第70話 ゼン・ラネクタイ

 悲報、超社長が地球を襲っている可能性あり。


 どうしよう!?


 って、ここにいる限りは、心の中で応援するくらいしかできないか。


 地球の皆さん、がんばって撃退してね!


 さて、他に聞くべきことは何かあるかな?


 おだてに弱いみたいだし、もっと超社長を褒めて、情報を引き出せるだけ引き出してみようか。


「星を征服するって、すごいな!今まで超社長はどのくらいの星を征服したんだ?」


「それはもうたくさんですの!」


「すさまじい数ですわ!」


 ハッキリとした数は分からないみたいだな。


 どれだけ手を伸ばしているんだか。


「超社長はすごいな。いったいどんな能力を持っていたら、そんなことができるんだ?」


「それはもうすさまじいですの!」


「あらゆる武術に秀で、すべての魔法を扱え、強力な兵器を大量に所有している究極の存在ですわ!」


 ええ……


 それが本当なら、とんでもない存在だな。


 地球の人たち大丈夫かな?


「超社長は素晴らしいな!その強力な兵器ってどんなものなんだ?」


「その通りですの!超社長は素晴らしいお方ですの!」


「なんでもあらゆる攻撃を防ぐものや、広範囲を破壊するようなって、これは口外してはいけない情報ですわ!」


「失言ですの!マズいですの!」


「どうやらこいつは俺様たちから情報を聞き出そうとしているようですわ!」


 あ、やっと気付いた。


「原住生命体の分際で、俺様たちから情報を得ようとするなんて生意気ですの!」


「そうですわ!ここでぶっ殺すしかないですわ!」


 殺気立っているなぁ。


 今にも襲いかかって来そうだ。


 あ、そうだ、ついでに挑発でもしておこうか。


 冷静さを欠いて、攻撃が雑なものになるかもしれないし。


「ぶっ殺されるのは、そっちだけどな!」


「な、なんですって、なんて小癪こしゃくな言い草なんですの!」


「ぶっ飛ばして、ぶっ潰してやるですわ!」


 バニーダブルマグロが突進して来た。


 俺は辛うじて、それをかわす。


 くっ、なんて速さだ!?


 今まで出会ったバニーモンスターよりもかなり速いぞ!?


 エリートと威張るだけの能力はあるようだな!


 攻撃方法自体はバニーサンマと変わらないけど!



 バニーダブルマグロが旋回して、また突っ込んで来た。


 こちらからも攻撃しないと!


 俺はバニーダブルマグロの突進を回避し、その直後に刀で斬り付けた。


 金属同士がぶつかったような鋭い音が鳴り響く。


 そして、俺は弾き飛ばされてしまった。


 なんだあれは硬過ぎるだろ!?


 いったい何でできているんだ!?


 くそっ、刀で斬るのは無理なのか!?


 どうやって倒そう!?


「トウヤさん、また来ますよ!」


 SIBINは警告してきた。


 とりあえず、逃げながら倒す方法を考えよう。


 俺は再びやって来たバニーダブルマグロを回避した。



 うーむ、どうするべきか?


 あ、そういえば、紳士魔法があったな。


 あれが効けば、刀で斬れるかもしれない。


 さっそく召喚しよう。


 と思ったが、今は身体能力を下げたら、攻撃が避け切れなさそうだな。


 仕方ない、ここは切り札の身体能力そのまま召喚で召喚してみよう。


 では、召喚だ!


 ネクタが出て来た。


「おや、どうしました?ワタクシに何か用ですか?」


 何をのんきなことを言っているんだ!?


 状況が分かってないのか!?


 あ、そうか、ネクタはレベルが上がってないから、念視で周囲を見ているわけではないのか。


「ネクタ、あいつに紳士魔法をかけてくれ!」


「戦闘中でしたか、かしこまりました。では、いきますよ!『ゼン・ラネクタイ』」


 ゼン・ラネクタイ!?


 ナニソレ!?


 魔法の名前なのか!?


 それは言わなければいけないのか!?


 あっ、ネクタの体から紺色の細いビームのようなものが出たぞ。


 直径1センチくらいだ。


 あれがゼン・ラネクタイなのか!?


 それにしても、あのビームは、ちょっと移動速度が遅くないか?


 あ、バニーダブルマグロに簡単に避けられたぞ!?


「あの敵は動きが速過ぎて当たりませんね」


 ネクタがそう言った。


「もっと速いのは撃てないのか!?」


「申し訳ありません。今はあれ以上速くはなりません」


 そうなのか。


 なら、どうするか?


 なんらかの手段で動きを止めるか?


 それとも接近して撃つか?


 ちょっとみんなに聞いてみるか。


 突撃して来るバニーダブルマグロをかわしながら、みんなに聞いてみた。


「あれならやれそう」


 ダブルクリーナーヘッドがそう言った。


「おおっ、やってくれるのか!なら、頼むぞ!」


 何をするのか分からないけど、ここはダブルクリーナーヘッドを信じよう!


 俺はダブルクリーナーヘッドを、身体能力そのまま召喚で召喚した。


 出て来たダブルクリーナーヘッドから、掃除機の運転音が聞こえてきた。


 どうやらバニーダブルマグロに対して、吸引魔法を使っているようだ。


 吸引魔法であの巨体をどうにかできるのか!?


「くっ、なんですの!?これは!?」


「吸い寄せられて、動きづらいですわ!?」


 できてる!?


 バニーダブルマグロが抵抗しているのに、少しずつ吸い寄せられているぞ!?


 なんという吸引力!?


 すご過ぎるぞ!?


 よし、今ならバニーダブルマグロの動きが鈍っているぞ!


 撃て、ネクタ!


「ゼン・ラネクタイ!」


 ネクタからゼン・ラネクタイのビームが発射された。


 ビームがバニーダブルマグロに命中した。


 当たった!


 これで脆くなったのか!?


「成功です!これであの敵は、ネクタイだけの人間くらい脆くなっていますよ!効果時間は10分です!」


 10分か、結構短く感じるな。


 まあ、やるしかないけどな。


 俺はバニーダブルマグロに突撃した。


 そして、バニーダブルマグロの頭を斬り落とした。


 おおっ、これはすごい!


 本当に簡単に斬れたぞ!?


 こうして、俺たちはバニーダブルマグロを倒したのだった。

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