


 しかも、また先程と同じような金網フェンスが張ってあるぞ。


 立ち入り禁止と書かれたステッカーもある。


 あれもバニーフェンスなのか?


 遠くから見ただけでは分からないな。


 仕方ない、近付いて調べよう。



 あ、またウサギの耳があった。


 バニーフェンス確定だな!


 この山の洞窟は必ずこいつが塞いでいるのか!?


 面倒なヤツだな!

 さっさと倒してしまおう!


 ステッカーを斬り裂いて、バニーフェンスを倒した。


 そして、適当に切り分けて、アビスに収納してもらった。


 よし、洞窟に入るか。



 中は前のところよりも広いな。


 ここにキセツケがあると良いのだが……


 それにしても、奥の方は暗くて周囲がよく見えないな。


 まあ、天然の洞窟みたいだし、仕方ないのか。


 明かりが完備されているダンジョンは便利で素晴らしかったなぁ。


 そうだ!

 ここはヘーマンに頼んで火魔法を使ってもらおう。


 ヘーマンを召喚し、火魔法であたりを照らしてもらった。


 では、進むとするか。



 おっ、直径3センチくらいの黄色い石が落ちていたぞ!


 これがキセツケか?


 その黄色い石を拾ってみた。


 ん?

 なんだこれは?


 ずいぶん柔らかいな、石とは思えないくらいだ。


 これは本当にキセツケなのか?


 ちょっと官邸に聞いてみよう。


「総理!この黄色の物体はなんですか!?」


「えー、それはこの山に住む動物の排泄物です」


 ぎゃああああああああっ!?


 排泄物を投げ捨てて、SIBINを召喚し、水魔法を使ってもらい手を洗った。


 くそっ、紛らわしいものを出すなよっ!?


 さっさと先に進もう!



 むっ、また直径5センチくらいの黄色い石があったぞ。


 今度は手に取る前に、キチンと鑑定してもらうことにしよう。


「総理!この黄色の物体はなんですか!?」


「えー、これはキセツケです」


 おおっ、これがキセツケなのか!


 やっと見つけたぞ!


 いやあ、良かった良かった。


 さて、後はこれを粉末にして、SIBINに飲ませれば良いんだよな。

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