第98話 奥義は当店でお買い求めください

 うーむ、いろいろな依頼があるなぁ。


 これは農地の周辺のバニーモンスターの駆除依頼か。


 こっちは海水浴場の周辺のバニーモンスターの駆除依頼なのか。


 個人の邸宅に住み着いたバニーモンスターの駆除依頼なんてものもあるのか!?


 本当にいろいろあるなぁ。


 はぁっ!?

 バニーモンスターの拠点の襲撃依頼なんてものまであるぞ!?


 なんじゃそりゃぁ!?


 ちょっと気になるから、依頼内容を見てみようか!


 『グリベマ大陸西部にバニーモンスターの拠点があるから、適当に襲ってきて。報酬は持って帰ってきたバニーモンスター次第ね!』と書いてある。


 雑っ!?


 なんだこれは!?


 仕事内容が、ものすごく雑で曖昧な依頼だな!?

 適当に襲うだけで良いのかよっ!?


 ところで、グリベマ大陸ってどこなんだ?

 今いるところなのだろうか?


 それは、後で官邸に聞いてみるか。


 続きを読もう。


 えっ、この依頼は誰でも受けられるのか!?


 拠点攻めなんて危険そうな依頼なんだから、実績を考慮しろよ!?


 この辺も雑だな!?


 いったい誰が依頼したんだ!?


 依頼主の情報は載ってないのか?


 あっ、あったぞ、依頼主は『ゲーシビニ国バニーモンスター対策課』だそうだ。


 ゲーシビニ国?

 今いる国の名前なのか?


 そこも後で官邸に聞いてみよう。


 それよりも、こんな雑な依頼を出しているのが国なのかよっ!?


 大丈夫なのか、そのゲーシビニ国とやらは!?


 もっと国民を大事にしろよっ!?


 まあ、良いか、俺は国民じゃないから関係ないし。


 さて、他の依頼も見てみよう。



 何か良いものはないかな?


 えっ、これは!?


 ニョーロ山に住み着いたバニーモンスターの駆除依頼だと!?


 あっ、こっちにはイダチョウ山に住み着いたバニーモンスターの駆除依頼があるぞ!?


 なんと都合が良いんだ!


 これらを受ければ金も魔法も手に入るぞ!


 依頼内容を確認してみよう。


 ふむ、両方ともバニーモンスターを狩ってきたら、その分だけ換金してもらえるというものだな。


 応募資格はなし、1体も倒せなくてもペナルティはなし。


 気楽に受けることができそうな依頼だな。


 依頼主は、またゲーシビニ国バニーモンスター対策課なのか。


 ちょっと怪しい依頼に見えてきたなぁ。


 受けても大丈夫なのか?


 まあ、危険なら逃げれば良いだけか。


 ところで、山はどこにあるんだ?


 おっ、掲示板に地図が張ってあるじゃないか。


 気が利くな、さっそく見てみよう。


 現在地から北西にニョーロ山があって、南西にイダチョウ山があるのか。


 なるほど。


 よし、この依頼を受けるか。


 何か手続きがいるのか?


 依頼書には記載されていないな。 


 受付で聞いてみるか。


 受付で聞いたところ、手続きはいらないそうだ。


 駆除したバニーモンスターは、山の麓にある買取所で買い取ってもらえるらしい。


 ところで、実績の管理はどうやっているのだろうか?


 会員登録みたいなものもなかったのだが……


 まあ、どうでもいいか。


 一生これで食っていくわけでもないしな。


 さあ、仕事場へ行こう。


 まずはニョーロ山に行ってみよう。


 こんにちはバニーモンスターを出た。



 さあ、北西にあるニョーロ山に行こう!


 と思ったのだが、北西がどっちなのか分からなかった。


 仕方ないので、人気のないところで官邸を召喚して聞いてみた。


 北西がどの方角なのか分かった。


 ついでに、この大陸や国の名前も聞いてみた。


 この大陸は『グリベマ大陸』にある『ゲーシビニ国』の首都『ナエクラエ』だそうだ。


 では、出発しようか。



 ニョーロ山の麓にやって来た。


 そこには町があった。

 そこそこ大きなところだな。


 その向こうには、草木が生い茂る大きな山が見える。


 あれがニョーロ山か、デカいな。


 標高何メートルくらいあるのだろうか?


 周囲に人はいないし、官邸に聞いてみようか。


「総理!あの山の標高はどのくらいですか!?」


「えー、3528メートルです」


 富士山より、少し低いくらいなのか。

 通りで大きいわけだな。


 さて、町に行ってみるか。



 町の中に入った。


 意外と人がいるんだな。


 何か産業があるのか?


 ニョーロ山で何か鉱石が採掘できるのだろうか?


 キセツケとかいう石が高く売れたりするのか?


 どうなんだろうな?



 壁面に『おみやげ』と書いてある店を見つけた。


 ここは土産物屋のようだ。


 土産って、ここは観光地だったのか?


 どうなんだろうか?


 まあ、そこはどうでもいいか。


 せっかくだし、ちょっと覗いてみようかな。


 俺は店に入った。



 ニョーロ山まんじゅう、ニョーロ山せんべい、ニョーロ山クッキー、ニョーロ山モチ、ニョーロ山ケーキ……


 地球では定番の土産物が並んでいるぞ。


 この星でも定番なのだろうか?


 というか、尿瓶、サイコロ、両開きのドアたちは、これを食べられるのか?


 それとも、これは人間用なのか?


 なんなのだろうか?


 ん?

 これは?


 『人間のお茶魔法の奥義を、あなたも覚えてみませんか?ニョーロ山名物キセツケの粉』という小さなビンに黄色い粉が入った商品が置いてある。


 えっ!?

 これって目的のものだよな!?


 土産物として売っているのか!?


 奥義なのに、それで良いのかよっ!?

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