第8話 さすがはボスだ!
俺がダンジョンを発見した日から、3か月が経過した。
俺の生活はあまり変わらない。
修行の日々だ。
だが、世界は目まぐるしく動いている。
どこかの軍隊がダンジョンに入って、奥の方でとんでもない化け物に出会って退却したとか。
召喚できるカード以外の超能力が見つからず、ダンジョンに失望している連中がいるとか。
食べられるモンスターの肉を買い取ろうとしている会社が出たとか。
政府が一般市民のダンジョン探索を認めるかどうかで、もめているとか。
いろいろと動きがあったぞ。
だが、未だにカードを腰に貼るパワーアップ方法は発見されていない!
まだ俺の方が優位だな。
多分だけど。
さて、今日もダンジョンに行こうか。
実は最近、小型のバニーサンドゴーレムに簡単に勝てるようになってきて、物足りなくなってきたのだ。
そろそろ次のステップへ踏み出す時なのかもしれない。
では、次のステップとは、なんなのだろうか?
それはやはり、大型のバニーサンドゴーレムと戦うことか、上の階層に向かうことの2つだよなぁ。
どちらにしようか?
ここは大型のバニーサンドゴーレムと戦ってみようか。
1階層をすべて探索してからの方が、スッキリして気分が良いからな!!
よし、決定だな!!
では、出発しよう。
おっと、みんなを呼んでこないとな。
「みんな、そろそろダンジョンに行くぞ!!」
「面倒である」
いつもの休日のおっさんポーズの骸王がそう言った。
こいつ実は、かなりの怠け者なんだな。
あきれてくるぞ。
他の連中も家の中でダラダラしているし。
仕方ない、ここは心を鬼にして対処しよう。
俺はみんなを強制的にカードに戻して、腰に貼った。
容赦なしである。
では、出発だ!!
大型のバニーサンドゴーレムがいる部屋の前に着いた。
道中、骸王たちが愚痴を言っていたが無視をした。
よし、開けるぞ。
扉を開け、中に入った。
そこには当然だが、大型のバニーサンドゴーレムがいた。
近くで見ると結構威圧感があるぞ。
身長も高いしな。
こいつを見ていると勝てる自信がなくなってきたぞ。
いやいや、弱い気になってはダメだな。
こいつを倒して、成り上がってやるぜ!!
というくらいの気持ちで臨まなくては!!
さあ、行くぞ!!
勝負だ、大型のバニーサンドゴーレム!!
俺の糧になりやがれ!!
俺はシャベルを持って突撃した。
「トウヤ、しゃがめ!!!」
突然、骸王がそう言った。
俺は素早くしゃがんだ。
後方からやって来た何かが、俺の頭上を通り過ぎて行った。
「い、今のは、いったいなんだったんだ!?」
「砂の塊だ。ヤツは壁から砂を飛ばすようだ」
「そんな能力の持ち主なのか!?」
な、なんということだ!?
遠距離攻撃が使えるとは!?
これはマズい!?
今までそんなことをするヤツと戦ったことがないぞ!?
どう対処すれば良いんだ!?
「トウヤさん、敵が接近して来ますよ!!」
今度はSIBINにそう言われた。
大型のバニーサンドゴーレムが、俺に接近して殴りかかろうとしていた。
すぐさま後退して回避した。
こいつ自身の動きは、あまり速くないようだ。
「また後ろから来るぞ!!」
「右からも来ている」
「左からもだ!」
「前からも来てますよ!」
みんなが、いっせいにしゃべり出した。
前後左右から攻撃が来ているのか!?
とりあえず、右斜め後ろに移動して回避した。
「後ろからまた来るぞ!!」
「右からも」
「左からもだ!」
「前からもですよ!」
ま、またなのか!?
俺は再び回避した。
「また後ろから撃ってきたぞ!!」
「右からも」
「左からもだぜ!」
「前からも接近して来ますよ!」
ぎゃあああああーーーー!!!!
はい、というわけで、対処できずに勇気ある撤退を行いましたよ。
部屋に入ったら、敵を倒すまで閉じ込められるシステムなんてものは採用されていなかった。
本当に良かった。
大型のバニーサンドゴーレムは部屋を出たら、攻撃してこなくなったしな。
さて、あいつをどうやって倒そうか?
ううむ、今は何も思い付かないな。
骸王たちにも聞いてみたが、良い案は思い付かないようだ。
よし、こうなったら、2階へ行ってみよう。
そこで修行して、また挑むことにしよう。
では、行こうか。
2階にやって来た。
周囲の様子は、あまり1階と変わらないな。
洞窟の中って感じの場所だ。
違うのは所々に、さまざまな植物が生えているところくらいだな。
あの植物は食べられたり、薬効成分があったりするのだろうか?
気になるけど、俺自身に調べるスキルはないし、調べてくれる知り合いもいないから、放っておくしかないか。
自分で食べて調べるなんて、命知らずな真似はあまりしたくないし。
あ、そういえば、肉は食べていたなぁ。
うーん、我ながら無謀だったか。
まあ、良いか、なんともなかったしな。
では、そろそろ行くとするか。
探索開始だ。
うわっ!?
なんかいたぞ!?
あれはバナナなのか!?
そこにいたのは、人間の足が生えた1本の巨大な黄色いバナナだった。
身長は2メートルくらい、足の長さは1メートルくらい、バナナの太さは直径は50センチくらいだ。
頭というか、最上部のヘタの部分に、黒色のウサギ耳のカチューシャを付けている。
人間の足の部分は、少し日焼けした細マッチョな感じだ。
靴は履いていない。
な、なんだこいつは!?
なんでウサギ耳のカチューシャをしているんだ!?
ここのモンスターも、みんなバニーなのか!?
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