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言われるがままに、私は扉の奥へと進んで行った。
そこは、大きなスクリーンが備え付けられた、箱の中のような場所だった。
箱の内部には、小さな機械の駆動音が響き渡っている。
私は、スクリーンを良く見渡せる、真ん中の席を選び、腰をかける。
ー懐かしいな…。
映写機の音と光とそして、どこか埃っぽい香り。
それらは、私の青春だった。
妻と付き合い始めた頃、飽きる程に、小劇場に足を運んでは、垂れ流しのフィルム映画を、二人で、時間を忘れるぐらい、見漁った。
二人の手が、互いに重なり合うようになった頃、映画の内容を、一言一句間違えずに言えるようになっていたぐらいには、私達の時間は、フィルム映画と共にあった。
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