第83話 赤いカード

 なぜバニー偽宝箱は倒した後に爆発するんだ?


 ちょっと官邸に聞いてみるか。


「総理!なぜバニー偽宝箱は爆発したのですか!?」


「えー、そのような生態であるとしか言いようがありません」


 ええ……


 ひどい生態もあったもんだな。


 まあ、そんなことを言っても仕方ないか。


 探索を続けよう。



 次はこの家に入ってみるか。


 あ、また宝箱があったぞ。


 今度は濃い緑色の宝箱だ。

 

 大きさは縦10センチくらい、横15センチくらい、高さ10センチくらいだ。


 材質は光沢のある金属のような感じだ。


 先程のものと比べると、かなり小さいな。



 さて、この宝箱を開けてみようか。


 と言いたいところだが、今回はいきなり開けるような真似はしないぞ。


 またバニーモンスターかもしれないからな。


 ここは慎重に行動するとしよう。


 まずは鑑定をしてもらおうか。


「総理!あの緑の宝箱はなんですか!?」


「えー、あれは宝箱ではありません。植物です。名前は『ネンレ・イサショウシ・テソウ』と言います。生で食べると少し若返ります。プロ・フィールイ・ツワッテイソウよりも若返ります。栄養豊富です」


 ええっ!?

 これが植物!?


 しかも、いつもの若返るシリーズの一種だったのか!?


 今回の名前は『年齢詐称してそう』なのか。


 相変わらずのネーミングセンスだな。


 ところで、なんでこんな形をしているんだ?


「総理!なぜこの植物は宝箱の形なのですか!?」


「えー、不明です」


 不明か。


 まあ、どうでもいいか。



 では、採取しようか。


 俺はネンレ・イサショウシ・テソウを持ち上げた。


 ん?

 箱の底に細くて長い根が、びっしりと付いているぞ。


 見た目は完全に宝箱なのに、ここは植物なんだな。


 それでは、食べるとするか。


 いただきます。


 俺はネンレ・イサショウシ・テソウを口に入れた。


 なんだこりゃぁ!?


 味も食感も、完全にプレーンクッキーなのだが!?


 どういうことなんだ!?


 こいつは植物じゃないのかよっ!?


 なんでこの階はクッキーだらけなんだよっ!?


 何か意味があるのか?


 うーむ、特になさそうだな。


 まあ、どうでもいいか。


 さっさと食べて、先に進もう。



 では、次はこの家を調べるか。


 おや?

 あれは?


 床にカードが落ちているぞ。


 ただ、俺の持っている青白い色のカードではない。


 赤い色をしているカードだ。


 大きさは同じくらいだな。


 あれはなんなのだろうか?


 まさかあれはバニーモンスターなのか!?


 今度はカードに擬態しているのか!?


 ウサギの耳は付いていないように見えるけど、油断はできないな。


 よし、ここは鑑定をしてもらおうか。


「総理!あの赤いカードはなんですか!?」


「えー、不明です」


 不明なのか。


 どういうことなのだろう?


 よく分からないな。


 仕方ない、ここはあのカードを手に取って調べてみよう。


 俺は赤いカードに慎重に近付いた。


 襲いかかってこないな、これはバニーモンスターではないのか?


 いや、まだ油断はできないな。


 次はカードに触れてみよう。


 触れても襲ってこないな。


 ここまでやったのに何もしてこないということは、どうやらバニーモンスターではないようだな。


 これで安心か?


 いや、まだワナの可能性がないとは言えないか。


 油断しないようにしないと。


 では、赤いカードを拾ってみよう。


 慎重に赤いカードを拾った。


 何事もなく拾うことができたな。


 どうやらワナの類ではないようだ。


 安心したぞ。



 では、赤いカードを調べてみよう。


 えっ!?

 なぜか『ルギデル・モノカロオ』と書いてあるぞ。


 他には何も書いていない。


 どうしてルギデルの名前が書いてあるのだろうか?


 ちょっと聞いてみようか。


「自分にもよく分からないな」


 分からないか。


 うーむ、これはどうすれば良いんだ?


 カードだから腰に貼れば良いのか?


 ルギデルを召喚して、貼ってもらおうか。


「このカードをトウヤのように腰に貼れば良いのか?」


「ああ、やってみてくれ」


 ルギデルが赤いカードを腰に貼った。


「こ、これは!?あ、ああああああああああっ!?」


 ルギデルが苦しみ出した。


「ルギデル!?どうした!?大丈夫か!?」


「お、思い出した……」


「えっ!?」


「自分のことを思い出した」


「な、なんだって!?」


 あの赤いカードには、名前が記載されている者の記憶が入っているのか!?


「それで何を思い出したんだ?」


「筋肉魔法だ」


「筋肉魔法!?なんだそれは!?どういう効果があるんだ!?」


「名前通り、筋肉に作用する魔法だ。筋力を上げることもできれば、下げることもできる」


 なるほど、確かに名前通りだな。


 ゲームで言うなら、攻撃力を上げたり下げたりする、補助的な魔法なのかな?


 役に立ちそうだな。


「他には筋肉を肥大化させて、体を破壊するという使い方もある」


 ナニソレ怖い!?


 実は攻撃魔法なのか!?


「筋肉を魅力的にして、見とれさせることもできる」


 なんだそりゃぁ!?


 筋肉で魅了するのか!?


「筋肉魔法については以上だ」


「そ、そうなのか。ところで、他に思い出したことはないのか?」


「他か、そうだな。昔、バニーモンスターの大軍を見たような覚えがある」


「昔って、どのくらい前なんだ?」


「そこはよく分からない。ただ、それがとても恐ろしかったような気がする。そして、何か対策を立てたような覚えがある」


「おおっ、その対策は思い出せないのか!?」


「ああ、思い出せない……」


「そうか」


 どうやら記憶をすべて取り戻せたわけではないようだ。


 ということは、赤いカードは他にもあるのかもしれない。


 よし、探してみよう!

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