第73話 靴下望遠鏡?
あれから3日が経過した。
その間はひたすら狩りをして、お金をためていた。
ただ、あまりうまくはいかなかったけどな。
獲物がなかなか見つからなかったのだ。
まあ、それでも所持金は110万アエレくらいにはなったけど。
これだけあればカードの1枚くらいなら、確実に買えるだろう。
というわけで、今日は古物屋巡りをしてみようと思う。
天気は快晴で、お出かけ日和だしな。
最初の目的地は、この王国で2番目に大きな都市だ。
名前は『ペノグネカ』というそうだ。
なんでも鉱山が近くにあって、栄えているらしい。
この星の人たちは、ステンレスなどを食べているようだから、重要な都市なのだろうな。
よし、準備はできたし、出発しようか。
王都からは離れた場所にあるから、空を飛んで行こう。
ペノグネカの上空に着いた。
確かに大きな都市だな。
都市内には、掃除機やゴミ箱を大きくしたような建物がたくさん並んでいる。
王都と比べても見劣りしないぞ。
さすがは、この王国2番目の都市だ。
さて、まずはこの都市を鑑定してもらおうか。
古物屋の有無を調べないとな。
「総理!ペノグネカに古物屋はありますか!?」
「えー、1軒あります」
1軒だけか。
では、そこに行ってみよう。
ペノグネカの近くに下りて、徒歩で向かった。
ペノグネカの門の前に着いた。
ここも王都のように、白いコンクリートのようなものでできた壁に囲まれている。
高さは15メートルくらい、有刺鉄線が張り巡らされている。
門には、見張りのクリーナ族が3名いる。
ここも物々しいな。
戦争中だから、当然か。
さて、中に入れるのかな?
行ってみるしかないか。
門を素通りできたぞ。
毎回思うが、セキュリティーは大丈夫なのか?
まあ、どうでもいいか。
さあ、古物屋を探そう。
おっ、発見したぞ!
ここが古物屋だな。
白い掃除機の本体のような大き目な建物だ。
さて、カードは売っているかな?
店に入ってみよう。
結構広いな。
店内には、ちょっとくすんだ感じの色をした、家具や時計などが置いてある。
いかにもアンティークって感じの品々だな。
まあ、古物屋だし、当然だけど。
おや?
各種族の人形の置物なんかもあるのか。
大きさは10センチくらいのものから、2メートルくらいのものまである。
変わったものが多いなぁ。
見ているだけでも、結構楽しめる場所だ。
おっと、そんなことをやっている場合ではなかったな。
カードを探さないとな。
おおっ!
発見したぞ!!
1枚だけだが、カードが売っていた!
よし、買おう!
問題は値段だな、いくらなんだ?
うおっ!?
お値段100万アエレだと!?
くそっ、高いな!
だが、買うしかない!
カードは絶対に必要だしな。
金を払って、カードを手に入れた。
いやあ、一気に懐が寒くなったねぇ。
まあ、仕方ないけどな。
さて、人のいない場所で召喚してみようか。
ペノグネカを出て、人気のない場所に向かった。
都市の近くにある雑木林の中にやって来た。
よし、ここなら誰もいないな。
まずはカードを見てみるか。
名前は『暗黒の抱擁・ク・ツシタ』というそうだ。
また奇抜な名前だな。
その下には、黒い色の人間用の靴下が描かれていた。
当然、両足分ある。
色が黒くて、足を抱きしめるように包み込むから、この名前になったのか?
さらにその下の部分には、こう記載されていた。
レベル …… 足の小指しか入らなくて悲しい。
強さ …… くっ、な、なんだと!?弱過ぎる!?
頭脳 …… そうですね~。なんというか悪くはありません。
速さ …… これはとても遅いですねぇ。
幸運 …… うーん、良くもなく悪くもないです。
特殊 …… 暗視魔法と望遠魔法が得意なのです!!
特記事項 …… なんと!!特にありませんでしたぁ!!
暗視魔法に望遠魔法!?
靴下なのに、なんでそんな魔法が使えるんだよっ!?
訳が分からんな。
まあ、どうでもいいか。
意味の分からないことなんて、今まで大量にあったからな。
では、召喚してみよう。
暗黒の抱擁・ク・ツシタが出て来た。
丈の長さ、足底の大きさは両方10センチくらいの靴下だ。
空中に浮いている。
こいつも飛べるようだ。
「おれっちを召喚したのは、あんたか?」
暗黒の抱擁・ク・ツシタが話しかけてきた。
軽いというか、若いというか、そんな印象を受ける口調だ。
「ああ、そうだ。俺は角野当也だ。トウヤと呼んでくれ。よろしくな」
「おれっちは暗黒の抱擁・ク・ツシタ。ツシタで良いぜ。よろしく」
「分かったよ。ところで、暗視魔法と望遠魔法って、どんな魔法なんだ?」
「名前通りの魔法だな。暗いところ、遠いところが見えるぜ」
本当に名前通りの魔法みたいだな。
とても便利そうだ。
「試させてもらいたいのだが、良いか?」
「ああ、良いぜ。今は昼間だから望遠魔法を使うか」
ツシタがそう言うと、靴下の履き口の部分を俺の両目に当ててきた。
「えっ!?ツシタ、いったい何をやっているんだ!?」
「これが望遠魔法だ。遠くが見えるだろ?」
えっ!?
これが!?
あっ、確かに見える!?
遠くの景色が見えるぞ!
まるで望遠鏡みたいだな。
って、なんで靴下で、こんなことができるんだ!?
……魔法だからか。
魔法って、すごいな!!
さて、十分堪能したし、次の古物屋に行くか。
ツシタをカードに戻し、腰に貼って、次の都市に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます