第80話 すぐ破裂するボス

 いったい何が起こったんだ!?


 なぜ破裂音がしたんだ!?


 バニー竹ゴールドは自爆したのではなかったのか!?


 そういえば、なぜ骸王は部屋を出ろと言ったのだろうか?


 いったい何に気が付いたんだ?


 ちょっと聞いてみよう。


「それは、あの竹がいたからだ」


「な、なんだって!?やはりバニー竹ゴールドは生きていたのか!?」


「そのようだ。ヤツが突然、トウヤの背後から生えてきたのだ。しかも、破裂する寸前の状態であった」


 ええっ!?

 なんだそれは!?


 まったく気付かなかったぞ!?


 音もしなかったしな!?


 これは厄介な敵だな。


 どうやったら倒せるのだろうか?


 うーむ、地球の常識で考えると、土の中に根があって、そこからバニー竹ゴールドが生えてきていると思うのだが……


 当たっているのだろうか?


 当たっているとすると、倒し方は根の破壊ということになるわけだよな。


 では、どうやって根を攻撃するかだな。


 地道に穴を掘るか?


 って、そんなのただの的にしかならないよな。


 何か良い手はないものか?



 吸引魔法で土を除去するというのはどうだろうか?


 土の量が多くて、ダメじゃないか?


 ものすごく広い部屋だしな。


 まあ、いちおうダブルクリーナーヘッドにやれそうか聞いてみよう。


「やってみる」


 えっ!?

 やるのか!?


「提案した俺が言うのもなんだが、無茶しなくても良いんだぞ!?」


「やってみる」


 そうか、やるのか。


 なら、やってみようか!


 行動は大事だからな!



 ボス部屋の扉の前にやって来た。


 扉は開けっぱなしになっている。


「よし、ここから土を吸引してくれ。バニー竹ゴールドが出て来たら、すぐに撤退しよう!」


「分かった」


「では、始めてくれ!」


 ダブルクリーナーヘッドが土を吸引し始めた。


 すさまじい勢いで土が吸い込まれていくが、部屋が広過ぎて、焼け石に水って感じだな。


 やはりこの方法では難しいか。


 うげっ!?

 バニー竹ゴールドが生えてきた!?


 本当に音もなく、すさまじい早さで生えてくるんだな!?


 しかも、どんどん膨らんでいるぞ!?


 って、そんなことよりも、退避だ、退避!


 俺たちはその場を離れた。


 また大きな破裂音がした。


 この方法は失敗だな。


 他の方法を考えよう。



 うーん、アビスに土をすべて収納してもらうとかどうだろう?


 いやいや、それはさすがに無茶振りだよな。


 どうなんだろうか?


 念のために聞いてみようか。


「それは無理だよ。土が多過ぎるよ」


 アビスにそう言われた。


 まあ、当然か。


 他の方法を考えようか。



 ヘーマンのガス魔法を使うのはどうだろうか?


 土を焼くとどうなるのだろうか?


 バニー竹ゴールドの根が蒸し焼きにでもなるのかな?


 どうなんだろうか?


 ヘーマンに聞いてみるか。


「分からないから、やってみようぜ!」



 というわけで、また扉の前にやって来た。


 もちろん、扉は開いている。


「おっしゃ!いくぜ!最大出力のガス魔法だ!」


 ヘーマンが炎を放射した。


 おおっ、すごいぞ!


 部屋が火の海になっている!


 これはいけるのではないか!


 残念ながら、世の中はそんなに甘くはなかった。


 すぐにバニー竹ゴールドが生えてきたのだ。


 しかも、燃えずに膨らみ続けている。


 これはマズい、撤退だ!


 俺たちはすぐさまその場を離れた。


 またまた大きな破裂音がした。


 この方法でもダメか。


 生えてくるのが早過ぎて、蒸し焼きが完成する前に、俺たちがやられてしまうぞ。


 他に何か良い方法はないものか?



 SIBINの水の刃を飛ばす魔法ならやれるか?


 あの魔法は威力が高いからな。


 うまく根を撃ち抜けば倒せるかもしれない。


 ……希望的観測じゃないか?


 考えが甘い気がする。


 敗走する未来が見える気がするぞ。


 まあ、それでも念のために、SIBINに相談してみようか。


「それは無茶だと思いますよ」


 やはり無茶か。


 まあ、それでも1回やってみよう。


 もしかしたら、一発逆転で倒せるかもしれないし。


「分かりましたよ。いちおうやってみましょうか。ダメだと思いますけどね」



 またまた扉の前にやって来た。


 では、頼んだぞ、SIBIN!


 SIBINが茶色い水の刃を撃った。


 おおっ、どんどん地面に穴が開いていくぞ。


 これは倒せるか?


 あ、バニー竹ゴールドが生えてきた!


 当然ながら、どんどん膨らんでいる。


 はい、撤収!


 というわけで、予想通りダメでした。


 他の方法を考えよう。



 うーん、何も思い付かないぞ。


 これは現状では打つ手がないのか?


 あ、そうだ。


 破裂したバニー竹ゴールドの破片を鑑定してもらおうか。


 何か分かるかもしれないしな。


 では、官邸を召喚だ。


「総理!このバニー竹ゴールドは、どうやったら倒すことができますか!?」


「えー、バニー竹と変わりません。根まで斬る必要があります」


 やはりそうなのか。


 では、その根はどこにあるんだ?


「総理!バニー竹ゴールドの根はどこにありますか?」


「えー、部屋の中に埋まっています。それ以上は分かりません」


 官邸でも分からないか。


 まあ、仕方ないか。


 ところで、バニー竹ゴールドの素材としての評価はどうなんだ?


「総理!この竹はどのような素材ですか!?」


「えー、バニー竹ゴールドはバニー竹に金メッキをしただけです。利用法もほぼ同じです」


 えっ!?

 これって、金メッキだったのか!?


 ということは、これを集めてリサイクル魔法で延べ棒にすれば、大もうけできるのか!?


「総理!バニー竹ゴールドからどのくらいの金が採取できますか!?」


「えー、個体の大きさによります。金メッキの厚さは0.1マイクロメートルです」


 マイクロメートル!?


 確か1ミリの1000分の1の単位だったか?


 あれ?

 もしかして、大金が得られるほど手に入らないのか?


 どうなんだろうか?


 まあ、倒して集めてみれば分かるか。


 というわけで、倒す方法を考えないとな。


 って、それが思い付かなくて、鑑定してもらっていたんだったな。


 結局、現状では打つ手なしなのか?


 みんなとも相談してみよう。


 残念ながら、良い案は出なかった。


 仕方ない、ここは後回しにしようか。


 探索を続けよう。



 よし、6階はすべて回ったぞ。


 特に目ぼしいものは見つからなかった。


 では、7階に行こうか。

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