第72話 ちょっと拠点攻めしようぜ!

 おはようございます。


 今日の天気は曇りだ、周囲はうす暗い。


 なんだか雨が降りそうな感じの嫌な雲だな。


 この星でも雨は降るのかな?


 って、雲があるなら、雨は降るよな。


 多分。


 降られたらマズいな。


 地面がぬれて、野宿ができなくなってしまうぞ。


 なんとか金を稼いで、宿を確保しないといけないようだ。


 ああ、一文無しはつらいねぇ。


 さあ、ぼやいてないで、狩りに行くとするか。



 雑木林の中を獲物を探しながら歩いている。


 何かいないかな?


 おっ、またバニーオオトカゲがいたぞ!


 よし、あいつを狩ろう!


 バニーオオトカゲに素早く接近し、斬り伏せた。


 楽勝だったな!


 新しい刀の斬れ味は抜群で、とても良かったぞ!


 さて、降りそうだし、冒険者ギルドに売りに行くか。


 俺は倒したバニーオオトカゲを持って、王都に向かった。



 冒険者ギルドに着いた。


 それと同時に雨が降ってきた。


 しかも、土砂降りだ。


 ギリギリセーフだったな。


 では、売却しようか。



 また50万アエレで売れたぞ。


 さて、宿を探しに行くか。


 と言いたいところだが、この土砂降りでは外に出たくないよな。


 仕方ない、ギルドの中で雨宿りをさせてもらおう。



 椅子に座って、外を眺めている。


 なかなかやまないな。


 うーむ、暇だな。


 ちょっとギルドの中を見物してみようか。


 おっ、貼り紙があるぞ。


 ちょっと読んでみようか。


 ええと『バニーモンスターをぶっ殺しに行きたい人募集』と書いてあるぞ。


 なんだこれは?


 パーティーの募集か?


 ちょっと気になるから、続きを読んでみよう。


 『ちょっと王国の兵士たちと一緒に、バニーモンスターの拠点に攻め込もうぜ!参加しても良いぜ!という人は、下記の日時にバニーモンスターの拠点の近くに集合な!』だそうだ。


 軽っ!?


 なんだこれは!?


 拠点攻めなのに、ノリが軽いぞ!?


 なんだよ、このちょっと飲みに行こうみたいなノリは!?


 こんな気軽に誘って良いものではないだろっ!?


 これを書いたヤツは正気なのか!?


 それにこんなものを貼り出しているギルドは、何を考えているんだよっ!?


 いや、待てよ。


 これはただの冗談なのかもしれないぞ。


 地球のエイプリルフールネタみたいなものなのかもしれない。


 真偽を確認した方が良さそうだな。


 ちょっと受付に聞いてみよう。


「あの~、すみません。そこにある貼り紙にバニーモンスターの拠点を攻めようって書いてありますけど、あれって本当に実行するのですか?冗談ですよね?」


「いいえ、あれは冗談ではないでごわす。本当に実行されるでごわすよ。すでに何度も行われているでごわす」


 ええ……

 本当にやっているのか……


 しかも、何度もなのかよっ!?


 こいつら、正気なのか!?


 いや、何度もやっているから、こんなに軽いノリなのか?


 戦局はどうなっているのだろうか?


 ちょっと気になるから、いろいろと聞いてみようか。


「拠点攻めとは、具体的に何をやるのですか?兵士の補助ですか?」


「特に決まってはいないでごわすが、大半の方はバニーモンスターの幼体を持って帰ってくるでごわす。おそらく畑を荒らしているだけだと思うでごわす」


 ああ、なるほど。


 兵士が拠点を攻めて、冒険者は畑を荒らすのか。


「私も参加することはできますか?」


「参加は自由でごわすが、危険でごわすよ。あまりお勧めはできないでごわす」


 まあ、危険なのは当然だろうな。


 ん?

 参加が自由ということは……


「危なくなったら逃げても良いのですか?」


「はい、冒険者は途中で逃げても問題ないでごわす」


 良いのかよっ!?


 ずいぶん緩い集まりだな!?


 冒険者には、あまり期待していないということなのか!?


「何人くらいの人が参加するのか分かりますか?」


「それは不明でごわす」


 参加人数は不明か。


「拠点攻めは成功しているのですか?」


「成功することもあれば、失敗することもあるでごわす。ただ、今回攻める拠点は、何度も失敗しているようでごわす」


 あそこには黒い円があるから、守りが固いのか?


「分かりました。ありがとうございます」


 受付に礼を言って、その場を離れ、近くの椅子に座った。


 さて、どうしよう?


 参加するべきなのだろうか?


 あ、そういえば、日時を確認していなかったな。


 貼り紙を見てみよう。


 日時は『4/29。08:00』と書いてある。


 今は何日なんだ?


 後で官邸に聞いてみるか。


 おや?

 雨がやんでいるようだ。


 とりあえず、ここを出るか。


 今日の宿を探さなければいけないしな。


 俺はギルドを出て、宿を探した。



 おっ、ここが宿のようだ。


 メタリックなダークブルーのゴミ箱みたいな建物だな。


 よし、入ってみるか。



 部屋を取り、中に入った。


 ベッドとテーブルと椅子が1脚ある簡素な部屋だが、なかなかキレイなところだ。


 寝るだけなら十分な部屋だな。


 お値段は1泊2万アエレだった。


 さて、今後のことを考えるか。


 まずは今日が何日なのか調べないとな。


 官邸を召喚した。


「総理!今日は何日ですか!?この星の日付で答えてください!」


「えー、4月の24日です」


 暦の数え方に関しては地球とそう変わらないのか?


「総理!地球とこの星の暦の数え方は同じなのですか!?」


「えー、同じです。1年は365日です。1日は24時間です」


 ええっ!?

 同じなのかよっ!?


 なんでだ!?


 地球みたいな環境の星だから、偶然同じようなものができたのかな?


 まあ、そんなものはどうでもいいか。


 重要なのは、この星の人たちが5日後に拠点攻めをするということだ。


 俺たちは参加すべきなのだろうか?


 うまくいけば星間を移動する手段が手に入るのだろうけど……


 考えが甘いかな?


 ここはみんなと相談してみるか。


「参加すべきだ」


 骸王が断言した。


 まあ、骸王はそう言うだろうね。


「ワシらだけで行くよりも危険性は低そうじゃな。行ってみるべきではないかのう」


 ラビリンも参加に賛成のようだ。


「逃げても良いらしいし、気楽に参加すれば良いんじゃないか?」


 ヘーマンがそう言った。


 確かにそうだな。


 よし、参加しようか!


 反対する者はいるか?


 ……いないようだな。


 よし、では、参加することに決定だ!

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