第97話 やはり先立つ物は必要
みんなから報告してもらった。
新たに得た情報は、この星の環境が地球に似ていること。
じいさんの家に、日本にあるような台所や洋式便所があった。
妙な妄想が書かれた奥義書が、家のあちこちに置かれていることだった。
なんでそんなに奥義書があるんだ!?
もうどうでもいいか。
それよりも、これから行動方針の方が重要だ。
さて、どうしよう?
まずはバケツを作って、外を出歩けるようにするべきかな。
カオスにバニー竹ゴールドの竹の部分で、薄茶色のバケツを作ってもらった。
大きさは俺の頭部がスッポリと収まるくらいだ。
竹製だから、結構軽いな。
目の位置に穴が開いていて、視界を確保できるように作られている。
これをかぶれば、町を歩いても問題ないかな?
イネカに聞いてみよう。
「ああ、それなら問題ないだろう」
よし、これで外を出歩けるぞ。
では、ここを出て、探索してみよう。
見つからないように、こっそりと敷地を出た。
町の中を歩いている。
ここは日本の住宅街のような場所だな。
道路もアスファルトみたいなもので覆われているし、建築様式も似ている。
町並みを見ていると、異星に来たという感じはしないなぁ。
ただ、町を歩いているというか飛んでいる人たちは、日本とはまったく違う。
尿瓶に、サイコロに、両開きのドアに、バケツ人間だ。
こちらを見ると異星に来たという感じがするぞ。
さて、これからどうしようか?
魔法を覚えるために、ニョーロかイダチョウのどちらかに行こうか?
あれ?
そういえば、その2つの山はどこにあるんだ?
し、しまった!?
場所が分からないぞ!?
なんということだ!?
また官邸に周囲の山を鑑定してもらおうか?
いや、それよりも、どこかで地図を探した方が早いか?
その辺に本屋とか図書館がないか探してみよう。
そういえば、修行用の薬草はどこにあるのだろう?
カクチューに聞いてみよう。
「大陸中の森や草原に生えている珍しくもない植物だと、官邸が言っておったぞ」
「そうなのか。なら、その辺を探してみるか。ところで、どんな外見をしているんだ?」
「縞模様のある動物の尻尾のような植物であったぞ」
また妙な外見の植物だな。
まあ、そこはどうでもいいか。
薬草も探してみよう。
ん?
なんだあそこは!?
全身を鎧で包み込んだバケツ人間2名が、正面出入り口に立っている建物があるぞ。
しかも、大きな槍まで持っている。
ずいぶんと物々しいな。
何があるのだろうか?
ちょっと見てみようか。
えっ!?
ここは本屋なのか!?
看板にそう書いてあるぞ。
なんで本屋に、あんな完全防備の見張りがいるんだ?
意味が分からないな。
まあ、どうでもいいか。
それよりも、この店に地図がないか探してみよう。
お店の人には申し訳ないが、金がないから立ち読みさせてもらうことになるけどな。
おや?
店の出入り口に貼り紙があるぞ。
なになに『立ち読み厳禁、不届き者は武力にて排除する』と書いてあるぞ。
えええええっ!?
なんだそりゃぁ!?
やり過ぎだろっ!?
どういうことなんだよ!?
この星の本屋、怖過ぎっ!?
くそっ、これでは入るわけにはいかないじゃないか。
仕方ない、諦めて立ち去ることにしよう。
おや、これは?
出入り口のすぐ上の壁に『こんにちはバニーモンスター』と書いてある建物があるぞ。
白いコンクリートのようなもので建てられている、ビルのような洋風の建築物だ。
大きさは5階建てくらいだ。
なんだここは?
どういうことなんだ?
もしかして、バニーモンスターが飼われている動物園なのか?
いや、それにしては敷地が狭いか。
ここはなんなのだろうか?
なんだか気になってきたぞ。
よし、ちょっと覗いてみよう!
では、お邪魔します。
中は受付が複数と、椅子が複数置いてある待合所と思われる場所がある。
バニーモンスターはいない。
見た目は役所のようなところだな。
見ただけでは、何をする場所なのかよく分からないな。
ここは受付で聞いてみようか。
俺は空いている受付に向かった。
「あの、すみません」
俺は水色のバケツをかぶった受付の人に話しかけた。
「はい、なんでごわすか?」
ええっ!?
ここの受付の人も語尾に『ごわす』が付くのかよっ!?
なぜなんだ通訳魔法!?
なぜこんなことをするんだ!?
「あの、何かご用でごわすか?」
「えっ、ああ、すみません。実はここに初めて来たんですけど、ここがどのような場所か説明してもらえませんか?」
「はい、それでは、ご説明するでごわす。ここはバニーモンスター討伐の仕事を
それって、冒険者ギルドみたいなものじゃないか。
この星では冒険者とは言わないのか。
まあ、そこはどうでもいいか。
それよりも、ここなら金が稼げるかもしれない。
依頼を受けれるか聞いてみないと。
「では、私も討伐依頼を受けることができますか?」
「依頼によるでごわす。ある程度の実績がないと受けられないものもあるでごわす」
なるほど、そういうシステムなのか。
初心者は報酬の安い依頼しか受けられなさそうだな。
「そうなんですか。では、受けることができる依頼には、どのようなものがありますか?」
「それは、そちらにある掲示板で確認するでごわす」
受付の方が、手を掲示板の方に向けて教えてくれた。
「分かりました。見てみます。ありがとうございます」
よし、その掲示板を見てみるか。
掲示板の前にやって来た。
薄茶色の大きなコルクボードが壁一面に張られている。
そこに依頼の書かれた白い紙が、大量に張り出されている。
さて、依頼を見てみようか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます