第84話 フライングクッキーに悩まされる話
7階の探索を続けている。
道中、バニー火焔型土器とバニー偽宝箱を3体ずつ倒した。
そして、宝箱型クッキーを4個見つけた。
クッキーばかりがたまっていく……
プレーンクッキーはもう飽きたぞ。
ああ、たまには肉がうまいヤツが出て来ないかなぁ。
せめて違う味のクッキーがあればなぁ。
おっ!
上り階段を発見したぞ!
ということは、8階もあるのか。
広いところだなぁ。
では、マップに記載して、この階の探索を続けよう。
うわぁ、また見つけてしまったぞ。
やはりあるのか。
いつものボス部屋の扉だ。
では、恒例の覗き見をしようか。
7階のボスはどんなヤツなんだろうな?
扉を少し開いて、中を見てみた。
……あれはなんだ?
巨大なチョコレートクッキーなのか?
やっと違う味が出てきたのか?
部屋の中央に、こげ茶色の巨大なクッキーのようなものが何枚も積み重なっていた。
しかも、それが複数あり、横並びになっている。
1枚の大きさは、高さ50センチくらい、幅3メートルくらいだ。
あれは何枚あるのだろうか?
数えてみるか。
10枚積み上がったものが10列並んでいるぞ。
合計100枚か。
あれ全部が、この階のボスなのか?
他には何もないな。
普通の洞窟の内部だな。
なら、あれらがボスのようだな。
さて、どうするか?
ここはいつものように戦ってみようか。
数が多くて、少々怖いがやるしかないか。
やってみなければ情報が得られないしな。
扉を開けて、中に入った。
まずやることは、扉が勝手に閉まらないように固定することだな。
よし、固定したぞ。
これで撤退の準備は万全だな。
さあ、いくぞ、勝負だ!
はい、撤収!
俺はすぐに部屋を飛び出した。
巨大クッキーたちが一斉に飛びかかって来て、どうにもならなかったからだ。
それに速度の方も、かなり速かったしな。
ああ、数の暴力は恐ろしいなぁ。
扉を開けっ放しにしておいて、本当に良かったよ。
しかも、合計で100枚だと思っていたら、後ろにもう100枚いたんだよな。
合計200枚の数の暴力なんて、ひど過ぎるだろ。
それから、あの巨大クッキーたちはバニーモンスターだった。
クッキーの真ん中あたりに、白い大きなウサギの耳の模様が描かれていたのだ。
長さは2メートルくらいだ。
あいつは『バニー柄クッキー』と呼ぼう。
では、対策会議をしようか。
あの数の暴力をどうしよう?
何か良い手はないものか?
うーん、そうだなぁ。
数が多い敵に対処できそうなのはガス魔法か。
飛んでくる前に焼き尽くしてしまえば倒せるかもしれないな。
よし、ヘーマンを召喚して、やってもらおうか。
残念ながら、撤退しました。
バニー柄クッキーは炎に包まれた状態でも平然と襲いかかって来て、非常に危険だったからだ。
あいつらは炎に強いみたいだな。
もしかして、焼き菓子だからか?
どうなんだろうな?
まあ、そこはどうでもいいか。
次の作戦を考えよう。
うーん、何か良い案はないものか?
みんなにも相談してみよう。
「そうじゃのう。こちらも数をそろえるのはどうじゃ?」
ラビリンが提案してきた。
単純な理屈だが効果的だな。
「数をそろえるか。良いかもしれないな。問題は誰が戦うかだな」
「我は戦うぞ」
「やる」
「私も参加しますよ」
「吾も手伝おう」
「今の自分なら戦えるだろう。参加させてくれ」
骸王、ダブルクリーナーヘッド、SIBIN、ヤマさん、ルギデルが参加を表明した。
ここに俺を入れて、合計6名か。
ノルマは33~34枚か。
大丈夫かな?
やってみるしかないか。
俺は戦闘要員たちを召喚した。
では、出撃だ!!
はい、残念ながら、撤退しました。
なんなんだよ、あいつらは!?
真っ二つに斬り裂いてやっても、そのままの状態で飛んで来るし、細かく砕いてやったら、すぐに破片同士がくっ付いて再生するし!?
攻撃しても、全然数が減らないじゃないか!?
こんなのどうすれば良いんだよっ!?
「おそらくどこかに弱点があるのだと思いますよ。なんとかそれを探すしかないのでは?」
SIBINがそう言った。
なるほど、弱点か。
確かにありそうだな。
問題はどうやってそれを探すかだよな。
ここは官邸にがんばってもらうしかないのか?
それしかないか。
やってみよう。
俺は官邸を召喚して、ボス部屋に入った。
残念ながら、鑑定できませんでした。
バニー柄クッキーが飛んで来るせいで、総理と記者たちが官邸から出て来られなくなって、鑑定できなかったぞ。
鑑定にそんな制約があったのか。
初めて知ったぞ。
さて、これからどうしようか?
あ、そうだ、良いことを思い付いたぞ!
扉を少し開けた状態にして、その隙間から鑑定してもらおう。
我ながら名案だな!
さっそく実行しよう!
「総理!あのクッキーの倒し方を教えてください!」
「えー、不明です」
ええっ!?
不明なのか!?
なんでだよ!?
「総理!なぜ不明なのですか!?」
「えー、どうやらなんらかの力で鑑定を妨害しているようです」
なんらかの力!?
ボスの特殊能力なのか!?
くっ、これではどうしようもないな。
次の手を考えよう。
どうすれば良いのだろうか?
うーむ、まったく思い付かない。
これはダメだな。
仕方ない、ここは後回しにしよう。
探索を再開するとしようか。
ここはこれで行き止まりと。
よし、これで7階はすべて回ったことになるな!
目ぼしいものは特になかったな。
では、8階に行くとするか。
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