第2話 冒険者ギルド
俺は国を追放されてから、色々な馬車を乗り継ぎ1ヶ月以上の長旅の末、ヘンジリア王国という場所についた。
着いてそうそう俺は、冒険者ギルドの扉を開け冒険者登録をした。登録と言っても特にすることはない。紙に名前と使える武器を書くだけ。それで登録完了だ。
*
そして登録をして早2ヶ月。国を追放されてからもう、3ヶ月が経とうとしていた。「生きる伝説最速計画」を実行しようとワクワクしていた俺は、まだ冒険者ランクは下から数えて二番目のFランク。
もちろん「生きる伝説最速計画」などなにもできていない。SSSランクの迷宮に挑むというのが最初の計画だったはすまが、このランクだと迷宮に入ることさえも許されていない。
冒険者ランクは、コツコツ上げていくしかないのでもうお手上げだ。
「よう、ロンベルト。また薬草採取か?」
俺の肩を叩きながら聞いてきたのはリック。こいつは、冒険者歴3年でCランクにまでたどり着いた超売れっ子冒険者だ。
出会ったのはある酒場。俺が、一人でやけ酒をしていたときに絡んだ相手がこいつ。あの時の記憶は定かじゃないけど、女の子のことについて話たきがする。
好みとか……まぁ恋バナだな。俺は今まで、そんなことを話す人がいなかったから結構いろんなことを喋った気がする。
Cランクのくせに、Fランクとかいう雑魚冒険者の俺にこんな大勢が見ている、冒険者ギルドで話しかけてくれるんだ。いつも薬草採取ばっかりしてる、俺に仲良くしてくれてる結構いいやつだ。
「あぁ。ランクが足りないし……」
「おいおい……そんなことかよ。それなら、お前は俺よりも戦闘能力が高いんだし適当なDランクぐらいの迷宮に行けばいいだろ」
リックは俺の耳に手を当てて周りに聞こえないようにして言ってきた。
うぅ〜ん……。まぁたしかに俺のスキル闇は戦闘向きで、リックのことを難なく倒すことができると思う。
だけどな……。
「それはだめだろ。だって、冒険者ギルドの規則で自分よりランクが2つ上の場所や依頼は受けちゃいけないっていうのがあるだろ?」
「はははっ! ロンベルトは規則に従順だな。そんなのバレなきゃセーフなんだぜ?」
「いや、セーフって……」
こいつ、結構ギリギリというか完全にアウトなこと言ってるな。
規則は規則。それはなにかを守られるためにある。多分、冒険者ギルドの「自分よりランクが2つ上の場所や依頼は受けてはいけない」というのは、リックのような浮ついた人から命を守るためにあるのだと思う。自分の背丈にあったものにしろ。そういうことだろう。
「まぁ俺はそろそろ行くぜ。今回も迷宮に籠もりっきりになりそうだから、数週間は戻って来ないと思う。戻ってきたらまた一緒に飲みに行こうぜ!」
「あぁ。待ってる」
俺がそう言うとリックは仲間の元に行った。
はぁ〜……。仲間いいな。迷宮いいな。
俺も早く、追いつきたいな〜。
「おうおうロンベルトよぉ〜。おめぇこんなところで何してんだ? おめぇは早くここから立ち去って、草むしりでもしてこいよ」
リックが冒険者ギルドから出ていくと、急に別の人に絡まれてきた。
こいつは、ニラー。冒険者ランクはリックより一つ下のE。なんでこんなに俺に突っかかってきているのかわからない。
草むしりって……。俺だって必死になって薬草採取してんだぞ!
「そうよそうよ! 草むしりしなさい!」
「このゴミ! 草でも食べに行きなさい!」
なことを言ってきたのはニラーの後ろにいる女二人組。こつらはいつもニラーの後に俺に向かって暴言を吐いてくる。
一体何をしたいんだ?
正直、殴り散らかしたいんだけどそんなことできない。だってそんなことをしたら、俺が目指す生きる伝説ではなくなってしまう。
なので、その思いをぐっと堪らえて……。
「あぁそうするよ!」
冒険者ギルドから出ていった。
それからなぜか優しくしてくれる果物屋のおばちゃんにリンゴを貰い、門番のおっちゃんに謎の励ましを貰い薬草採取をしに近くの森に入っていった。
*
森についた。
「
これは本来、魔物を地面に闇を生み出して特定の生物を闇の底に引きずり込んで倒す。だけど今は倒すものなんていないので、この力を活用して地面に生えている薬草を見分ける。
こうしたら、一瞬で見つけ出すことができるのだ!
「ふぅ〜……。終わった……」
俺は薬草だけを集めて、ため息をついた。空を見上げるとまだ太陽が落ちそうもない。昼頃だろうか。もし、こんな量の薬草を手動で集めていたら数日はかかる。まったく。スキル様々だ。
「よし!」
俺は鑑定士に怪しまれないように薬草の中に雑草を混ぜたカバンを手に持って立ち上がった。
俺はこのままランクが上がるまでずっと薬草採取をして、ニラーとその周りの奴らにバカにされながら生きていく。
生きる伝説になるためにはそのくらい……。
「いいわけがない」
そろそろ俺の沸点が爆発しそうだ。
リックが数週間いなくなるってことはバカにされるのがいつもより長くなっちゃうじゃん!
耐えれる自信がない。
「ん? なんだあれ?」
最近建てられたようなきれいな木の看板があった。
あれ? こんな場所に看板なんてあったっけな?
昨日もこの場所を通ったときにはなかったから、本当に昨日の夜か今日の朝にでもできたのだろうか。
「この先、ランク特定不可能迷宮あり。冒険者は調査が完了するまで立ち入り禁止」
ん? ランク特定不可能迷宮?
こんな場所に迷宮なんてあったっけ?
「わお!」
俺は気になって、看板の奥を見てみると先が見えない真っ暗な空洞があった。
これは、本で読んだ通り迷宮っぽい……。だけど昨日まで、こんな場所に迷宮なんてなかった。一瞬でできたのだろうか?
「帰ろ帰ろ……」
いや、ここで下がっていいのか?
目の前には迷宮があるんだぞ?
「生きる伝説を目指してるんだ!」
俺は、このときまだなにも知らなかった。
ランク特定不可能迷宮というものがぞくに言う、攻略不可能と言われているSSSランク迷宮だということに……。
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