第87話 トラバサミにしてやられる話

 さて、これからバニー竹ゴールドと戦いに行こうか?


 いや、気が早いか?


 ロケットフライのレベルを上げてからの方が良いか?


 ちょっと聞いてみよう。


 ロケットフライにバニー竹ゴールドのことを話し、意見を求めた。


「現状の本機では根を破壊できるか不明です。レベルを上げた方が確実であると判断します」


 なるほど、それならもっと修行するか。


 ロケットフライをカードに戻して、腰に貼った。


 では、8階を探索しながら修行しよう。



 バニーモンスターが見つからないな。


 敷物の下にも、何もないし。


 おのれ、こういう時には出て来なくなるのかよっ!


 余計な時には出てくるくせに!


 って、文句を言っても仕方ないか。


 探索を続けよう。



 ナニアレ?


 通路を歩いていたら、妙なものを見つけてしまったぞ。


 大きなトラバサミのようなものだ。


 直径3メートルくらい、虹色に輝く金属で作られている。


 ものすごく目立つ存在だな。


 獲物を捕らえる気があるのか疑わしいほど目立つぞ。


 あれはワナなのか?


 なんのために置いてあるんだ?


 ちょっと官邸に聞いてみよう。


「総理!あれはなんのために置いてあるのですか!?」


「えー、ワナにはめるためです」


 やはりあれはワナなのか。


 あんな目立つワナにかかるヤツがいるのか?


 いなさそうだなぁ。


 ところで、あのトラバサミに使われている素材はなんなのだろうか?


 すごくキレイだよな。


 もしかして、高額で売れるのではないか!?


「総理!あれは何で作られているのですか!?」


「えー、あれはギデルヴィド星で『ナ・ンカキレイ』と呼ばれている金属です。高額で取引されています。主に装飾品に使われています」


 おおっ、そいつは地球でも高く売れそうじゃないか!


 これは回収しないと!!


 俺はトラバサミに近付いた。


 ん?


 ぎゃああああああああああっ!?


 なんか踏んだと思ったら、右足に強烈な痛みが走った!?


 な、なんだ!?


 いったい何が起こったんだ!?


 こ、これはトラバサミ!?


 俺の右足をトラバサミが挟んでいた。


 直径40センチくらい、地面と同じ茶色をしている。


 足を挟んでいる部分は、ノコギリのような形状になっている。


 なんでこんなものが!?


 まったく見えなかったぞ!?


「総理!なぜトウヤ氏は、あのトラバサミに気付けなかったのですか!?」


「えー、地面と同じ色をしているうえに、埋まっていたからです。目立つものが近くにあったというのも原因です」


 あの目立つトラバサミは、そういうワナだったのかよっ!?


 クソッタレが!!


「獲物がかかったずら!」


 茶色のトラバサミがしゃべった!?


 まさかこいつはバニーモンスターなのか!?


「総理!あれはバニーモンスターなのですか!?」


「えー、その通りです。あれはトラバサミ型のバニーモンスターです。ウサギの耳は踏板の底に付いています」


 くっ、敵なのかよ!?


 ならば、倒さないと!


 足を挟まれた恨みを込めて、刀で斬ってやった。


 トラバサミ型バニーモンスターを倒した。


 あ、そういえば、呼び名を決めてなかったな。


 こいつは『バニートラバサミ』と呼ぼう。



 あ、足が痛い……


 挟まれたところが、青アザになっているな。


 仕方ない、アレをかけてもらうか。


 SIBINに黄色い癒しの水をかけてもらった。


 あ、ブーツも傷が付いているぞ。


 バニートラバサミは殺傷能力が高いみたいだな。


 今度から気を付けて歩かないと。


 よし、痛みが取れたぞ。


 ブーツはカオスに直してもらったし、万全な状態になったな。



 ところで、バニートラバサミは何で作られているんだ?


 こんなに殺傷能力が高いのなら、良い金属が使われているのではないか?


 というわけで、記者の皆さん、聞いてみてください!


「総理!バニートラバサミは原材料はなんですか!?」


「えー、ナ・ンカキレイです。色が違うのは塗料が塗ってあるせいです」


 えっ、これもなのか。


 ナ・ンカキレイというのは硬い金属なのかな?


 では、これも回収しておこう。


 もちろん、大きい方も回収と。


 よし、完了した。


 では、先に進むか。



 その後も探索を続けて、見つけたバニーモンスターを倒していった。


 バニーちょんまげ西洋甲冑を6体、バニートラバサミを2体倒した。


 ふう、結構な数のバニーモンスターを倒したな。


 ロケットフライのレベルは、どのくらい上がったかな?


 見てみるか。



 レベル  …… それなりにサクサクしている。


 強さ   …… まだまだ修行が足りねぇな!!

 頭脳   …… ほう、こいつはうまそうじゃないか!!

 速さ   …… いやあ、レアですねぇ。

 幸運   …… これは塩とレモンが美味しいと思います!


 特殊   …… 土魔法が得意なのです!!

         念話、念聴、念視もできます!!


 特記事項 …… な、な、なんと何もありませんよ!!



 相変わらず、よく分からないステータスだな。


 まあ、今更だな。


 ロケットフライの様子も見てみようか。


 では、召喚だ。


 ロケットフライが出て来た。


 身長が1メートルくらいになっている。


 大きくなったなぁ。


 こっちを見ると成長を実感できるな。


「ロケットフライ、レベルがかなり上がったようだけど、バニー竹ゴールドを倒せそうか?」


「対峙したことがないので、正確なことは言えませんが、そろそろ戦ってみてもよろしいかと思われます」


 自信はそれなりにあるということかな?


「何か新しい土魔法は覚えたか?」


「いいえ、ですが、土魔法が強化されました」


「そうなのか。ちょっと見せてもらえるか?」


「かしこまりました」


 確かに穴を掘る速度が上がっている気がするぞ。


 これなら倒せるかもしれないな。

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