第13話 兆候

 アビスの中に持っていたクーラーボックスを、すべて入れてもらった。


 大型のクーラーボックスだったのに、全部入ったぞ。

 すごいな、こいつ。


 アビスの有能さが、よぉく分かった。


 さて、この後はどうするかな?


 今は昼くらいだな。


 ちょっと休憩したら、2階の探索をしようか。


 SIBINとアビスは、カードにして腰に貼っておこう。



 というわけで、2階にやって来た。


 では、探索の続きをしようか。


 ワカ・ヅクリシテソウも探さないとな!!



 夕方くらいの時間になった。


 今日はこのくらいにしておくか。


 今回の収穫は、こうだった。


 ワカ・ヅクリシテソウが2本。

 エイヨウ・ナサソウニミ・エテアルソウがサラダ1人前分くらい。


 バニー豚足たらこ1体。

 バニー足バナナ2体。


 結構、狩れたな。


 では、帰るか。


 帰宅して、ゆっくり休んだ。

 明日からは仕事だからな。



 約1週間後。


 さて、本日はお休みなので、ダンジョンに行こうか。


 それにしても、最近のうちの会社は何かおかしい気がするなぁ。


 上司の態度がよそよそしい気がするし。

 会社内で部外者をよく目にする気がするし。


 上司に家族や、家のローンについて聞かれるし。

 飲み会には誘われないし。


 何かあったのだろうか?


 まあ、良いか。


 準備もできたし、ダンジョンに出発だ!!



 そういえば、大型のバニーサンドゴーレムの部屋は、どうなっているのだろうか?


 ボスは1回倒したら、もう出現しないのだろうか?


 ……なんだか気になってきたな。


 ちょっと調べてみようか。



 うわっ!?

 またいたぞ!?


 大型のバニーサンドゴーレムが復活していた。


 ボスは時間経過で復活するのか!?


 ここは不思議な場所だな。


 ん?

 これはまさか!?


 あいつをもう1回倒せばカードが手に入るのか!?


 これは検証してみないといけないな!!

 SIBINを召喚して突撃だ!!



 弱点が分かっているので、あっさりと倒せたぞ!


 では、カードを探そう!!


 俺は砂の山を調べた。


 ……何もないぞ。


 くそぅ、世の中、そんなに甘くはないか~。


 仕方ない、2階の探索の続きをしようか。



 2階にやって来た。


 さて、探索開始だ。

 今回もワカ・ヅクリシテソウがあると良いなぁ。



 おおっ!!

 こ、これは!?


 壁に白い半透明の岩石が埋まっているぞ!!


 しかも、かなりの広範囲にだ!!


 もしかして、こいつは宝石の原石なのか!?


 ちょっと官邸を召喚して聞いてみよう!!


「総理!この岩はなんですか!?総理!!」


「えー、それは岩塩ですね。食用になります」


 岩塩!?

 なんだ塩かよ……


 期待させやがって……


 まあ、良いか。

 ちょうど塩がなくなりそうだったから、採取しておこう。


 ちょっとだけだが食費の節約になるからな。


 シャベルで岩塩を採取した。


 さて、探索を続けるか。



 おっ、上り階段を発見したぞ!!


 これで3階に行けるぞ。


 というか、このダンジョンって、どのくらいの階層があるんだろうか?


 まあ、行けば分かるか。


 では、マップに記載してと……


 さて、2階の探索を続けるか、まだ終わっていないからな。



 うわあ、この階にもあるのか。


 黒い金属製の大きな両開きの扉を発見した。


 これって、やっぱりボスの部屋のだよな。


 このダンジョンは、各階にボスがいるのかな?


 では、ちょっとだけ覗いてみようか。


 中は1階の部屋と、あまり変わらないな。


 草が所々に生えているくらいしか違いがないぞ。


 おっ、あいつがボスか?


 部屋の中央あたりに黄色い何かがいるぞ。


 あれはなんだろうか?


 ヘタと反対の部分の先端から皮をむいた、バナナの皮なのか?


 そのむけた部分を、足にして地面に立っているぞ。

 足の数は8本あるようだ。


 まるでタコさんウインナーを、バナナの皮で作ったような外見をしているなぁ。


 果肉は見当たらない。


 最上部にヘタがあり、そこに長さは30センチくらいの、黒い色のウサギの耳のカチューシャを付けている。


 身長4メートルくらい、全幅1メートルくらいだ。


 うーん、よく分からない物体だなぁ。


 とりあえず、呼び名でも考えるか。


 いつも通りバニーのようだし、あいつは『バニータコバナナの皮』とでも呼ぼうか。


 さて、あいつをどうしようか?


 どうせあいつも強いんだろうし、今は放置で良いか。


 3階で鍛えてから戦うことにしよう。 


 では、2階の探索を続けようか。



 あ、あれは!?


 小型のバニータコバナナの皮!?


 この階のボスにも、小型のヤツがいるのか!?


 身長は2メートルくらいだ。


 せっかくだし、戦ってみようか。


 大型のバニータコバナナの皮と戦う時の参考になるかもしれないし。


 いや、待てよ。

 小型のバニーサンドゴーレムは、まったく参考にならなかったぞ。


 戦法が全然違ったしな。


 まあ、良いか。

 良い経験にはなるだろうし、戦ってみよう。


 俺は小型のバニータコバナナの皮に近付いた。



 お、あちらさんも俺の存在に気付いたようだ。


 向かって来たぞ。


 むけたバナナの皮を器用に動かして歩いて来る。


 足の多いの虫みたいで、ちょっと気持ち悪いぞ。


 ところで、こいつはいったいどんな攻撃をしてくるんだ?


 まったく想像が付かないな。


 少し観察するか。


 小型のバニータコバナナの皮が、むけたバナナの皮で、突き刺すような前蹴りをしてきた。


 あれを蹴りと言って良いのかは、分からないけどな。

 足のように使っているから、それで良いのかな?


 俺は後退して、その蹴りを避けた。


 その後は、前蹴りと回し蹴りを連発してきた。


 皮が多くて、面倒なヤツだな。


 だが、動きは結構速いけど、対処できないというほどではないな。


 よし、ヤツの手のうちは分かったから、倒してしまうか。



 俺は突き出された皮をシャベルで斬り付けた。


 皮を斬り落とした。


 これなら勝てそうだな。


 俺は次々と皮を斬り落としていった。


 そして、最後にヘタをぶん殴った。


 小型のバニータコバナナの皮は、倒れて動かなくなった。

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