第86話 なぜ揚げるのか?

 さて、食休みも終えたし、出発するか。


 まずは長屋の中を見てみよう。


 近くにあった部屋の障子戸を開けて、中に入った。


 わらのようなもので作られた敷物が敷かれた板の間と、土間があるだけだな。


 広さは6畳くらいだ。


 日用品の類が置かれていないから、生活感は皆無だな。


 目ぼしいものはなさそうだ。


 いや、待てよ。


 もしかして、敷物の下に何か隠してあったりするのかな?


 どうなんだろうか?


 ちょっと調べてみよう。


 敷物をめくってみた。


 えっ!?

 なんだこれは!?


 そこにあったのは、赤と黒のマダラ模様のカードだった。


 大きさは俺の持っているものと同じくらいだ。


 危険な感じがする配色のカードだな……


 もしかして、これはワナなのか?


 その可能性もありそうだ。


 だが、有用なカードである可能性もないとは言えない。


 無視するわけにもいかないか。


 仕方ない、調べてみよう。


 さて、どうする?


 とりあえず、ちょっと刀で突いてみようか。


 刀の先端でカードを突いてみた。


 あっ、カードが赤黒く光り出したぞ!?


 なんだか毒々しい色だな!?


 いったい何が起こるんだ!?


 光が徐々に大きくなっていき、はじけた。


 その後には、バニーちょんまげ西洋甲冑がいた。


 バニーちょんまげ西洋甲冑が襲いかかってきた。


 くっ、こういうワナだったのかよっ!?



 またカクチューに手伝ってもらって倒した。


 倒したバニーちょんまげ西洋甲冑は、アビスに収納してもらった。


 ここのところワナが増えてきたな。


 気を付けて進まないと。


 さて、探索を続けるか。



 隣の部屋に入ってみた。


 間取りも内装も、先程の部屋と変わらないな。


 まあ、長屋だから当然か。


 また敷物が敷いてあるぞ。


 めくって調べるべきなのだろうか?


 どうするか?


 念のために、調べてみるか。


 あっ、またカードがあったぞ。


 今度は黒と濃い青色のマダラ模様だ。


 先程とは違う色だが、これも危険な感じのする配色のカードだな。


 またワナなのだろうか?


 どうなのだろうか?


 分からないな。


 仕方ない、調べてみよう。


 また刀で突いてみるか。


 刀の先端でカードを突いてみた。


 カードが青黒く光り出したぞ。


 今度はどうなるんだ?


 光がはじけて、バニーちょんまげ西洋甲冑が出現した。


 またこのパターンかよっ!?


 ん?


 ええっ!?

 なんだそりゃぁ!?


 バニーちょんまげ西洋甲冑のちょんまげに、カードが刺さっているじゃないか!?


 しかも、あれは俺が腰に貼っているのと同じ、青白いカードじゃないか!?


 どういうことだよっ!?


 なんであんなところにあるんだよっ!?


 意味が分からなさ過ぎるぞっ!?


 もう、どうでもいいか!


 とにかく、こいつを倒して、カードを手に入れよう!



 またまたカクチューに手伝ってもらって倒したぞ。


 よし、カードをもらおうか。


 と思ったが、またワナの可能性もありそうだな。


 念のために、カードを突いてみようか。


 なんの反応もないな。


 これは俺の腰に貼ってあるカードと同じものなのかな?


 手に取って調べてみるか。


 ちょんまげからカードを抜いた。


 持っても何も起こらない。


 これはワナではないようだ。


 良かった。


 では、カードを見てみよう。



 名前は『ロケットフライ』だそうだ。


 この名前って……


 ヘリコプターフライの親戚なのか?



 その下には、人間の手足が付いたロケットのようなものに、衣をつけて揚げ物にしたようなものの絵が描かれていた。


 衣だけはキツネ色で美味しそうだな。


 具材の方は食べる気にならないけど。


 それにしても、ヘリコプターフライに似ているなぁ。


 本当に親戚なのではないか?


 ちょっと聞いてみよう。


「ウヒャヒャヒャッ!何言ってんだ、トウヤ!全然似てないぜ!俺様の方がカッコイイだろ!!親戚じゃないぜ!」


 ヘリコプターフライにそう言われた。


 似てはいると思うが、違うのか。


 まあ、良いか。



 さらにその下の部分には、こう記載されていた。


 レベル  …… ベチャッとしていて悲しい。


 強さ   …… 衣がはがれている。

 頭脳   …… ほう、こいつはうまそうだ!!

 速さ   …… いやあ、中まで火が通っていませんねぇ。

 幸運   …… これは塩が美味しいと思います!


 特殊   …… 土魔法が得意なのです!!


 特記事項 …… な、なんと何もありませんでしたーー!!


 土魔法!?


 どんなことができるのだろうか?


 召喚して聞いてみるか。


 ロケットフライが出て来た。


 身長は10センチくらいだ。


 両足で地面に立っている。


 こいつは飛べないようだな。


「本機を召喚したのは、あなたですか?」


 ロケットフライが話しかけてきた。


 なんだか機械的な感じだな。


 ヘリコプターフライとは、まったく違うな。


「ああ、そうだ。俺は角野当也。トウヤとでも呼んでくれ。よろしく」


「かしこまりました。よろしくお願いします」


「ところで、土魔法って、どんなことができるんだ?」


「迅速に掘削できます」


「他にはどんなことができるんだ?」


「ありません」


 そうなのか。


 穴が掘れるのか。


 バニー竹ゴールド戦に使えるかもしれないな。


 ちょっと見せてもらおう。


「その魔法を使ってみてくれないか?」


「かしこまりました」


 ロケットフライが跳び上がり、先端部を地面に向けた。


 そして、そのまま回転し、土に潜って行った。


 ほんの数秒で、姿が完全に見えなるくらい潜ってしまったぞ。


 すごいもんだな。


 まるでドリルのようだ。


 外見はロケットだけどな。


 あ、ロケットフライが出て来たぞ。


「このような魔法です」


「ああ、よく分かったよ。すごい魔法だな」


「ありがとうございます」


 これならバニー竹ゴールドに勝てるかもしれないな。

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