第77話 人型多数
突然、畑の土が噴き上がり、そこから何かが飛び出て来た!
そして、地面に降り立った。
な、なんだと!?
あれは!?
そこにいたのは、白いナース服を着た美女だった。
当然、頭には長さ30センチくらいの白いウサギの耳が付いている。
また人型のバニーモンスターだと!?
「トウヤさん、まだいますよ!」
SIBINが警告してきた。
なんだって!?
俺の周囲から、また何かが飛び出て来た。
あれは黒いビキニ水着を着た美女に、セーラー服の美女に、スーツを着た美女だ!?
さらに巫女服の美女に、修道服の美女に、スクール水着の美女に、競泳水着の美女までいるぞ!?
全員の頭にウサギの耳が付いている。
まだ現れるというのか!?
しかも、なんで人型の女性ばかりが出て来るんだ!?
いったいどういうことなんだよっ!?
こいつらは分からないことだらけだな!
まあ、そんなの今更か。
そんなことよりも、あいつらに対処しないと!
人型のバニーモンスターたちは動かずに呆然としている。
またか……
なぜ、こいつらは動かないのだろうか?
生まれたてのバニーモンスターは動かないという生態なのか?
まあ、どうでもいいか。
今のうちに逃げよう。
まだ覚悟が決まらないからな。
俺はその場から離れた。
どうやら逃走は成功したようだな。
まあ、追って来なかったのだから、当然だけどな。
さて、これからどうしようか?
この辺は畑ばかりだから、空を飛んで、もっと遠くへ行ってみよう。
北西に向かって飛んでいる。
日本海側はどうなっているのか気になったからだ。
そろそろ山脈に差し掛かるところだ。
うわっ、山にまでバニーモンスターの畑が作られているぞ。
傾斜があるのに、お構いなしで植えているんだな。
雨が降ったら地すべりが起きて、全部ダメになりそうなのにな。
まあ、そんなことはどうでもいいか。
さっさと北陸に行こう。
山脈を越えた。
うわ~、ここもかよ。
北陸地方にもバニーモンスターの畑が作られていた。
畑ばかりで建物が見当たらない。
うーん、ここにも人はいなさそうだな。
また移動するか。
次はどこに行こうか?
とりあえず、北の方から調べてみようかな。
よし、行くか。
おや?
何かが上空を飛んでいるぞ。
あれはなんだ!?
バタフライのような動きで空中を移動している、人型の何かのようだな。
うん、意味が分からん。
本当になんなのだろうな。
ん?
だんだんと近付いて来ているような……
うげっ!?
どうやら俺の方に向かって来ているようだ!?
どうしようか!?
あまり関わりたくないから、地上に下りてやり過ごそうか。
くっ、ダメだな。
地上に下りても、俺の方に向かって来るぞ。
どうやら俺に用があるみたいだな。
仕方ない、気は進まないけど、対処するか。
ウサギの耳が3つ積み上がった状態で付いている、赤いドラゴンのマスクをした人型の何かがやって来た。
身長は3メートルくらい。
ウサギの耳は上から赤、黄、青の順で並んでいる。
長さはどれも40センチくらいだ。
黒いウェットスーツを身に着けている。
筋骨隆々の男性のようだ。
うわぁ、なんだこの変なのは……
こいつもバニーモンスターなのか?
3段重ねの耳だから、トリプルバニーランクなのかな?
とりあえず、こいつは『バニードラゴンマスク』とでも呼ぼうか。
「そこの紙袋と茶色の不審者!貴様らは何者だニャン!」
語尾に『ニャン』が付く、ドラゴンマスクの不審者に、不審者扱いされた!?
ショックだ!?
精神に多大なダメージだ!?
って、そういえば、紙袋を脱いでいなかったな。
今更脱ぐのもなんだから、このままで良いか。
それよりも、なんと答えようか?
こんな変なヤツに名前を知られたくないし、関わりたくないから、適当なことを言って逃げようかな。
「ただの通りすがりの者です。お気になさらずに。それでは失礼します」
俺はそう言って、その場を立ち去ろうとしてみた。
「待つニャン!不審者ども!貴様らは怪し過ぎるから、ここで始末してやるニャン!」
バニードラゴンマスクが襲ってきた。
適当なことを言って逃げる作戦は失敗か。
まあ、当然だろうけど。
仕方ない、応戦するか。
バニードラゴンマスクが、空中をバタフライで泳ぎながら接近して来た。
なぜ、あんな移動方法なんだろうか?
意味が分からんな。
ただ、速度はとてつもなく速いぞ!?
くっ、避け切れないっ!?
振り下ろされた手で左肩を殴られてしまった。
激しい痛みが走る。
な、なんて馬鹿力なんだ!?
痛過ぎる!?
「トウヤ!俺様をカードに戻せ!」
あ、そうだった、空を飛ぶためにヘリコプターフライを召喚していたんだった。
ヘリコプターフライをカードに戻した。
これで身体能力が上がった、これなら対抗できるぞ!
残念ながら、そんなことはなかった。
くそっ、攻撃を避けるだけで精一杯だな!?
カード1枚でどうにかなるほど、世の中は甘くはなかったか。
厳しい世界だな。
って、弱音を吐いている場合ではないな。
とにかく、反撃をしなければ!
こちらも攻撃しなければ勝ち目がないからな!
なんとか隙を見つけて……
……って、隙がない!?
というか、動きが速過ぎて、突くことができない!?
これはマズいって!?
何か他の方法はないのか!?
ヤバい、思い付かない!?
誰かを召喚したら、身体能力が下がって攻撃を回避し切れなくなるし。
切り札の身体能力そのまま召喚を使い切ってしまっているし。
これは打つ手なしなのか!?
大ピンチじゃないか!?
どうすれば良いんだ!?
「トウヤよ、ここは退却すべきじゃな」
ラビリンが提案してきた。
退却と言われてもな。
あいつの速度から考えると、無理だと思うのだが……
あ、そうだ、ダンジョンに召喚の能力があったな!
あれを使ってみよう!
俺はダンジョンに召喚を使用した。
よし、これで10分経過したら、ダンジョンの中に行けるはずだ。
って、これから10分間も逃げ回らなければいけないのかよっ!?
くそっ、なんて使い勝手の悪い能力なんだ!!
こうなったら全力で逃げ回ってやるぜ!!
チクショウめ!!
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