第23話 通訳と決死の覚悟
あのバニーカモ鍋セットは決死の覚悟で向かって来るため、とてつもなく強いらしい。
骸王がそう言っていた。
他のみんなも警戒した方が良いと言っている。
見た目はカモネギよりも、好都合な存在なのにな。
まあ、そういうわけなので、戦うのは後回しにしようと思う。
それに3階のボスも倒していないしな。
では、先に進むか。
おおっ!!
やったぞ!!
カードを見つけた!!
なぜかダンジョンのお茶の中に沈んでいたぞ!!
よし、さっそく拾って見てみようか!
ええと、名前は『猛火のラビリンス』だそうだ。
激しく燃えている迷宮?
この名前だと。そんな感じの意味になるよなぁ。
なんだそれは?
どういうことなんだ?
訳が分からないぞ。
まあ、良いか。
続きを見てみよう。
その下には、丸型の焼き網の絵が描かれていた。
色は銀だ。
スチールかステンレス製なのか?
バーベキューの時に使いそうな焼き網だな。
焼く時に使うから『猛火』なのか?
調理器具で猛火は言い過ぎな気がするけどな。
料理が黒焦げになりそうだぞ。
まあ、どうでもいいけど。
では『ラビリンス』の方はなんなのだろうか?
この焼き網自体が網目状になっているのが、ラビリンスなんだろうか?
どうなんだろうな?
まあ、良いか。
さらにその下の部分には、こう記載されていた。
レベル …… 煙が目に入って悲しい。
強さ …… 後100年は修業が必要じゃな。
頭脳 …… な、なんだと!?この気配は!?
速さ …… いやあ、これはひどいですねぇ!!
幸運 …… ほう、まあまあだな。
特殊 …… 特技は通訳魔法なのです!!
念話、念聴、念視も得意なのです!!
特記事項 …… こ、これは!?特にありませんよ!!!
な、なんだって!?
通訳魔法!?
こいつは通訳ができるのか!?
これはすごいな!!
こいつがいれば、これから外国人とも商売ができるぞ!
俺の未来が、さらに明るくなるぞ!!
素晴らしい!!
では、召喚してみようか。
猛火のラビリンスが出て来た。
直径10センチくらいの焼き網だ。
空中に浮いている。
こいつも飛べるのか。
「お主か?ワシを召喚したのは?」
猛火のラビリンスが話しかけてきた。
老人みたいな感じだな。
「ああ、そうだ。俺は角野当也だ。トウヤと呼んでくれ。よろしく」
「ワシは猛火のラビリンスじゃ。よろしく頼む。ワシのことは『ラビリン』と呼んでおくれ」
ラビリン!?
ずいぶんとかわいらしい感じだな。
まあ、それでいいなら、そう呼ぶけどな。
「では、ラビリン。通訳ができるって本当なのか?」
「うむ、あらゆる言語を通訳可能じゃ」
おおっ!?
それはすごい!!
これならあらゆる国で商売できるな!!
いやあ、夢が広がるなぁ。
さて、そろそろ先に進むか。
ラビリンをカードに戻して、腰に貼って、出発だな!!
あれは!?
やはりいるのか!?
小型のバニーカモ鍋セットを発見してしまったぞ。
身長は2メートルくらい。
背中に鍋の具材も乗っている。
あいつも決死の覚悟で襲って来るのか!?
むっ!?
小型のバニーカモ鍋セットが、俺に向かって吠え出したぞ!
グェーッとかクワッとか、そんな感じの声を上げているぞ。
これは威嚇しているのかな?
「あやつは『むっ、カモ鍋の材料を捕りに来た猟師か!?』と言っておるのう」
ラビリンがそう言った。
ええっ!?
あれはそんなことを言っているのか!?
というか、小型のバニーカモ鍋セットの鳴き声まで通訳できるのか!?
通訳魔法すごいな!
ん?
小型のバニーカモ鍋セットが翼を大きく広げて、鳴き声を上げているぞ。
翼幅3メートルくらいある、大きくて迫力あるなぁ。
それで、今度は何を言っているんだ?
「ふむ、今度は『この私を食おうとするとは愚かな!貴様を鍋の具材にしてやる!!覚悟せよ!!』と言っておるぞ」
怖いなぁ。
こいつは、かなり好戦的なヤツだな。
覚悟が決まっているせいなのか?
まあ、どうでもいいけど。
さあ、こいつをぶっ倒して、今日はカモ鍋を食うとするか!!
小型のバニーカモ鍋セットが、勢いよく突っ込んで来た。
これは相当速いな。
だが、対処できないほどではない。
俺は横に跳んで回避した。
小型のバニーカモ鍋セットは、そのままの勢いで直進し続け、壁に激突した。
そして、動かなくなった。
えっ!?
おい、ちょっと!?
何をやっているんだよ!?
俺は慎重に近付いて、小型のバニーカモ鍋セットの様子を見てみた。
こいつ壁にめり込んでいるぞ!?
これはまさか脳震盪を起こしているのか!?
バニーヤマイモといい、こいつといい、なんでここのモンスターは自滅してしまうんだ!?
もうちょっと落ち着けっての!!
まあ、良いか。
こんな結果でも、俺の勝利であることは間違いないだろうし。
さて、こいつを解体してしまおうか。
念のために鳥の解体方法も勉強しておいて良かったな。
えっ!?
こ、これは!?
この背中の鍋の具材が、皮膚にくっ付いているぞ!?
なんだこれは!?
まさか背中から生えているのか!?
これは体の一部なのか!?
訳が分からんぞ!?
これって、食べれるのか!?
ちょっと官邸に聞いてみよう。
「総理!!この野菜のようなものはなんですか!?」
「えー、それは野菜のように見えますが、体の一部です。疑似餌の役割があるとともに、自らを追い込み、普段以上の力を発揮させるという役割もあります。食用です。栄養豊富で美味しいですよ」
やはり体の一部なのか!?
それにそんな役割があるのか!?
なんでこんな風に進化してしまったんだ?
まあ、どうでもいいか。
よし、解体完了だ。
アビスに収納してもらったぞ。
では、先に進もうか。
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