第25話 甘く見てはいけない
おはようございます。
さあ、今日も元気にダンジョンに行くか!
さて、どこに行こうか?
今回は4階のボスと戦ってみようかな?
骸王たちは強いと言っていたけど、昨日の鳥たちの自滅っぷりを見てしまうと、ボスも自滅して終わるんじゃないかと思えてしまうんだよなぁ。
あ、そうだ、骸王たちの意見も聞いてみようか。
みんな危険だと言っているが、自滅するか確かめる程度なら問題ないのではないかという意見もある。
なるほどなぁ。
では、どうしようか?
よし、ボスと戦ってみるか!
自滅してくれたら好都合だし、危険そうなら逃げれば良いだけだしな。
というわけで、4階のボスの部屋にやって来たぞ。
では、お邪魔します。
俺は扉を開けて、中に入った。
部屋の中央に大型のバニーカモ鍋セットがいた。
うっ、やはりボスは大きくて迫力があるなぁ。
って、気後れしてはいけないな!
気合を入れなければ!!
よし、行くぞ!!
俺はシャベルを構えた。
ん?
大型のバニーカモ鍋セットが鳴き出したぞ。
何を言っているんだ?
ラビリン、通訳を頼むよ。
「あやつは『臭そうで、マズそうな肉が来た』と言っておるのう」
な、なんだって!?
臭そうだと!?
失礼なヤツだな!?
風呂には、ちゃんと入っているから臭くないぞ!!!
む?
まだ何か言っているぞ。
「今度は『さっさと始末するか』と言っておるぞ」
おのれ!!
なめやがって!!
始末されるのは、お前だ!!!
カモ鍋にしてやるからな!!
覚悟しやがれ!!
行くぞ!!
大型のバニーカモ鍋セット!!
えっ!?
あれはなんだ!?
突然、大型のバニーカモ鍋セットの周囲に、土が集まり出したぞ!?
その土が、直径50センチくらいの蓋付きの土鍋になった。
しかも、それが次々と作り出されている。
なんで土鍋なんて作っているんだ!?
まさか自分が調理される土鍋を、自分で用意したのか!?
もちろん、そんなことはなかった。
その土鍋が、次々と俺の方に飛んで来た。
これがあいつの攻撃方法なのか!?
なんでわざわざ土鍋を作って、飛ばして来るんだ!?
訳が分からんぞ!?
土を操れるなら、他の形でも良いんじゃないか!?
まあ、そこはどうでもいいか、今は逃げよう!
俺は部屋の中を逃げ回りながら、土鍋を回避した。
だが、次々と土鍋が作られて、俺に向かって飛んで来る!
これでは近付けないぞ!?
攻撃ができなければ、勝ち目はないじゃないか!?
くそっ、どうすれば良いんだ!?
仕方ない、こうなったらアレだな!!
はい、というわけで、勇気ある撤退をしましたよ!!
勝ち目がなかったから、仕方ないよね。
はぁ、それにしても、危なかったな。
大型のバニーカモ鍋セットは、あんな攻撃ができるヤツだったのか!?
他の鳥のように、闇雲に突撃してくるわけではないんだな。
ボスは簡単に倒せるような、甘い存在ではなかったか。
ダンジョンは厳しいなぁ。
まあ、自滅してくれる甘いのもいるけどな。
さて、走り回って疲れたから、休憩しようかな。
ついでに、あいつを倒すための作戦を考えてみよう。
まずは情報を整理してみるか。
大型のバニーカモ鍋セットの土鍋は、ヤツの周囲から出現していたな。
もしかして、そうしないと作れないのか?
もし作ることができたのなら、四方八方から土鍋が飛んで来ただろう。
ということは、作れないのだろうな。
後は、あの土鍋は直線的に飛んで来ていたということ、それから数が多かったということだな。
得られた情報は、このくらいか。
さて、どうしようか?
あんまり使いたくないけど、茶色い水の盾で土鍋を防いでみようか。
うーん、防ぎ切れるかな?
防ぎ切れたとしても、水しぶきが飛んで来そうだよなぁ。
茶色い水しぶきを浴びるのは、遠慮したいなぁ。
いや、そんなことを気にしている場合ではないよな。
ボスの撃破を優先しないと。
よし、ここはSIBINに聞いてみよう。
「茶色い水の盾で、あの土鍋をですか?そうですねぇ。あの数では防ぎ切れないと思いますよ」
「盾を複数枚出してもダメか?」
「難しいと思いますよ。防げたとしても、攻撃ができなくなる可能性がありますよ」
確かに前方に茶色い水の盾が複数枚あったら、攻撃の邪魔だよなぁ。
盾で直接殴ってみるか?
それとも、茶色い水の盾多重展開体当たり攻撃をしてみるか?
うーん。
茶色い水のせいで前方がよく見えなさそうだし、難しそうな気がするなぁ。
ここは他の手を考えた方が良さそうだ。
なら、火魔法で焼いてしまうか?
土鍋が飛んでくる前に焼いてしまえば、倒せるかもしれないよな。
あいつはバナナの皮よりも、燃えにくそうな気がするけど、どうなんだろうか?
これは試すしかないのかな?
今から、やってみるか。
では、ヘーマンを召喚だ。
「あの鳥を火魔法で焼くのか?任せておきなって!!」
「ああ、頼むぞ、ヘーマン!扉を開けるのと同時に火魔法を撃って、あいつを丸焼きにしてくれ!」
「分かったぜ!」
よし、行くぞ!!
俺は扉を開けた。
そして、ヘーマンが火魔法を使用した。
いつもの通り、ブバッという音とともに炎が出て来たぞ。
炎が一直線に向かって行く。
大型のバニーカモ鍋セットが炎に包まれた。
やったか!?
……な、なんだと!?
あれは!?
突然現れた、大型のバニーカモ鍋セットを覆い隠せるほどの、巨大な茶色い壁に炎が遮られていた。
な、なんだあれは!?
巨大な土鍋の蓋なのか!?
まさか大型のバニーカモ鍋セットが作ったのか!?
あいつは、こんな防衛手段を持っていたのか!?
さすがは4階のボスだ、一筋縄ではいかぬということか!?
うわっ、土鍋が飛んで来たぞ!?
撤退だ、撤退!!!
俺とヘーマンは素早く扉を閉めた。
ふう、助かった。
この作戦は失敗だな。
練り直そうか。
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