第90話 サービスシーン?
そろそろ食休みを終わりにして、探索を再開しようか。
では、出発だ。
おおっ、これは立派だな!
和風建築の大きな屋敷を発見したぞ。
これはなんのための建物なのだろうか?
気になるな、入ってみようか。
引き戸を開けて、中に入った。
あれは風呂なのか?
板の間に巨大な木製の浴槽のようなものがあり、そこに大量のバニーちょんまげ西洋甲冑が入っていた。
数は50体以上いると思われる。
なんだこの状況は!?
もしかして、ここは銭湯なのか!?
なんでバニーちょんまげ西洋甲冑が風呂に入っているんだ!?
入る必要があるのか!?
意味が分からなさ過ぎるぞ!?
うわっ!?
風呂に入っていたバニーちょんまげ西洋甲冑たちが、一斉に立ち上がって、俺の方を向いたぞ!?
そして、向かって来やがった!?
まさかこれはワナなのか!?
バニーモンスター銭湯のワナ!?
屋敷に入って来た人を、風呂に入っている大量のバニーモンスターに襲わせるというワナなのか!?
自分で言っといてなんだけど、意味が分からないな!
って、そんなことを考えている場合ではないぞ!
戦わないと!?
いや、これは数が多過ぎるか。
ここは退却しよう。
俺は屋敷を飛び出した。
くそっ、追って来やがるぞ!?
だが、俺の方が足が速いようだ。
このままなら逃げ切れるだろう。
良かった、安心した。
……安心したら、欲が出てきたな。
このままあいつらを倒さずに逃げるのは、ちょっともったいない気がしてきたぞ。
もし、あいつらを全員倒せれば、みんなのレベルが相当上がるだろう。
見方を変えれば、この状況は敵を大量に倒すチャンスでもあるわけだ。
今の俺たちはレベル上げをしているわけだし、これを無視するというのもなぁ。
なんとかうまく、あいつらを倒す方法はないものか?
ちょっとみんなに相談してみるか。
「それなら自分に良い考えがある。召喚してくれないか?」
ルギデルがそう言った。
なんだか自信がありそうだな、ここは信じてみよう。
「分かった、頼むぞ、ルギデル!」
ルギデルを召喚した。
「ウンドウブ・ソクノチュウ・ネン!」
ルギデルがバニーちょんまげ西洋甲冑たちに向かって、妙な言葉を発した。
な、なんだ今のは!?
『運動不足の中年』と聞こえたのだが!?
どういう意味なんだ!?
俺のことではないよな!?
俺は最近、運動しまくっているぞ!?
えっ!?
なんだ!?
追って来ていたバニーちょんまげ西洋甲冑たちが、次々と転倒していくぞ!?
足がもつれて、うまく走れないようだ。
なぜこんなことになっているんだ!?
「うまくいったようだな」
ルギデルがそう言った。
「あれはどういうことなんだ?何をしたんだ?」
「あれは筋肉魔法の一つで『ウンドウブ・ソクノチュウ・ネン』というものだ。この魔法にかかると筋力が低下する。今回は足の筋力を低下させたというわけだ」
そういう魔法だったのか。
効果はすごいけど、ひどい名前の魔法だな。
悪意に満ちあふれている気がする。
おっと、そんなことを考えている場合ではないか。
今のうちに、とどめを刺してしまおう。
すべてのバニーちょんまげ西洋甲冑を倒した。
60体もいたのか。
転倒した連中に、とどめを刺すだけだったのに一苦労だったぞ。
とりあえず、こいつらはアビスに収納してもらって、後で食べよう。
さて、これでヒトクのレベルが、かなり上がったはずだ。
ちょっと見てみよう。
レベル …… ヒ・ミ・ツだけど、なぜかほほえましい。
強さ …… こ、これは、ヒ・ミ・ツ!?
頭脳 …… ほう、ヒ・ミ・ツか!できるな!
速さ …… いやあ、ヒ・ミ・ツですねぇ。
幸運 …… まあまあってところですね。
特殊 …… 開錠魔法と秘匿魔法が得意なのです!!
念話、念聴、念視もできます!!
特記事項 …… ヒ・ミ・ツはありませんよ!!!
表記は微妙に変わっているけど、よく分からないぞ!?
ダメだ、このステータスは!?
使い物にならないな!
こうなったら、ヒトクを召喚してみよう。
ヒトクが出て来た。
おおっ、だいぶデカくなったな!
身長が150センチくらいになっているぞ!
これはレベルアップしまくったようだな!
これならいけるか?
聞いてみよう。
「ヒトク、秘匿魔法はパワーアップしたのか?」
「ええ、したみたいッスよ!」
「そういえば、どのくらいの範囲を探せるんだ?」
「目視の範囲ぐらいッスかね。ただ、遠くへ行くほど精度が落ちますね」
結構広いようだな。
これならバニー柄クッキーの弱点を見つけ出せるかもしれないな。
さて、これからどうするか?
バニー柄クッキーを倒しに行こうか?
いや、ちょっと待てよ。
あの銭湯のような屋敷を、もう少し調べてみるか。
もしかしたら、ダンジョン内の休憩所として利用できるかもしれないぞ。
たまには、ゆっくり湯船につかりたいというのもあるしな。
屋敷に戻って来た。
では、中を調べてみよう。
いやあ、それにしても、デカい風呂だな。
大きさは縦横ともに200メートルくらいあるようだ。
この大きさだと、風呂というよりプールと呼んだ方が適切かもしれないな。
他には、何も置かれていない板の間があるだけだな。
ここは休憩所なのかな?
バニーモンスターはもういないようだ。
さて、入浴しようか!
あれ?
なんだこのお湯、カニ臭くないか!?
バニーちょんまげ西洋甲冑たちが入っていたせいか!?
ヤツらの出汁が出ているのか!?
これは入りたくないぞ。
お湯を張り変えることはできるのか?
排水溝と蛇口のようなものがある、どうやらできるようだ。
なら、お湯を抜いて掃除しよう。
ふう、掃除が終わったぞ。
では、お湯を張って、入るとするか。
「風呂か、ワシも入るとするか」
「私も入りますよ」
みんなも入りたいそうだ。
「では、一緒に入ろうか?」
「うむ、そうしよう」
「僕も入るよ」
「自分も入ろう」
骸王、アビス、ルギデルがそう言った。
君らは風呂に入れるのか?
全身タイツに、紙袋に、シーツだぞ?
まあ、良いか。
みんなで風呂に入った。
久しぶりの大きな風呂で、気持ち良かった。
骸王、アビス、ルギデルはそのままの格好で入浴していたが、特に問題はなさそうだった。
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