第28話 ないない尽くし

 では、カオス・利サイ狂・アルケーを召喚してみようか。


 カオス・利サイ狂・アルケーが出て来た。


 身長は10センチくらいだ。


 空中に浮いている。

 こいつも飛べるのか。


「吾輩を召喚したのはお前か?」


 カオス・利サイ狂・アルケーが話しかけてきた。


 ちょっと怪しい感じがするというのが、正直な感想だ。


 見た目は怪しいどころの話ではないけどな!!


「ああ、そうだ。俺は角野当也だ。トウヤと呼んでくれ。よろしくな」


「吾輩はカオス・利サイ狂・アルケー。吾輩のことは好きに呼んでくれて構わんぞ」


「そうか。では、カオスと呼ばせてもらうぞ」


「ああ、構わんぞ」


「ところで、カオスはリサイクル魔法が得意らしいけど、いったいどんな魔法なんだ?」


「名前通りの魔法だ。不用品や廃品を作り変えることができる」


 なるほど、本当に名前通りなんだな。


 とても便利そうな魔法だ。


 ちょっと見てみたくなってきたぞ。


 何かリサイクルできそうなものはないかな?


 おっ、あそこにちょうど良いものがあるじゃないか!


「そこにある大型のバニーウニはリサイクルできるか?」


「無論、可能だ」


「できるのか!なら、見せてもらっても良いか?」


「良いだろう」


 では、さっそく見せてもらおうか!


 と言いたいところだが、大型のバニーウニは中身は食用なのか?


 もしそうなら、夕飯にしたいぞ!!


 ちょっと官邸に聞いてみようか。


「総理!あのバニーウニは食用なんですか!?総理!!」


「えー、あれは食用です。生でも食べられます。栄養豊富で美味しいですよ」


 おおっ、食べられるうえに、うまいのか!!


 これは回収しないとな!!


 可食部を回収して、アビスに収納してもらった。


「では、殻をリサイクルしてもらおうか」


「良いだろう。ところで、何を作る気だ?」


「えっ!?そうだな……」


 作るものか。


 そういえば、何も考えていなかったな。


 何にしようか?


 ん?

 そもそもあのバニーウニの殻は、どんな物質なんだ?


 何にすると良いものなんだろうか?


 ちょっと官邸に聞いてみよう。


「総理!!あの殻はどのようなものなんですか!?」


「えー、あの殻は『バニーウニ・カラメタル』という金属ですね。硬くて熱に強いですよ」


 そんな名前の金属なのか。


 分かりやすいというか、シンプルというか、そんな感じの名前だな。


 もうちょっとひねっても良かったんじゃないのか?


 まあ、良いか。


 とにかく、あの殻はなんかすごそうな金属みたいだな。


 さて、何を作ろうか?


 うーん、そうだな……


 武器にしようか?

 それともプロテクターにしようか?

 盾にするのも良さそうじゃないか?


 ううむ、何にしようか?


 よし、ここはシャベルを作ってもらおうかな。


 今持っているものは、激闘の連続でかなり痛んできているからな。


 では、カオスにリサイクル魔法を使用してもらおう。


 それでどうすれば良いんだ?


「まずは吾輩の頭の下にある投入口に、リサイクルしたいものを入れるのだ」


「ええっ!?その投入口に入れるのか!?」


 その投入口、ものすごく小さいぞ!?


 直径1センチもないぞ!?


「そうだ。その後、投入口の下にある取り出し口から完成品が出てくるというわけだ」


「えっ!?それって、カオスより大きいものは作れないのか!?」


「そうなる」


 なんだそれは!?


 今は人間サイズのシャベルもプロテクターも盾も、作れないということじゃないか!?


 仕方ない、レベルアップして大きくなった後に作ってもらうことにしよう。


 それまでバニーウニの殻は、アビスに収納しておいてもらおうか。


 シャベルは後で買い直すことにしよう。



 さて、これで3階のボス攻略は終わりだな。


 あまり疲れてないけどキリが良いから、今日の探索もこれで終わりにしよう。


 そうだ、3階で夕飯の材料を狩って帰ろうか。


 今日の夕飯は、大型のバニーウニのウニ丼と焼き魚にしよう!!


 さあ、行こうか。


 3階を探索し、バニートビウオとバニーサンマを2匹ずつ狩った。



 1階のダンジョンの出入り口がある部屋に戻って来た。


 えっ?

 あれっ!?


 おい、ちょっと!?


 どうなっているんだ!?


 あの出入り口の黒い円がないぞ!?


 どこに行ったんだ!?


 意地の悪いことするなよっ!?


 隠れてないで出て来いよっ!?


 あれ?

 まさか道を間違えたのか?


 ちょっとみんなに聞いてみようか。


「間違えてはいないと思いますよ。出入り口があるのは、この部屋のはずです」


「間違えていない」


 SIBINとダブルクリーナーヘッドがそう言った。


 なら、なんでないんだよっ!?


 はっ!?

 ま、まさか!?


 あの黒い円に、ウサギの耳と人間の足が生えて移動したとか!?


 普通ならあり得ないけど、このダンジョンならあり得そうだ!?


 ちょっと周辺を探してみよう!



 俺は1階中を走り回って探した。


 大型のバニーサンドゴーレムの部屋も調べた。


 しかし、黒い円は見つからなかった。


 ぎゃあああああああああああ!!!!


 なぜだ!?

 なぜなんだ!?


 どうして見つからないんだよっ!?


 これでは家に帰れないじゃないか!!!!


 いったい黒い円はどこに行ったんだよーーー!!!


 くそっ、こうなったら、他の階も探すしかない!!!!

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