第4話 ドラゴンの魔石
「ふぉ〜……すっげぇ〜……。これがドラゴンの魔石か……」
ドラゴンが倒れてチリになったあとに出てきたのは、まん丸で黒光りしている紫色の魔石。
これくらいの大きさなら、ゴブリンの魔石を捨てていったらギリギリバックの中に入る気がする。
いや、でも捨てるってさすがに……。
「ドラゴンのためなら犠牲になってくれ!」
俺は、バックのフタを開けて逆さにしてすべての魔石を地面に捨てた。
だってこれはドラゴンなんだぜ? ゴブリンの魔石なんかより数万倍の価値があると思う。まぁ一度も魔石のことを調べたことがないからわからないけど。
「よし! 帰るか!」
俺はドラゴンの魔石を詰め込むことに成功したバックを、背中に背負って大きな扉から出ていった。
まだ先があるのはわかっていたけどさすがにやめておいた。食料もないのにこの先なんて行けない。ドラゴンを倒すことができたので今日はもうお腹いっぱいだ。
この魔石って売ったらどれくらいになるんだろう?
相場がわからないけど、ドラゴンはドラゴン。倒すだけでも、一国の上位冒険者が手を合わせないと倒せないらしい。せめて、500万リーズくらいしてほしいな。
俺はそんなことを考えながら階段を登っていき、裏ルートに続く場所まで戻ってきた。
「ふぅ〜……」
疲れた。この階段って意外と多かったんだな……。ところどころ石が欠けてて、崩れそうにもなってたしここって結構前からあるんだな。
「あれ? 帰り道どっちだっけ?」
「「グゥウウウ!!」」
「な、なんだ!?」
俺は魔灯を変な鳴き声がした方へ向ける。いたのは2匹のそらとぶ魔物。オレンジ色の鱗のような肌。小さな翼。まんまるな目。
それはまるで、さっきまで戦っていた魔物が小さくなったような……。
「ドラゴンの子供??」
「「グゥウウウッ!!」」
「いやちょっと……」
「「グゥッ!!!」」
「
「キュウ……」
俺の放った
そして、体はチリになって魔石だけが地面に残った。
「どうしようか……」
この魔石もそうなんだけど、迷宮からどうやって脱出しようか。このままじゃ、迷子で彷徨うことになってしまう。食料はない。さらにいつ、今のような魔物が襲いかかってきてもおかしくない。
早くここから出なければ。
「
俺は地面に手をつけてスキルを使った。
これはさっき考えた技。見た目は
ありとあらゆる地面を闇に侵食させ、どこに何があるのか調べるという探索を目的とした技。
「ここじゃない」
「ここでもない」
と2度行き止まりにあい……。
「ここだッ!」
太陽の明かりが差し込んでいる穴を見つけた。そこは、入ってきたときの場所だ!
俺はバックを手に持って闇の中に入る。ちなみに初めて入った。
感覚は例えるのならば、水の中のようだ。底がなくて、浮いているけど体を動かせば前に進む。なので俺は前が見えるように顔を出しながら、バタ足をして前に進むことにした。
「ギャッギャッギャッ!!」
ゴブリンたちが俺のことに気づいたのか騒いでいる。だが、そんなの無視して進む。踏まれないように気おつけながら。
「はぁはぁ……なんとか出れた……」
数時間ぶりの日光。
それは、生きていることを実感する最高のものだった。
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