第21話 延長でお願いします

 大型のバニータコバナナの皮を見事撃破したぞ!!


 では、先に進むか。


 とはいかないよな!

 がんばって修行をしたというのに、この結果では納得がいかないぞ!


 ヘーマンが燃やして終わっただけだからな。


 というわけで、大型のバニータコバナナの皮と、もう1回戦ってみようか。


 なぜか知らないけど、明日になれば復活するシステムみたいだし。


 うん、そうしよう。


 では、今日は3階で、修行兼夕飯の食材集めをするか。


 みんなをカードに戻して、腰に貼ってと。


 さあ、行こうか。


 今日の夕飯は焼き魚と焼きウニにでもしようかな?



 次の日。


 再び2階のボス部屋の扉の前にやって来た。


 今回は骸王とダブルクリーナーヘッドを召喚した。


 ヘーマンは腰で待機だ。

 火魔法には頼らないぞ。


 よし、これで準備完了だな、行こうか。


 俺は扉を開けた。


 部屋の中央には、昨日と同じように大型のバニータコバナナの皮がいた。


 さらにその後ろに、もう1体もいるようだ。


 さあ、戦うとするか。


 俺たちは大型のバニータコバナナの皮たちに突撃した。



 さあ、まずは挨拶代わりに1発かましてやるぞ!!


 果敢に攻めて、主導権を握ってやるぜ!


 俺はシャベルで突きを放つ! 


 大型のバニータコバナナの皮は後ろに跳び回避した。


 そして、そのまま空を飛んだ!?


 もう1体の方も飛んだぞ!?


 こいつら飛べたのかよ!?


 空飛ぶ巨大バナナの皮って、シュールだな。



 俺たちの頭上を大型のバニータコバナナの皮が飛んでいる。


 8本ある足のような皮を、波打つように揺らしながら空中を移動している。


 まるで大型の魚が泳いでいるようだ。


 水族館にある水中トンネルの中に来たような気分になってきたぞ。


 ところで、あいつらはいつまで飛んでいるんだ?


 攻撃ができないから下りて来いよ!?



 おっ、ようやく下りて来た。


 いや、あれは……


 頭というか、ウサギ耳から突っ込んで来るぞ!?


 こいつは空中から頭突きで攻撃してくるヤツなのか!?


 とにかく、回避しないと!!


 俺は素早く後退して回避した。


「くっ、お、おのれ小癪こしゃくな真似を!?」


 骸王がバナナの皮に捕まっている!?


 体中に皮が巻き付いているぞ!?


 なんだあれは!?

 まるでタコが獲物を捕らえているみたいだな!?


 あんな攻撃方法もあるのか!?


 それと絵面がひどいぞ!?


「捕まえたよ」


 もう1体の大型のバニータコバナナの皮は、ダブルクリーナーヘッドが捕まえていた。


 ホースの部分を、バナナの皮全体に巻き付けて、締め上げているぞ。


「おおっ!すごいぞ!!ダブルクリーナーヘッド!」


 絵面の方もすさまじいな!!


「そのまま倒してしまえ!無理なら、そのまま捕まえておいてくれ!」


「分かった」


 よし、あの大型のバニータコバナナの皮の相手は、ダブルクリーナーヘッドに任せておけば問題ないだろう。


 骸王を助けに行こう!


 俺は骸王を捕えている大型のバニータコバナナの皮に接近した。


 だが、大型のバニータコバナナの皮は骸王を捕えたまま空中に逃げてしまった。


 くそっ、飛んでいては助けられないぞ。


 どうすれば良いんだ?


 あ、そうか、カードに戻せば良いのか!!


 だが、骸王との距離が結構離れているぞ。


 できるのか!?


 まあ、やってみるしかないか。


 骸王はカードに戻れ!!


 骸王がカードに戻り、拘束が解けたぞ。


 おおっ、できたぞ!

 良かった~。


 あ、カードが落ちて来たぞ。


 拾って再度召喚だ!


「助かったぞ、トウヤ」


「良いってことだ、それよりヤツを倒そう!」


「承知した」


 とはいえ、どうやって倒そうか?


 ヤツは空を飛んでいるし、不用心に近付けば、また捕まってしまうだろう。


 うーむ、どうしようか?


「倒したよ」


 ダブルクリーナーヘッドがやって来て、そう言った。


 ええっ!?

 倒したのか!?


 あ、確かに頭部の皮がズタズタに引き裂かれた、大型のバニータコバナナの皮が倒れているぞ。


 なんであんな状態になっているんだ!?


「あれは、いったいどうやって倒したんだ!?」


「かみ千切った」


 な、なんだって!?

 かみ千切ったのか!?


 って、ダブルクリーナーヘッドに歯なんてあったのか!?


「どこでかみ千切ったんだ?」


「口」


 口って!?

 もしかして、吸い込み口のことか!?


 ダブルクリーナーヘッドに吸い込み口を見せてもらった。


 回転ブラシのブラシの部分に鋭利な刃物が付いていた。


 これでかみ千切ったのか!?


 ものすごく痛そうで、恐ろしいぞ!?


「トウヤ、話し込んでいる場合ではない!来るぞ!」


 骸王がそう叫んだ。


 大型のバニータコバナナの皮が頭から突っ込んで来ていた。


 マズい!?

 回避しないと!?


 と思っていたら、ダブルクリーナーヘッドが素早くホースを動かし、大型のバニータコバナナの皮を拘束していた。


「捕まえた」


 お、おう、そうですか。

 すごいですね。

 電光石火の早業でしたよ。


「うむ、見事であったぞ。ダブルクリーナーヘッドよ」


 骸王も称賛している。



 その後、ダブルクリーナーヘッドが大型のバニータコバナナの皮をかみ千切って倒してくれました。


 ええと、これは俺たちの大勝利で良いのかな?


 まあ、良いんじゃないのかな。


 修行の成果を試すこともできたし、教訓も得たからな。


 モンスターには相性があって、それが合うヤツをぶつけた方が勝てるということだな。


 適材適所というヤツだ。


 それが分かったから、もう満足ということにしよう。


 なんだか疲れたし、今日はこれでおしまいにして帰るか。


 夕飯食べたら、早く寝て明日に備えよう。

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