第88話 VS6階のボス

 では、バニー竹ゴールドを倒しに行くか。


 と言いたいところだが、無策で突っ込むのは無謀だよな。


 バニー竹ゴールドとの戦いをシミュレートして、作戦を立てよう。



 まずロケットフライに、根を破壊しに行ってもらう。


 これは決定だよな。


 それに対して、バニー竹ゴールドは何をしてくるのだろうか?


 普通に考えると、ロケットフライを排除しようとするだろう。


 どうやって排除しようとしてくるのだろうか?


 やはり土の中で竹を破裂させてくるのか?


 どうなのだろうか?


 ここは情報が足りなくて不明瞭だな。



 ロケットフライが潜っている間、俺はどうしようか?


 オトリとして、注意を引き付ければ良いのか?


 土に潜っているヤツがいるのに、わざわざ俺に攻撃してくるのか?


 しなさそうだよな。


 オトリは不要だな。


 他に何かすることはあるのだろうか?


 ……何も思い付かないぞ。


 ということは、俺の役割はないということなのか!?


 ロケットフライにがんばってもらうしかないのか!?


 そういうことになるぞ!



 はい、というわけで、作戦はロケットフライにがんばってもらう。


 俺は高度な柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処する。


 ということになりました!!


 なんじゃそりゃぁ!!


 行き当たりばったり過ぎる!?


 作戦になってないじゃないか!?


 まあ、バニー竹ゴールドの情報を、たいして持ってないから仕方ないか。


 あ、そうだ、破裂したバニー竹ゴールドの破片が飛んで来るだろうから、何か防ぐものを用意しておこう。


 バニーちょんまげ西洋甲冑の甲冑で、盾を作ってもらおうか。


 カオスに盾を2枚作ってもらった。


 デザインはバニー竹の盾と同じだ。


 これを両手に持てば、破片はなんとかなるだろう。


 まだ何かやることはあるか?


 いや、もうやれることはなさそうだな。


 では、ボス部屋に向かおう。



 6階のボス部屋の前にやって来た。


 さて、ロケットフライを召喚しようか。


 あ、そうだ、ちょっとでも勝算を高めるために、ちょっとすごい強化召喚で召喚しよう。


 ロケットフライが出て来た。


 よし、行こうか!


 扉を開けて、中に入った。


 もちろん、その後に扉が閉まらないよう固定した。


 これで逃げる準備は万全だな。



 部屋の中央にバニー竹ゴールドが生えている。


 まだ膨らんではいない。


 俺たちが部屋に入ってきたことに気付いていないのか?


 それとも、油断しているのか?


 まあ、どちらでも良いか。


 今のうちに、ロケットフライを潜らせよう。


「ロケットフライ、根を破壊してくれ!頼んだぞ!」


「かしこまりました」


 ロケットフライが土の中に潜って行った。


 さて、これからどうなるんだ?



 うおっ、土の中から破裂音が聞こえたぞ!?


 土煙も上がったぞ!?


 これは土の中でバニー竹ゴールドが破裂しているみたいだ。


 やはりロケットフライが狙われているのか。


 大丈夫なのかな?


 ちょっと確認してみるか。


「ロケットフライ、無事か!?」


 俺は地面に開いた穴に向かって、大声で呼びかけてみた。


「問題ありません」


 ロケットフライが念話で返答してきた。


 無事だったか、良かった。


 ええと、この後はどうしようか?


 ……やることないな!


 想定通りだな!


 あ、そうだ、せめて応援しようか!


 がんばれー、ロケットフライ!



 下から何度も破裂音が聞こえ、あちこちから土煙が上がる。


 土の中では、壮絶な戦いが繰り広げられているようだ。


 俺は蚊帳の外だけどな。


 やがて破裂音がしなくなった。


 そして、部屋の中央に生えているバニー竹ゴールドが、突然根元から折れて倒れた。


 これはロケットフライが勝ったということなのか!?


 おっ、ロケットフライが出て来たぞ!


 ちょっと聞いてみよう!


「お疲れ様、ロケットフライ。ヤツを倒したんだよな?」


「はい、根の破壊に成功しました」


「おおっ、すごいぞ!よくやったな!」


「お褒めに預かり光栄です。それと地中でこちらを発見しました」


 ロケットフライが青白い色のカードを渡してきた。


「カードも見つけてくれたのか!ありがとう、ロケットフライ!」


「お役に立てて何よりです」


 いやあ、ロケットフライは優秀だなぁ。


 素晴らしいぞ!!


 では、カードを見てみようか。



 名前は『魔龍極緋天まりゅうきょくひてん秘匿ひとく』だそうだ。


 ……どういうこと!?


 なんだこれは!?


 意味が分からなさ過ぎるぞ!



 その下には、縁が金色で、他の部分がショッキングピンクの両開きの扉が絵が描かれていた。


 扉には天使のような絵が刻まれている。


 取っ手の部分が、鎖で縛られている。


 さらに、アンティーク調の金色の南京錠が付けられている。


 これまた派手な扉だな。


 目立ち過ぎて、秘匿できなさそうだ。



 さらにその下の部分には、こう記載されていた。


 レベル  …… ヒ・ミ・ツにされて悲しい。


 強さ   …… くっ、ヒ・ミ・ツだと!?

 頭脳   …… ほう、ヒ・ミ・ツか!やるじゃないか!

 速さ   …… いやあ、ヒ・ミ・ツですねぇ。

 幸運   …… まあまあですね。


 特殊   …… 開錠魔法と秘匿魔法が得意なのです!!


 特記事項 …… ヒ・ミ・ツも何もありませんでしたーー!!


 なんじゃこりゃ!?


 ステータスを秘匿しているのか!?


 なんでこんなことをするんだよっ!?


 意味が分からんぞ!


 幸運と特殊だけ開示しているのは、なぜなんだ!?


 まあ、どうでもいいか。


 それよりも、この開錠魔法と秘匿魔法というのは、どういう魔法なのだろうか?


 鍵を開けたり、隠したりするのか?


 召喚して聞いてみるか。


 魔龍極緋天・秘匿が出て来た。


 身長は10センチくらい。


 空を飛んでいる。

 こいつも飛べるタイプなんだな。


「あっしを召喚したのは、兄さんッスか?」


 魔龍極緋天・秘匿が話しかけてきた。


 なんというか子分のような印象を受けるしゃべり方だな。


「ああ、そうだ。俺は角野当也だ。トウヤと呼んでくれ。よろしくな!」


「よろしくッス。あっしのことはヒトクとでも呼んでくだせぇ」


「ああ、分かったよ。ところで、開錠魔法と秘匿魔法って、どんな魔法なんだ?」


「開錠魔法は名前通りの鍵を開ける魔法ッスよ」


 確かに名前通りだな。


「たまに失敗して開けられなかったり、錠前や扉を壊したりもしますがね」


 そうなのか。


 乱用しないほうが良さそうだ。


 まあ、鍵を開けてもらう機会なんて、そんなになさそうだがな。


「秘匿魔法の方は、秘匿されているものを見つけることができるかもしれない魔法ッス」


 秘匿されているものか……


 何かあるか?


 あ、そうだ!


 バニー柄クッキーへの対抗策になるかもしれないぞ!

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