12

彼女は、突如指を鳴らした。


ぽんっ、という音と共に現れた大きなフィルを手に取ると、慌ただしい様子で、何かを確認し始める。


「今の、どうやって…」


「何と…、これは…」


私の反応を無視しながら、ファイルを捲っていた彼女は、どこか困ったような表情で、その手を止めた。


「どうかしましたか…?」


「申し訳ありません。秀次様のご招待は、まだ随分と先の予定なのですが、どういった手違いか、ここまで道を開いてしまったようです」


「手違い?」


「ええ。ここには、どういった形でお越しに?」


「どういった、と言っても…。

ただ、ミケを探していたら、ここに着いていただけで…」


「ははぁ…。エンジェルタイム、という事ですか…」


「はい?」

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