第22話 4階

 さあ、今日もダンジョンに行くか!!


 快眠、快食で体調は万全、装備品などの準備も万端だ!


 もちろんカードは腰に貼ってある!!


 完璧だな!!


 よし、出発しよう!



 さて、今日はどこに行こうか?


 3階のボスか、4階かだな。


 昨日も一昨日もボスと戦っていたわけだし、今日は4階の探索にしようか。


 3階の探索は終わったから、そうしようかな。


 よし、決定だ。

 さあ、行こうか。



 4階に着いた。


 他の階との違いは、所々に水たまりがあることだな。


 ぬかるんでいて歩きにくそうな感じだな。


 まあ、今はいているブーツは悪路でも問題なく歩けるけどな。


 それにしても、またかなりの数の植物が生えているなぁ。

 花が咲いているものもあるぞ。


 では、また官邸に聞いてみようか。


 またものすごい効果のある草が生えているかもしれないし。


 よし、召喚しようか!



「総理!!この草はなんですか!?」


「えー、それは『ガゾウカ・コウシテソウ』ですね。生で食べると少し若返ります。栄養も豊富です」


 な、なんだって!?

 いきなり若返る草を見つけたのか!?


 今度のは『画像加工してそう』なのか!?

 相変わらず、若返りとは真逆っぽい名前なんだな!!


 それで、どれがガゾウカ・コウシテソウなんだ?


 この草か?

 紫キャベツみたいな色をした、ほうれん草みたいな草なんだな。


 よし、さっそく食べてみよう!!


 えっ!?

 ピリッとした辛みがあるぞ!?


 なんだかワサビみたいな感じだ。

 食感はほうれん草みたいで、なかなか美味しいな。


 ところで、このガゾウカ・コウシテソウは、どのくらい若返り効果があるんだ?


 答えてください、総理?


「えー、ガゾウカ・コウシテソウの方が、アツゲ・ショウシテソウよりも若返ります」


 そうなのか。


 ならばガゾウカ・コウシテソウを探さないとな!


 では、他の植物も鑑定してもらおう。


「総理!!これはどういう草ですか!?」


「えー、それは『ナマキ・ズタエナサソウ』ですね。食べると傷が治ります。すり潰して傷口に塗っても効果があります。栄養も豊富です」


 えっ!?

 傷が治るのか!?


 『生傷絶えなさそう』なのに!?


 まあ、名前はどうでもいいか。


 それよりも傷が治るのはありがたいな。


 採取しておこう。


 このドクダミみたいな白い花が咲いている草だな。


 よし、アビスに収納してもらおう。


 では、他の草も調べようか。


「総理!!こちらの草はどのようなものですか!?」


「えー、それは『バニーヤマイモ』ですね。土の中に隠れて獲物を待つ習性のある敵です。近付くと襲いかかってきますよ。それと食用で非常に美味しいです。栄養も豊富です」


 な、なんだと!?

 敵だと!?


 その直後、地面から細長くて茶色っぽい芋が飛び出て来た!?


 長さは1メートルくらいだ。


 最上部に、緑色の細長いウサギ耳が付いている。

 長さは20センチくらいだ。


 空中に浮いている。


 こいつがバニーヤマイモか!?


 うわっ!?


 バニーヤマイモが、とがっている芋の先端を俺に向けた状態で、突っ込んで来やがったぞ!?


 な、なんて速さだ!?


 だが、バニーヤマイモの存在に気付いていたおかげで、かろうじて回避できたぞ。


 バニーヤマイモは、そのまますさまじい勢いで直進し、壁に激突した。


 バニーヤマイモは砕け散った。


 ええ……


 自滅したぞ。


 何やってんの?


 まあ、良いか。

 俺たちに被害がなかったしな。


 それにしても、危なかったな。


 あれに気付くのが遅れていたら直撃して、ひどい目に遭うところだったぞ。


 この階は注意して進まないとな。


 では、植物の調査を続けようか。



 他には目ぼしいものはなかったぞ。


 食べることができる『ヨンカイノクサ』とか『ヨンカイ・タダノクサ』があるだけだった。



 後は、この水たまりも鑑定してもらおうか。


 遭難して飲み水がなくなった時のために、知っておいた方が良いだろう。


 SIBINの水魔法の水を飲むのは、ちょっと抵抗があるし。


「総理!!この水たまりについて答えてください!!」


「えー、それは『ダンジョンのお茶』ですね。そのまま飲めます。栄養も豊富です」


 な、なんだと!?

 ダンジョンのお茶!?


 なんだそれは!?

 ダンジョンの成分が溶け込んでいるのか!?


 湧き水ではないのか!?

 意味が分からないぞ!?



 さて、このお茶をどうしようか?

 官邸を信じて、少しだけ飲んでみようか。


 俺は手ですくって、飲んでみた。


 程よい苦みで美味しいぞ。


 ただの水たまりのように見えるのに意外だな。


 まあ、とにかく、これで水問題は解決だな。


 さて、先に進むか。



 えっ!?

 これは!?


 もう見つけてしまったのか!?


 黒い金属製の大きな両開きの扉を見つけた。


 これはボスの部屋だよな?


 この階は下り階段の近くにあるんだな。


 まあ、それはどうでもいいけど。


 では、せっかく見つけたんだし、中を覗いてみるか。


 そーっと、扉を開けてと……


 中は植物も水たまりもない洞窟の大部屋だな。


 おっ、あいつがボスか?


 あれはカモか?


 緑色の頭、茶色の体をした大きな鳥がいた。


 頭には長さ80センチくらいの、ピンク色のウサギの耳のカチューシャを付けている。


 身長は4メートル弱くらいだ。


 おや?

 背中に何かを乗せているぞ。


 あれは長ネギか?


 それとシイタケ、マイタケ、エノキダケ?

 さらに水菜、白菜、ニンジン、豆腐、うどんまで乗ってないか?

 

 なんでカモ鍋の材料が乗っているんだ?


「ほう、あれは覚悟のあかしだな」


 骸王がそう言った。


「覚悟の証?それはどういうことなんだ?」


「倒されれば鍋にされ、食われて滅ぶという状況を意図的に作り出すことによって、自身を追い込んでいるのだろう。ヤツは決死の覚悟で向かって来るぞ」


 ええ……


 あれにそんな意味があるのか?


 カモがネギをしょって来るではないのか?


 とりあえず、あいつは『バニーカモ鍋セット』とでも呼ぼうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る