第5話涙が出た

腫れた目をした柚は一日中ずっとぼんやりして過ごしていた。しかも周りの同級生や先生も心配するぐらいだった。

中には、

「椎菜、柚ちゃんどうしたの?」

「椎菜ちゃん、柚ちゃんずっとぼんやりしてるし、返事ないけど、大丈夫?」

そう私に聞いてくる同級生が殆どだった。


柚が心配になった私は、柚と話したいと思い翌日の休みに二人で、マクドナルドへお昼ご飯を食べに行った。

「椎菜ちゃん、話って何?」

「柚、伯母さんに保健室警察辞めるように話したらどう?」

「え?千夏に?」

「うん!後、また保健室警察にやられたらさ、私が助けに行くから!」

そう私が言うと柚は下を向いた。

「そんな事したら椎菜ちゃんまであいつらにやられちゃう。知ってるでしょ?罰則増やしたりパワハラみたいな事をするんだよ?」

「それは…」

私は返答に困った。

確かにそうだ。罰則増やして他人から見たらハラスメントをしてるように見える集団だ。そんなのに、自分は勝てる自信がない。

「答えられないじゃん!もういい」

そう言って柚は帰ってしまった。


私は柚に言われ、何軽率な事を言ったんだとずっと考えてしまった。


それから数日後、放課後帰り支度をしていた時、同じクラスの男子が急いで教室に入ってきたかと思うと大声で

「大変だ!愛宕が屋上から飛び降りようとしてる!」

私は全速力で屋上へ向かった。

屋上では、柚が飛び降りようとしていた。

私は柚の体を手すりから離そうとした。

「止めて!柚!」

「保健室警察に目をつけられる人生送るぐらいだったら死ぬ!」

「他に解決方法があるかもしれないから探そう!死なないでよ!」

私は一瞬周りを見たら屋上の真下や自分の後ろに野次馬達が集まっていた。

その時、私の背後から池田さんと保健室警察のメンバーである岩田真由子先生がやってきた。

「隅田川椎菜さん!離してやりなさい!」

池田さんは冷たく言った。

「隅田川さん、あなたもお友達ならもっと相手の事を考えなさい」

岩田先生は私を睨むように見ながら言った。

「そうです!本人が死にたいなんて言ってるから死なせてあげなさい」

そう池田さんが言うと野次馬達は驚いて口々に何か言ったりブーイングしたりした。

「お静かに!これは死刑です!愛宕柚の死刑が始まります!」

保健室警察の副リーダーの中学3年の前田保君が言った。

「リーダー、さっさと愛宕柚を死なせてあげよう」

「そうね」

池田さんは柚の手を手すりに掴ませようとするが、柚は抵抗して池田さんの手を振り払ったかと思うと子供のように泣き始めた。

野次馬達は柚を憐れみ、私は、そんな柚を思いっきり抱きしめて一緒に泣いた。


この出来事をきっかけに保健室警察はますます学校中の嫌われ者になった。

だが、私達が高校2年に上がっても生徒の何人かが廃止を求めたが、やはり本来の体調不良の時に行く所だからそれをわかってほしいという理由で却下された。しかし、高校3年に上がっても同じように廃止されないと思っていた。その年、私達の前に救世主が現れるのであった。

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