第16話 バニー魚

「総理!この魚はなんですか!?食べられますか!?」


「えー、それは食用です。生でも食べられます。美味しいですし、栄養も豊富です」


 官邸にバニーシシャモが食べられるか聞いてみたら、こう言われた。


 ほう、生でもいけるのか。

 なら、刺身にして食べようかな?


 うん、とても美味しそうだな、夕飯はそれにしようか。


 では、アビスに収納してもらって、先に進むか。



 ん?

 うわっ!?


 な、なんだ!?


 前方から、ものすごい速度で何かが飛んで来たぞ!?


 なんとか回避できたが、直撃したらマズいことになっていたかもしれないな。


 今のは、いったいなんだったんだ!?


「トウヤさん、後ろから、また来ますよ!!」


 SIBINが警告してきた。


 また来るのか!?


 俺は横に跳んで回避した。


 いったい何が飛んで来ているんだ!?


「先程戦った敵に似ていましたよ。かなり大きくはなっていましたがね」


 SIBINがそう言った。


 バニーシシャモに似ているのか?


 とすると、また魚型のモンスターなのか?


 3階は魚類の住処なのか?


「また来たぜ!!」


 今度はヘーマンが警告してきた。


 俺はまた横に跳んだ。


 俺のいた場所を、何かが通り過ぎて行った。


 くっ、速過ぎる!


 これでは攻撃できないぞ。


 どうする?


 ……どうしよう?


 何も思い浮かばないぞ!? 


 あの速度では逃げることもできなさそうだし。


 本当にどうしようか!?


 仕方ない、しばらくあいつの動きを観察して、目を慣らすことにしよう。


 そうすれば、活路が開ける!!

 と良いなぁ。



 しばらく回避しながら観察をした。


 少しは目が慣れてきたぞ。


 よし、これならいけるかもしれない。


 次にモンスターが飛んで来たら、野球のバッターのように打ってやろう!!


 俺はシャベルを構えた。


 さあ、来やがれ、勝負だ!!


 むっ、来たか!?


 俺はタイミングを合わせて、シャベルをフルスイングした!!


 硬いものがシャベルにぶつかり、鈍い音を立てる。


 これはホームランか!?

 というくらい見事に命中したぞ!!


 実際には2メートルくらいしか飛んでないけどな!!



 さて、どんなヤツが飛んで来ていたのだろう?


 そこには大きなサンマのような魚がいた。


 全長140センチくらい、全高25センチくらい。


 頭には青いウサギの耳のカチューシャをしている。

 ウサギの耳は20センチくらいの長さで、頭とは逆方向に折れ曲がっている。

 あれだけの速度で飛んでいれば当然か。


 背中が青色で、他は銀色だ。


 こいつは『バニーサンマ』とでも呼ぼうか。


 ん?

 小刻みに震えているぞ。


 まだ生きているのか、しぶといなぁ。

 とどめを刺すか。


 バニーサンマは動かなくなった。


 よし、これで完全勝利だな。


 ふう、疲れた。

 今回も肝が冷えたな。


「見事であったぞ、トウヤ!」


「トウヤさん、見事な一撃でしたね!!」


 骸王たちから、お褒めの言葉をいただいたぞ。


 うれしいものだなぁ。


「ありがとう、みんなのおかげだ!」


 俺はお礼を言っておいた。

 みんなのカードを腰に貼っているおかげだからな。



 さて、バニーサンマを調べてみるか。


 俺は官邸を召喚して、聞いてみた。


 バニーサンマは食用で、生食も可能だそうだ。

 しかも、美味しいうえに、栄養豊富だそうだ。


 いいね~。

 こいつも刺身でいただこうかな。


 それではアビスに収納してもらおうか。


 よし、完了だ。


 では、先に進むか。



 むっ、あれは!?


 何かが飛んで来るぞ!?


 またバニーサンマなのか!?


 いや、魚だけど違うヤツだな。


 体の両側に、長さ70センチくらいの羽のようなものが付いているぞ。


 あれは大きなトビウオなのか?

 なら、あの羽のようなものは胸ビレなのかな?


 全長は1メートルくらい、全高20センチくらいだ。


 体の色は背中が黒っぽくて、他は銀色だ。


 しかも、またウサギの耳のカチューシャを付けているぞ!?

 色は黒で、耳の長さは20センチくらいだ。


 とりあえず、こいつは『バニートビウオ』と呼ぼうか。



 バニートビウオが向かって来た。


 こいつも頭から体当たりをしてくるのか?


 いや、どうやら違うようだ。


 胸ビレを当てようとしているようだ。


 もしかして、あの胸ビレは鋭利な刃物だったりするのか!?


 とにかく、避けないと!?


 俺は胸ビレを避けた。


 だが、少しかすってしまったようだ。


 胸のプロテクターに切り傷ができたぞ!?


 な、なんだこれは危険過ぎる!?


 もし、あれが首に直撃したら……


 お、恐ろし過ぎる!?


 さっさと倒してしまわないと!!


 俺は胸ビレをなんとか避けつつ、バニートビウオの頭をぶん殴った。


 バニートビウオは脳震盪のうしんとうを起こしたようで、墜落して小刻みに震え出した。


 俺はバニートビウオにとどめを刺した。


 バニートビウオは動かなくなった。


 今回も勝てたか。


 ああ、良かった。



 では、後始末をしようか。


 官邸にバニートビウオを鑑定してもらった。


 食用で、生食も可能だそうだ。

 こいつも美味しいうえに、栄養も豊富だそうだ。


 ということは、今日は3種類の刺身が楽しめるのか。

 素晴らしいぞ!


 では、アビスに収納してもらってと。


 さて、疲れたから、今日はここまでにして帰ろうかな。

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