第15話 様子見と3階

 次の日。


 今日も仕事は休みだから、ダンジョンに行こうか。


 さあ、今日もがんばろう!!

 当然ながら、準備は万全だぞ!


 では、出発だ!!



 さて、今日はどうしようか?


 2階のボスか、3階に行くかだよな。


 ちょっと2階のボスのところに行ってみるか。


 勝つ自信はまったくないけどな!


 まあ、なんとか情報くらいは得ないとな。


 では、行こうか。



 大型のバニータコバナナの皮の部屋の扉の前に来たぞ。


 よし、入るか。


 部屋の中央に大型のバニータコバナナの皮がいた。


 体格が大きいせいか、威圧感がすさまじいな。

 見た目はバナナの皮だけど。


 やはりボスは迫力あるぞ。

 見た目はバナナの皮だけどな!


 ん?

 何か変だな?


 後ろに何かがいるような……


 えっ!?

 な、なんだと!?


 大型のバニータコバナナの皮の真後ろに、もう1体の大型のバニータコバナナの皮がいるだと!?


 前に来た時は気付かなかったぞ!?


 ここのボスは2体いるのか!?


 こ、これはちょっとマズくないか!?


 こっちは俺だけなわけだしなぁ。


 くっ、仕方ない、ここは勇気ある撤退だな!!


 2体が相手とか、数の暴力でボコボコにされそうな気しかしないからな!



 今回も無事逃げることができた。


 ああ、良かった。


 では、3階に行こうか。


 後は数の暴力への対抗手段を考えないとな。



 3階にやって来た。


 洞窟の中であることに変わりはないのだが、2階よりも植物が増えているぞ。


 背の低い木も生えているし。


 あれはなんて名前の植物なのだろうか?


 また有益な植物があるかもしれないし、官邸に聞いてみようか。


 では、召喚だ。



 調べてもらっているが、驚くような効果がある植物は見つかっていない。


 食べられる植物は、それなりに見つかっているけどな。


 葉が食べれて、栄養がそれなりにある『サンカイノキ』という木とか、栄養がまあまあある、食べれる草の『サンカイノクサ』や『サンカイ・タダノクサ』なんてのがあったぞ。


「総理!!この草はなんですか?」


「えー、それは『アツゲ・ショウシテソウ』ですね。生で食べると少し若返ります。栄養も豊富です」


 な、なんだと!?

 ここにも若返る草があるのか!?


 『厚化粧してそう』なのに若返るのか!?

 まあ、そこはどうでもいいか。


 それより、どれがアツゲ・ショウシテソウなんだ?

 この白いほうれん草みたいな草のことか?


 よし、さっそく食べてみようか!


 うん、ほうれん草味だな。

 甘味が強めで、なかなか美味しいぞ。


 そういえば、この草はワカ・ヅクリシテソウと、どう違うんだろうか?


 ちょっと聞いてみるか。

 どうなんですか、総理?


「えー、アツゲ・ショウシテソウの方が、ワカ・ヅクリシテソウよりも若返ります」


 おおっ、それはすごいな!


 探して食べよう!


 ワカ・ヅクリシテソウのおかげで多少は若返ったけど、俺の体はまだまだ中年のおっさんって感じだからな。


 さて、鑑定も終わったし、先に進むか。



 アツゲ・ショウシテソウはないかな?


 3階は植物が多いから探すのが大変だな。


 進行速度が2階より低下している気がする。


 まあ、仕方ないか。



「むっ、何かいるぞ!」


 骸王が何かを見つけたようだ。


 そこには全長30センチくらいの空飛ぶ魚がいた。


 体の色は薄い赤色をしている。


 なぜか頭にピンク色のウサギの耳のカチューシャを付けている。

 耳の長さは5センチくらいだ。


 なんてことだ!?

 3階もバニーなのか!?


 なんでそんなにウサギ耳を付けたがるんだ!?

 訳が分からんぞ!?


 ん?

 よく見ると、あの魚はシシャモに似ている気がするなぁ。


 というわけで、あいつを『バニーシシャモ』と呼ぶことにしよう。



 では、戦ってみようか。


 俺は接近してシャベルを振るった。


 しかし、バニーシシャモは空中を華麗に泳ぎ回避した。


 かわされたか、ならもう一度!!


 俺はシャベルを振るった。


 しかし、また回避された。


 くっ、すばしっこいヤツだな!

 こうなったら、当たるまで攻撃してやるか!!


 だが、バニーシシャモは俺に尾ビレを向けて逃げ出したぞ。


 おい、こら、逃げるのかよ!?


 そうはさせるか、追撃してやる!!


 俺はバニーシシャモを追った。



 バニーシシャモを追って行った先には、他のバニーシシャモがいた。


 しかも、10匹もいるぞ!?


 合計11匹の群れになったバニーシシャモが、俺に向かって来た!?


 こ、こいつ、これを狙っていたのか!?


 俺はバニーシシャモのワナにはまってしまったのか!?


 なんということだ!?



 バニーシシャモたちが、頭から突っ込んで来た。


 俺はとっさに頭部をシャベルで守った。


 体の各部に、バニーシシャモたちがぶつかってきて、弾き飛ばされ転倒してしまった。


 プロテクターをしていてもかなり痛い。


「トウヤ、また来るぞ!」


 骸王が警告してきた。


 バニーシシャモたちが転倒している俺に向かって、頭から落下するように突っ込んで来た!


 俺は素早く転がり、回避しようとした。


 バニーシシャモたちがぶつかって来なかった。


 なんとか回避したようだ。


「ほう、トウヤよ、これは見事だな」


 なんか知らんが骸王に褒められたぞ。


 どういうことなんだ?


 ……ああ、なるほど、こういうことなのか。


 バニーシシャモたちが勢いあまって、床に激突してしまったようだ。


 脳震盪のうしんとうを起こしているのか、小刻みに震えている。


 今のうちに、とどめを刺してしまおう。


 こうして、なんとかバニーシシャモたちを倒したのであった。

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