第3話 ランク特定不可能迷宮攻略
「ここが迷宮……」
普通の洞窟みたいだ。まぁ洞窟なんて一度も入ったことないけど。
「ギャッギャッギャッ!!」
奥の方から喚き声みたいなのが聞こえてきた。
これってまさか、ゴブリンじゃないか? 俺、迷宮に一度も行ったことないから魔物まだ見たことないんだよね……。まぁ最初の敵としては申し分ないだろう。
俺は知っている。こういうときは先制攻撃が大切だということを!
「
俺はすぐさま声が聞こえてきた地面に闇を作って攻撃した!
「ギャッ!?」
前に歩いていくと、ゴブリンがチリとなりつつあった。
迷宮で死んだ魔物はチリになるっていうの本当だったんだ……。正直、子供のことを気遣った嘘だと思ってた。って、そんなことより……。
「魔石、魔石っと……」
魔石は迷宮で死んだ魔物から落ちてくる石。迷宮に入り浸っている冒険者はこの魔石を売って生活している。
ゴブリンの魔石なんて少額で、薬草採取していたほうお金が貯まるけど一応はお金になる。これは数cmで小粒なのでポッケの中にでもしまってたおこう。
「「ギャッ!! ギャッ!!」」
今度は複数のゴブリンの鳴き声が聞こえてきた。
ふぅ〜……。ようやく、迷宮らしくなってきたな。
*
――数時間後
俺は幾度となく襲ってくるゴブリンたちを
「ここって、本当に看板に書いてあった通り特定不可能の迷宮なのか?」
数時間も歩きさまよっているのに、まだゴブリンにしか出会っていない。
ここが特定不可能の迷宮だとしたら、ゴブリンだけで終わるはずがない。特定不可能だということは、何かしらの巨大な存在に特定することを阻まれたからだと思う。ということは、ここにはゴブリン以外に巨大な何かがいるということになる。
と俺はゴブリンの大群を倒したので、地面に落ちている魔石を集めながら考えていた。
ちなみに、もともとパンパンに入っていた薬草は全部地面に捨てた。だって、魔石のほうが需要ありそうだし。
「はぁ〜……。俺が生きる伝説になれるのはいつなんだ……」
自分でもこんなこと嘆いていても仕方ないことはわかってる。だって、今はただのどこにでもいそうな冒険者なんだから。
あれだけお父様のところから合法的に逃げれて、「生きる伝説になるんだ!」って意気込んでたのに……。
「なんだこれ?」
地面に落ちていた魔石を取ろうとしたら、そこだけ一段下がっていた。俺は疑問に思って覗き込む。
その下がっているのは続いていた。
そうどこか下に続く階段になっていたのだ!!
これってまさか1歳から始める迷宮の本に書かれていた、迷宮のボスのところまで裏ルートじゃないか!?
「よし!」
こんなの見つけたら行かないという選択肢はない。
俺は先になにがあるのかとワクワクしながら、階段を降りていった。
*
「こ、こか?」
階段を降りていった先にあったのは大きな門のような扉だった。大きさだけだと、ヘンジリア王国の門よりも大きい。俺の体10個以上だ。
周りにはなにもない。あるのは目の前にある門だけ。この中に入れということなのだろうか?
「ふぅ〜……」
大きな門の先にはそれ相応の魔物がいる。俺は正直、逃げ出したいが入る覚悟を決める。ここで逃げたら生きる伝説なんて夢のまた夢。生きる伝説になるのなら、危険を犯さないといけない。
「――ギィィ……」
重く錆びついた扉に目いっぱい力を入れ、中に入った。俺はこの先にボスがいてすぐに戦闘がある! そう思っていたのだが、中には何もいなかった。あるのは平べったい大きな石の祭壇のようにもなものだけ。
この迷宮は誰かに攻略されたあとなのだろうか?
「グォオオオ!!!」
空から咆哮が聞こえてきた。
「!?」
「グォォォ……」
そいつは、祭壇に座り鋭い目で俺を睨めつけてきた。赤い鱗のような肌。ゴツゴツとした大きい翼。そして、口から炎のように赤い息を吐いている。
俺の覚え間違いではない限りあの姿は……。
「なんでこんな場所にドラゴンがいるんだよ」
俺は正直、ゴブリンしか出てこない迷宮のボスなんて言ったらゴブリンキングぐらいだと思ってた。
ドラゴンって世界で3番目に強い魔物じゃないか!
ふぅ〜、ビビるな俺。
生きる伝説となる男の最初の敵としては、いい相手じゃないか!!
「
俺は唯一にして最強の攻撃で一発で仕留めようと思った。……のだが、
「ォォオオオ……」
「んな!?」
ドラゴンはすぐさま空に飛んでスキルを避けてしまった!
空にいたら、
どうしよう。
「グォオオオ!!!」
ドラゴンは咆哮と同時に俺に向かって口から炎を出してきた!
「ぐっ……」
俺はとっさに、体の前に攻撃手段である闇を盾のように出して炎から身を守る。体がドラゴンの勢いに少し押されたがすべて防ぎきることに成功した。
ふぅ〜……。初めてやってみた防御方法だけど、ドラゴンの炎まで耐えられるなんて結構いけるな。
ドラゴンは相変わらず、
どうしよう。また悩む。
どうにかして、空に向かって攻撃しないといけない。だけど、空になんて攻撃できな……。
いやできる! 一つだけある!
「
それは闇を弓矢のような形にして飛ばす攻撃。
これでドラゴンは終わりだ!!
そう思ったのだが、
「――バサリバサリ」
「なんだよそれ……反則だろ」
ドラゴンは俺の渾身の攻撃を翼で難なく弾いた。
それも見向きもしないで、ゴミを払うかのように。
くっそ〜!!! なんだよ!!!
これが効かないとなると俺はもう攻撃する手段を持っていない。こんなところで、戦闘不足を痛感するとは……。
いや何もしないで嘆いていてもなんの意味がない。そうだ! 持っていないのなら考えればいい!
俺ができるのは体から闇を出して、それを地面に付与させ闇を作り出したり闇を形作って自由自在に操ること。この力をどうやってドラコンに通用させるかなのだが……。
「グォオオオ!!!」
考えていると、ドラコンはまたもや俺に向かって炎を吐いてきた!
「――――!!」
俺は闇を盾のように前に出して防いだ!
いくらドラゴンだとはいえ、胃袋までは固くはないだろう? そう思い至った俺は、まだドラゴンが炎を放っているが盾を解除させた。
「
「!?」
自分自身の体全体を闇と化して、灼熱の炎を受け止める。痛みはない。ただただ体で炎を受けてめる。
ドラゴンを俺のことを見て、少しビックリしていた。
俺はその油断を見逃さない! 炎ではなくなることのない闇を、バレないよう小さくして口から体内へと侵入させた。
「ォォオオオ……」
炎が止まった。
体の中に入ってきた異物に気づいたのだろうか。ドラゴンは俺がしたのだと勘づき睨めつけてきている。
「グロォオオオ!!!」
ドラゴンは急に怒り狂ったかのような鳴き声を発し、俺に向かって再び炎を吐いてきた!
「俺の狙いはそこじゃねぇんだよ!!」
俺は決めゼリフを叫びながら体内に入り込んだ闇を動かす。左右上下。とにかく色んな方向に、体内から貫通させるような勢いで思いっきり動かした!
「!?!?!?!?????!?!!!!!?」
ドラゴンは突然のことに何が起こっているのか理解できていないのか、挙動不審な行動をしてヨロヨロと地面に落ちてきた。目が真っ白になってる。これはちょっとやりすぎちゃったかな……?
そしてドラゴンは、「ドサリ」という重い音をたてながら、地面に倒れていった。
「ふっ……ドラゴンなんて俺の前だと無力さッ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます