第66話 新能力と観光
体が動かない……
修行のし過ぎのようだ。
全身が痛い……
「トウヤさん、黄色い癒しの水をかけますよ」
SIBINがそう言った。
全身に生ぬるい黄色い水が注がれている。
痛みは取れてきているけど、やはり気分はよろしくないなぁ。
痛みが取れた。
ついでに顔と腰のカンソ・ウシソウを、水魔法の温水シャワーで落としてもらった。
ああ、汗も流せてスッキリしたぞ。
草原でおっさんがシャワーを浴びてるとか、通報ものだけどな。
まあ、周りには誰もいないから問題ないけど。
それで、今回はどう強化されたんだ?
「総理!!トウヤ氏はどのように強化されましたか!?」
「えー、今回は新しく『ダンジョンに召喚』が身に付きました。それと『な、な、な、なんと!!驚きの召喚しても身体能力そのまま!これはお得ですね!!召喚』が強化されました」
ダンジョンに召喚!?
そんな能力なんだ!?
「総理!それはどのような能力なのですか!?」
「えー、ダンジョンに召喚は言葉通りダンジョンに召喚される能力です。使用した場合、ダンジョンの1階の黒い円があった場所に召喚されます」
ほう、そんな能力なのか。
緊急避難に使えそうだな。
「ただし、能力発動後、ダンジョンに移動するのに10分かかります」
10分!?
なんだそれは!?
前言撤回だな!!
緊急避難には使えないぞ!?
なんでそんなにかかるんだよっ!?
「えー、それから1度この能力を使うと、10年間再使用できません」
なんじゃそりゃぁ!?
10年って!?
制限がキツ過ぎるだろっ!?
「ただし、その間に全力で腕を回しながら反復横跳びを行った場合、反復横跳び1回につき制限時間を1秒減らせます」
なんでじゃ!?
なんでそんな訳の分からない制限が付いているんだよっ!?
それって、何回やらなければいけないんだ!?
単純計算で315360000回くらいか!?
そんなに反復横跳びをしなければいけないのか!?
あり得ないだろ!?
なんてとんでもない能力なんだ!?
なんでこんなことになっているんだよっ!?
「総理!?なぜそのような制限が付いているのですか!?」
「えー、不明です」
不明なのかよっ!?
おのれ!!
「総理!!もう一つの能力について教えてください!!」
「えー、な、な、な、なんと!!驚きの召喚しても身体能力そのまま!これはお得ですね!!召喚の方は制限が緩和されました」
おおっ!!
それは助かるぞ!!
それでどこが緩和されたんだ?
「対象となるカードが2枚に増えました」
……えっ!?
それだけ!?
「それだけです」
ええっ!?
もうちょっと緩和してくれよっ!?
ケチだなぁ、おいっ!?
まあ、良いか。
強化されてはいるしな。
さて、これからどうするか?
新しく身に付けた能力でダンジョンに行こうか?
だが、そうするとこの星に戻って来れるか分からなくなるよな。
せっかく来たわけだし、もう少しこの星を調べるか。
王都に戻って、図書館に行こうか。
王都の中を観光するのも良いかもしれないな。
では、行くか。
王都にやって来た。
ちょっと観光してから、図書館に行こうか。
王都の大通りを歩いている。
さすがは異星だ、変わったものが売っているなぁ。
食料品を売っている店で、プラスチックやステンレスの粉が売っているぞ。
これはクリーナ族が吸い込むのか?
それともサイバコ族の中に入れるのか?
ん?
こっちにはステンレスの針金のようなものがあるぞ。
これは誰が食べるんだ?
カナアミ族なのかな?
ゴボウ、セロリ、アスパラガスみたいな野菜も置いてあるんだな。
これはカミブク族用なのかな?
こっちの店は服屋か。
なんで塗料が売っているんだ?
これが服なのか?
ここの方々は塗料を塗るのが、服を着ることになるのか?
よく分からんなぁ。
おっ、布でできた服もあるんだな。
二の腕まで覆える手袋みたいなものや、股下の部分しかないズボンがある。
これはカミブク族用みたいだな。
ここはなんの店だ?
看板には古物屋と書いてあるぞ。
この星にもあるのか。
どんなものを売っているんだろうか?
えっ!?
あ、あれはカードじゃないか!?
カードが1枚だけ店頭に飾ってあるぞ!?
あれは売られているのか!?
なんでこんなところで売っているんだ!?
って、この星にもダンジョンができたからか。
その時に拾ってきたものを、誰かが売ったのだろう。
あいつのステータスが見たいのだが、カードの向きが違うせいで、読むことができないな。
見せてもらうことはできるのだろうか?
よし、ちょっと店員に聞いてみよう。
「あの、すみません。そこに飾ってあるカードを見せてもらってもよろしいでしょうか?」
「ええ、構いませんよ。どうぞ」
「ありがとうございます」
よし、さっそく見てみよう!
ん?
今、何か違和感があったような気がするのだが……
なんだろうか?
まあ、良いか。
そんなことよりも、カードだな!
あれ?
カードに記載されている文字は、この星の文字なんだな。
俺のカードは日本語で書いてあるのに。
これは拾った人が使用している言語で記載されるということなのかな?
親切機能が搭載されているんだなぁ。
では、読んでみようか。
ええと、名前は『紳士の
なんだそりゃぁ。
また妙な名前だなぁ。
その下には、紺色のネクタイが描かれていた。
名前通りなんだな。
これが鎧かどうかは、甚だ疑問だが。
さらにその下の部分には、こう記載されていた。
レベル …… 短過ぎて悲しい。
強さ …… ほう、なかなかの硬さだ!だが!!
頭脳 …… なんというか、平均的ですね。
速さ …… これはイマイチですねぇ。
幸運 …… ごくゴク極普通ですね。
特殊 …… 紳士魔法が得意なのです!!
特記事項 …… な、なんと、書くことがありませんよ!!
紳士魔法!?
なんだそれは!?
意味が分からんぞ!?
どんな効果があるんだ!?
このカードは、いくらなのだろうか?
あ、値札がある、見てみよう。
50万アエレだな。
アエレというのは、この国の通貨の単位だ。
確かハンバーガー店の商品が、200アエレくらいで売っていたから、結構なお値段だな。
だが、カードは必要だよな。
なんとか金を手に入れて購入しよう。
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