第82話 草、クッキー、クッキー?
さて、これからどうするか?
とりあえず、周囲にあるものを調べてみるか。
また若返る草があるかもしれないしな。
では、官邸を召喚しようか。
「総理!この草はなんですか!?」
「えー、それは『ナナカイノクサ』ですね。食用で生食もできます。栄養はそれなりにあります」
後でサラダにして食べようか。
採取しておこう。
「総理!こちらの草はなんですか!?」
「えー、それは『ナ・ナカイウ・マクサ』ですね。非常に美味しい草です。栄養も豊富です。生食もできます」
おおっ、そいつは素晴らしいじゃないか!
採取しておこう。
鑑定が終わった。
他に目ぼしいものはなかった。
この階には若返る草は存在しないのか?
それとも、この辺には生えていないだけなのか?
どうなんだろうな?
まあ、探索を進めれば分かることだな。
先に進もう。
家の中を調べたり、まだ調べていない草を鑑定しながら歩いている。
さらにマップも描いている。
この階はやることが多くて大変だな。
探索のペースが、かなり落ちているぞ。
まあ、仕方ないか、地道にやっていこう。
さて、次はこの家に入ってみよう。
お邪魔します。
おおっ、これは!
宝箱じゃないか!!
縦40センチくらい、横50センチくらい、高さ40センチくらいの茶色の宝箱が置いてあった。
材質は粘土のように見える。
ここって宝箱が存在したのかよっ!
すごくダンジョンっぽいじゃないか!!
素晴らしい!!
よし、さっそく開けてみよう!
何が入っているのだろうか?
楽しみだな!
……あれ?
おかしいな、開かないぞ。
なんでだ?
おや?
よく見ると、この宝箱には蓋のつなぎ目がないぞ。
どういうことだ?
これは宝箱ではないのか?
それとも開けられないように、何かで接着したのか?
なんだろうな?
こういう時は、鑑定してもらおうか。
「総理!この宝箱はなぜ開かないのですか!?」
「えー、これは宝箱ではないからです」
えっ!?
そうなのか!?
なら、これはなんだよ!?
「総理!この宝箱のようなものはなんですか!?」
「えー、これは宝箱型のクッキーです」
クッキー!?
なんだそりゃぁ!?
なんで宝箱型のクッキーなんてものがあるんだよっ!?
訳が分からないぞ!
「総理!なぜこのようなものが置いてあるのですか!?」
「えー、これはワナの一種です」
ワナ!?
どういうワナだよっ!?
宝箱だと思ったら、偽物でガッカリさせるという嫌がらせなのか!?
おのれっ、何が入っているのか楽しみだったのに!
腹が立つから、このクッキーを食べ尽くしてやろうかな?
よし、そうしよう!
宝箱の端の部分を、刀で斬って食べてみた。
本当にクッキーだな。
こいつもプレーンクッキーの味がする。
うん、なかなか美味しいぞ。
……満腹になってきたら、怒りが収まってきた。
今日のところは、これくらいで許してやろう。
食べ切れなかったクッキーは、アビスに収納してもらおう。
9割くらい残っていて、もったいないからな。
さて、食休みをしたら出発するか。
次は向かいにある家を調べよう。
向かいの家に入った。
そこには巨大な宝箱があった。
大きさは先程の宝箱型クッキーの倍くらいある。
材質は先程のものと同じように見える。
おいおい、また宝箱型クッキーかよ。
しかも、ずいぶんとデカいな。
はぁ、もうクッキーはたくさんなんだがな。
だが、もったいないし、非常食にはなるだろうから拾っておこうか。
俺は宝箱に近付いた。
すると、突然宝箱が跳ね上がった!
そして、俺の顔面に直撃した!
ぐああっ!?
いてぇぇ!?
な、なんだ!?
なんで突然宝箱が動いたんだ!?
まさかワナだったのか!?
「クククッ、マヌケが引っかかったようだわ!」
今の声は!?
この宝箱がしゃべったのか!?
どこから声を出したんだ!?
って、そこはどうでもいいか!
それよりも、こいつは敵なのか!?
えっ!?
いつの間にか、宝箱に足が生えているぞ!?
宝箱の底部に筋骨隆々の人間の足が付いていた。
そして、宝箱はその足で直立している。
足の材質は他の部分と変わらないように見える。
身長は160センチくらいだ。
なんだあれは!?
ウサギの耳がないから、普通のモンスターなのか!?
むっ、なぜか箱が開いたぞ。
な、なんだと!?
あれはウサギの耳じゃないか!?
宝箱の中から白いウサギの耳が出ていた。
おそらく箱内部の底に耳が付いているのだろう。
長さは1メートルくらいだと思われる。
あれがあるということは、あいつもバニーモンスターなのか!?
あんなところに耳を隠して、宝箱に擬態していたということか!?
くそっ、見事にだまされてしまったじゃないか!?
腹立たしいヤツだな!
よし、こいつはぶっ倒すしかないな!
覚悟しろ!
俺は刀を抜き、斬りかかった。
宝箱を縦に真っ二つに斬り裂いた。
楽勝だったな。
こいつはあまり強くはないようだな。
奇襲に特化したヤツなのかな?
あ、そういえば、こいつに呼び名を付けていなかったな。
よし、こいつは『バニー偽宝箱』と呼ぼう。
では、恒例の鑑定をしてもらおうか。
「総理!この宝箱について教えてください!」
「えー、この敵は宝箱型クッキーに擬態して、獲物が近付いて来るのを待つという戦法を使うバニーモンスターです」
な、なんだって!?
宝箱ではなく、宝箱型クッキーに擬態していたのか!?
ということは、宝箱型クッキーって、これのためにあるのかよっ!?
「体はクッキーのような粘土で作られているため食べられません」
そこは見た目通りなんだな。
粘土は特に使い道がないから、拾わなくて良いか。
「それから、この敵は倒されてから1分後に爆発します」
はぁっ!?
爆発!?
なんでだよ!?
いや、原因の究明なんてどうでもいいか!
今は逃げないと!
官邸をカードに戻して、全速力で逃げ出した!
後ろで爆発音が聞こえた。
振り返ると先程までいた家が崩れていた。
助かったか、良かった。
本当にここは意味の分からないものだらけだな。
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