第3話 成長する

 さて、せっかく裏技的なものを発見したんだ、活用しないとな!!


 本格的にダンジョンを探索してみよう!!


 まずは準備だ。

 必要なものをそろえよう。


 では、何が必要なのだろうか?


 また攻撃をくらうとマズいから、プロテクターは欲しいところだな。


 素手で戦うのは無理そうだから、武器も必要だよな。


 だが、武器といっても、どれにすれば良いのだろうか?


 そういえば、シャベルが武器として優れていると、どこかで聞いたことがある気がするぞ。


 それにしてみようか。


 後は万が一遭難するとマズいから、水と食料も必要だろう。


 となると、それらを入れるものも必要になるな。


 よし、買いに行こうか!



 買って来た。


 いやあ、結構な出費だったなぁ。


 我が財布から、たくさんの偉人たちが旅立ってしまったぞ!


 ああ、なんという寂しさと寒さなんだ!


 まあ、仕方ないけどな!


 買ってきたのはバイク用のプロテクター全身分と、悪路でも問題なく歩けるブーツ。


 長さ1メートルくらいの、ステンレス製の剣型シャベル。


 高さ60センチほどの、黒色の頑丈なバックパック。


 食料と水だ。


 よし、これで準備は完了だな!


 では、出発しよう!!


 と言いたいのだが、いろいろやっていたら、もう日が落ちてしまったぞ。


 仕方ない、また明日にしよう。


 今日はゆっくりと休むとするか。



 次の日の早朝。


 興奮であまり眠れなかったぞ!!


 遠足前日の小学生かよっ!?


 何をやっているんだ、俺!?


 まあ、仕方ないか、こんな状況だからな!


 では、改めて出発しようか!



 ダンジョンに入った。


 おっと、カードを腰に貼っておかないとな。


 骸王は、まだ治療中か。

 こいつはポケットに入れておこう。


 では、他の2枚は貼っておこうか。


 そういえば、腰に貼ったカードは、急に湿布みたいに柔らかくなって、腰にぴったりフィットするんだよな。


 なんでだろうか?


 不思議だなぁ。


 まあ、どうでもいいか。

 俺にとっては助かるしな。


 よし、貼り終えたぞ。


 では、進むとするか。



 こ、これは……


 内部は相当広い迷路になっているんだな!?


 さっきから、いくつも分かれ道があったぞ!?


 それに通路自体も非常に広い。


 5、6人の成人男性が、横並びで歩けそうなくらいの幅の道が延々と続いている。


 これはマッピングをしないと遭難確定だな。


 次から方眼紙を用意しないと。


 今回はあまり奥には行かないようにしよう。



 あ、あれは!?


 また昨日のウサギがいたぞ!!


 色も大きさも、まったく同じだな。

 この場所には、あいつが生息しているのか?


 あっ、マズい!?

 見つかってしまったぞ!?


 しかも、向かって来やがった!?


 仕方ない、覚悟を決めて応戦しよう!


 さあ、ぶっ倒してやるぜ!!


 と気合を入れてみた。


 ちょっと怖くなくなった。



 俺は真正面から突っ込んで来るウサギを、素早く横に跳んで回避した。


 そして、シャベルで頭をぶん殴った。


 ウサギは吹っ飛んで、壁に激突し、動かなくなった。


 ……えっ!?


 もしかして、倒したのか!?


 いや、待てよ!

 もしかしたら、死んだふりなのかもしれないぞ!?


 どっちなんだ!?


 ちょっと確認してみよう!


 ウサギをシャベルの先端で突いてみた。

 ウサギは動かなかった。


 どうやら本当に倒したようだ。


 これがカード2枚を腰に貼った力なのか。


 すごいもんだな。


 安心したら、なんだか気が抜けたぞ。


 いや、それはマズいな。

 まだここはダンジョンの中だからな。


 油断してはいけない、気を引き締めないと。


 勝って兜の緒を締めよ、というヤツだな!



 さて、このウサギはどうしようか?


 生物を殺して放置というのも、なんだか気が引けるよな。


 こいつの毛皮はキレイな色をしているから、売れたりしないのかな?


 それに肉が食えるのかもしれないし。


 解体のやり方を覚えた方が良さそうだな。


 まあ、今はどうしようもないから埋めるか。



 ……よし、終わったぞ。


 では、先に進むか。



 その後、ウサギを4匹倒して埋めた。


 時間は、そろそろ昼だな。


 疲れたし帰るか。


 それにしても、体力がないなぁ。


 体力作りをした方が良さそうだ。



 帰宅した。


 それでは休憩しようか。


 緑茶を入れて飲んだ。

 落ち着いた。


 ああ、腹が減ってきたなぁ。

 昼飯を食べようか。


 食べたら、とてつもなく落ち着いた。



 さて、今回の探索の反省会をしようか。


 マッピングに、ウサギの解体に、体力作り。


 当面の課題はこの3つかなぁ?


 いや、戦闘技術の習得も必要か。


 やることは結構あるなぁ。

 それに一朝一夕では、どうにもならないものばかりだし。


 まあ、地道にやっていくしかないか。


 後はカードを見てみるか。


 レベルが存在するのなら、レベルアップも存在する可能性があるからな。



 骸王のカードを見てみた。


 おおっ、絵が表示されているぞ!!

 元通りの休日のおっさんスタイルだ。


 特記事項の欄の治療中の文字も消えている。


 1日くらいで復活するみたいだな。


 せっかくだから召喚してみるか。


「覚悟せよ!! ……むっ!?ここはどこだ!?」


「俺の家だ。骸王はウサギに踏み潰されたんだよ。覚えていないのか?」


「な、なんだと!?ううむ、まったく覚えていないな……」


「そうなのか?どこかで治療を受けていたのではないのか?」


「治療?そのような覚えはない」


 カードの中にいる間は意識がないようだな。


 まあ、なんであれ治って良かった。


 これでカードを3枚貼って、さらにパワーアップだな!!



 次はダブルクリーナーヘッドのカードだ。


 おっ、ステータスの表記が変わっているぞ。


 そこには、こう記載されていた。


 レベル  …… 悲しみで目に涙が浮かぶ。


 強さ   …… まだまだひよっこだな!!!

 頭脳   …… 素直な良い子ではあるのですが、成績の方は……

 速さ   …… いやあ、なんと言いますか、残念ですねぇ。

 幸運   …… 良くも悪くもないんじゃないの?


 特殊   …… はずれです!なにもないのです!!


 特記事項 …… な、なんと、特にありませんでしたーーー!!!


 ちょっとだけだが、ポジティブな文章になった気がするぞ。


 これは強くなったということなのかな?


 ちょっと召喚してみよう。


 ん?

 ちょっと大きくなった気がする。


 全長が13センチくらいあるぞ。


 こいつらは成長するのか。


 これはやりがいがあるなぁ。



 SIBINのカードも見てみよう。


 レベル  …… 悲しみに視界がかすむ。


 強さ   …… やれやれ、まだまだまだだな。

 頭脳   …… くっ、なかなかやるじゃあないか。

 速さ   …… これはまだまだな感じですねぇ。

 幸運   …… 中の中の下吉ですね!


 特殊   …… 人間のお茶魔法が得意です!


 特記事項 …… なんと!なにもなし!なにもなしです!!!


 こちらもちょっとだけ、ポジティブな文章になったぞ。


 では、召喚してみようか。


 SIBINも少し大きくなっているぞ。


 全長13センチくらいだ。


 良い感じだな。


 この調子で成長させよう!!



 明日は仕事か。


 ダンジョンに入る時間はないな。


 仕方ない、ダンジョンの外でやれることをしよう。


 体力作り。

 食生活の改善。

 動物の解体の勉強。

 戦闘訓練。


 とりあえず、この4つを行うことにしよう。


 さあ、明日もがんばろう。


 まずは早朝のジョギングをしようか。


 その後は筋トレだな。



 次の日の朝、ジョギングと筋トレをした。


 疲れて仕事に支障が出て、上司に怒られてしまった。



 さらにその次の日は、筋肉痛になってしまった。


 普段、いかに運動不足であったのかが、よぉぉく分かったぞ!!


 ああ、我ながら情けないなぁ……

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