第93話 ダンジョンでつながる星々

 これは赤いカードじゃないか!?


 しかも、またルギデルの名前が書いてあるぞ。


 これは前のと同じものなのだろうか?


 ルギデルに渡してみよう。


「またこれか……」


 ルギデルがそう言って、腰にカードを貼った。


「うああああああああああっ!?」


 ルギデルが苦しみ出した。


 記憶を取り戻しているのか?


「ルギデル、大丈夫か!?」


「ああ、問題ない……」


「記憶は戻ったのか?」


「ああ、いろいろと思い出したよ……」


「何を思い出したのか、聞いても良いか?」


「ああ、みんなにも関係のあることだからな……」


 どんなことなのだろうか?


「思い出したのはバニーモンスターの長のことだ」


「超社長のことか?」


「ああ、自分は超社長を倒すために、情報を集めていたことがあるんだ」


「えっ!?」


「しかし、超社長はすさまじい力を持っていて、自分では倒せないと結論付けたんだ」


 そんなにすごいのか?


「そこで倒す力を持った者を呼び出そうと思ったんだ」


「それが異世界の勇者を召喚する魔法なのか?」


「ああ、そうだ。そして、異世界の勇者を召喚する魔法を編み出して使用した。ような気がする……」


「気がするだけなのか!?」


「ああ、すまない。そこはあまりハッキリとは覚えていないんだ……」


「その魔法を編み出したということは、ルギデルはシーツ人間の星の賢者ということになるのか?」


「そこはよく分からない。前に見た本の通りなら、その人物はすでに死亡しているはずだからな」


「ああ、確かそんなことが書いてあったな」


 ルベデダイア魔法学園で見た本の話だ。


 では、今のルギデルはなんなのだろうか?


 よく分からないな。


「ただ、自分が賢者ルギデルであるのなら、みんなには申し訳ないことをした……」


「それはルギデルではなく、超社長が悪いと思うぞ。ヤツこそが元凶だ」


「気を遣わせてすまない、トウヤ」


「それで、その後はどうなったんだ?」


「そこから先は思い出せない……」


「そうなのか」


 異世界の勇者を召喚する魔法を使ったということは、ダンジョンが現れて他の星につながったはずだな。


 超社長はその魔法を解析して、他の星に行く道具を作り出したのか?



「他に何か思い出せないのか?」


「超社長がルカブシーツを身に着けていた」


「それって、超社長はシーツ人間の星の人間ということなのか?」


「その可能性がある。もちろん、ただ変装していただけの可能性もある」


 バニーモンスターの生みの親らしいけど、本人はバニーモンスターではないのか?


「後は、超社長が女好きだったような覚えがある」


「意外と俗なところもあるんだな」


 英雄色を好むというヤツなのか?


「酒が好きで、肉も好きだったような覚えもある」


 ええっ!?

 なんでそんな趣味嗜好まで調べてんの!?


「なんでそんなことまで知っているんだ?どうやって調べたんだ?」


「調査方法は思い出せない……」


「そうなのか」


 調査方法は分からないのか。


 ルギデルがウソをついているとは思えないけど、記憶に障害が出ているせいで、間違った情報を言っている可能性もありそうだな。


 気を付けた方が良さそうだ。



「ところで、なぜ超社長に勝てないという結論が出たんだ?」


「前にバニーダブルマグロが言っていた通りだ。武術、魔法に長けていて、さまざまな兵器を所有していた。さらにバニーモンスターも相当な数がいた」


 バニーダブルマグロが虚勢を張っていたわけではないのか。


 ウソであって欲しかった……


「そんなヤツをどうやって倒せば良いのだろうな?」


「これは確証のない推測なのだが、このダンジョンが現れた星には、超社長を倒すための何かがあるのではないかと思うんだ」


「まあ、確かに倒せる人を呼ぼうとしたのならそうなるよな」


「だから、その星を巡ってみるというのはどうだろうか?」


「なるほど、それは良い考えかもしれないな。問題はどうやって星間を移動するかだな。バニーモンスターから星間転移おろし金とかいう、星間移動装置を奪うしかないのか?」


「それなら自分に考えがある」


「えっ!?どんな考えなんだ!?」


「ここの1階に、どこかの星につながる出口があるかもしれない」


「いや、なかったぞ。地球につながっているものも消えていたし」


「それはおそらく超社長が閉じたからだ。閉じたものをもう1回開ければ良い」


「ええっ!?そんなことができるのか!?」


「やってみないと分からない」


「そうなのか。なら、やってみようか!」


「ああ、1階に行こう」


 もうこのボス部屋でやることはないな。


 では、1階に行くか。



 1階にやって来た。

 現在地は上り階段の前だ。


 この後はどうすれば良いのだろうか?


 ルギデルに聞いてみるか。


「秘匿魔法なら出口を見つけられるかもしれない。ヒトクを召喚してみてくれ」


 なるほどな。


 では、召喚しよう。


 ヒトクが出て来た。

 そして、秘匿魔法を使ってくれた。


「このあたりには、なんの反応もないッスね」


「そうか。では、他の場所に行ってみようか」


「了解ッスよ!」



「おっ、トウヤの兄さん、ここに反応がありますよ!」


「ここにか?」


 一見、何もない洞窟の行き止まりだな。


 ここに黒い円があるのだろうか?

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