第76話 落下した先は
地面に立っていたはずなのに、なぜか落下している!?
どういうことだよっ!?
訳が分からなさ過ぎるぞ!?
周囲は真っ暗な空間だ。
ここはいったいなんなんだ!?
俺は今、どこにいるんだ!?
「トウヤ!」
「トウヤさん!」
ヘーマンとSIBINが落ちて来た。
どうやら俺を追って来てくれたようだ。
「ヘーマン、SIBIN、何が起きたのか分かるか!?」
「トウヤさんの立っていた場所に黒い円が発生していました!原因は不明です!」
はぁっ!?
なんでそんなことが!?
いったいどういうことなんだ!?
「トウヤさん、下の方が明るくなっています!おそらく出口です!」
えっ!?
うわっ!?
急に周りが明るくなった!?
ここは空の上か!?
しかも、かなり高いところにいるようだ!?
このままでは地面に激突してしまうじゃないか!?
ヘリコプターフライを召喚しないと!?
ヘリコプターフライが出て来た。
そして、俺の体が宙に浮いた。
ヘリコプターフライが飛行魔法をかけてくれたようだ。
「助かったよ。ありがとう、ヘリコプターフライ」
「良いってことよ!」
「トウヤ、無事か?」
「どうやら無事のようですね」
ヘーマンとSIBINがやって来た。
ヘーマンにも飛行魔法をかけてくれたみたいだな。
「ああ、問題ないよ。それにしても、驚いたな」
「そうですね。突然、トウヤさんが消えてしまって驚きましたよ」
「心配かけてすまなかったな。しかし、あれはなんだったのだろうか?」
「そうですねぇ。状況から考えると、星間転移おろし金というものが、魔法を受けて起動したせいだと思いますよ」
「なるほど、確かにあり得そうだな」
正確には、魔法を受けて暴走したといったところなのかもしれないな。
星間転移おろし金と関わる時は気を付けよう。
さて、これからどうするか?
とりあえず、ここがどこか調べてみるか。
この場所を鑑定してもらおう。
「総理!ここはどこですか!?」
「えー、ここは地球です。日本の上空にいます」
な、なんだって!?
地球!?
ここは地球なのか!?
しかも、日本の上空!?
おおおおおっ!!
やった、やったぞ!!
俺たちは帰って来れたんだな!!
いやあ、良かった良かった!
さあ、家に帰ろう!
そして、ゆっくり休もう!
俺は自宅に向かって飛んだ。
地上が見えてきた。
ん?
なんだか地上の様子がおかしいような気がするぞ。
ええっ!?
なんだあれは!?
建物が見当たらない!?
今は関東の上空のあたりにいるのに、まったく見当たらないぞ!?
なんでだ!?
その代わりに土の地面が見えるぞ!?
いったいどういうことなんだ!?
アスファルトやコンクリートは、どこに消えたんだ!?
とりあえず、地上に下りてみようか。
な、なんだこれは!?
多彩なウサギの耳が大量に生えているぞ!?
これはまるでバニーモンスターの畑じゃないか!?
なんでこんなことになっているんだ!?
まさか日本はバニーモンスターに滅ぼされたのか!?
そんなバカな!?
これは調査をしないと!?
まずは人を探してみよう。
といっても、どこにいるのだろうか?
周辺を見回してみた。
このあたりには畑しかない、遠くの方に山が見える。
この近くに人はいなさそうだ。
とりあえず、移動しようか。
ん?
あそこに生えているのは!?
そこには、上に30センチくらいの黒いウサギの耳、下に30センチくらいの白いウサギの耳が重なったものが生えていた。
あれはダブルバニーランクのバニーモンスターじゃないか!?
あいつは強いんだよな。
今のうちに駆除しておこうか。
俺はウサギの耳に近付いた。
あっ!?
ウサギの耳が小刻みに震え出したぞ!?
これはまさかバニーモンスターが生まれるというのか!?
突然、耳のあった場所から、何かが飛び出して来た。
な、なんだと!?
あれは人間!?
そこにいたのは、ブレザーの制服を着た女性だった。
身長は160センチくらい、セミロングの茶髪で、日系の顔をしている。
容姿端麗な美人だな。
当然、頭にはウサギの耳が付いている。
直立不動で、
えーと、これはどういうことなんだ?
あの人はバニーモンスターなのか?
それともウサギの耳を付けて、土に埋まっていただけの変人なのか?
どっちなんだ!?
あ、そうだ、こういう時は鑑定してもらおう。
「総理!あちらの方は何者ですか!?」
「えー、人型のバニーモンスターです」
な、なんだって!?
人型のバニーモンスター!?
ウサギの耳以外は完全に人間だぞ!?
そんなのいるのかよっ!?
ど、どうしよう?
バニーモンスターなら倒すべきなのか!?
でも、どう見ても人だしなぁ。
うう、戦いづらいぞ……
「トウヤ、どうした?ヤツを倒さないのか?」
骸王が尋ねてきた。
「えっ!?その…… 人間のようで戦いづらいんだが……」
「ならば、我が倒す。召喚しろ」
「えっ、いや、それもちょっとな……」
「あれはバニーモンスターなのだろう?」
「そうなんだろうけど…… 今回はやめておこう」
俺はその場から逃げ出した。
畑の中を全力で走り、かなりの距離を移動した。
人型のバニーモンスターは、俺を追っては来なかった。
ふう、逃げることができて良かった。
しかし、これはマズいな。
あんな完全な人型をしたヤツが出るなんて……
倫理的に非常に戦いづらい。
だが、あれがバニーモンスターだというのなら、そんなことも言っていられないよな。
次は戦えるように覚悟を決めておかないと。
えっ!?
あ、あれは!?
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